クルマと移動の未来の兆し調査から見えた、新しい世界。No.1
生活者自身が選ぶ未来「変化の兆し100の問い」
2020/07/22
新型コロナウイルスの拡大により、私たち生活者の価値観やライフスタイルは大きな変化を余儀なくされています。
この不可測な事態においては、未来を“予測”するのではなく、いかにして未来への問いを立て、何を選択していくのか、さらに選択した答えをどう意義あるものにしていくのかが重要になるといえます。
この考え方を実践し、大きく変わる生活者意識を捉え、顧客企業の未来構想を支援するための電通の取り組み、それが「変化の兆し100の問い」(※広報リリース)です。
なお、この記事は、ビジネスプロデューサーである鹿川耕治郎と、ソリューションプランナーである長野隆史の共同執筆となります。広告会社を越えた「ビジネスプロデューシングカンパニー」としての電通の取り組みの一つとしてご紹介します。
<目次>
▼クルマと移動の「変化の兆し100の問い」調査とは
▼二極化の先に見えた未来への示唆「Xross Reversible」
▼新しいアイデアは、Xross Reversibleから生まれる
▼「変化の兆し100の問い」調査のファインディングス
▼100の問い+さらなるデータを活用した未来構想支援
クルマと移動の「変化の兆し100の問い」調査とは
2020年6月下旬、全国16-69歳の男女7000人を対象に、“クルマと移動の未来”にフォーカスし、生活者視点で未来を考察するためのインターネット調査「変化の兆し100の問い」を実施しました。
この調査では、未来の兆しを捉えるために大切にした2つの視点があります。
視点1:広く変化を捉えてこそ見えるクルマと移動の未来
今回の調査は、もともとクルマと移動の未来の兆しを捉えることに主眼を置いたものです。
しかし、クルマに関わる狭い調査項目のみでは、クルマや移動の未来の兆しも捉えることはできないと考え、世界で起こっている生活価値観やライフスタイルの変化、さらには地球環境や社会システムにまで至る広い視点で調査を行いました。
それによって、クルマや移動に限らない事業に対しても示唆を得られる調査結果になっています。
「変化の兆し100の問い」調査の5つのチャプター
チャプター1.地球環境・社会システムの未来の兆し
チャプター2.人類の未来の兆し
チャプター3.移動の未来の兆し
チャプター4.クルマの未来の兆し
チャプター5.クルマの今の兆し
視点2:顕在化していない兆しを対となる2択であぶり出す
先行きの見えない現状で、顕在化していない兆しを捉えるためにも、この調査では「住むなら都市か/地方か」といったように、あえて極端な対となる2択のシングルアンサー100問を問いました。
そして、その問いに対して生活者自身が選んだ未来への答えからインサイトを発見し、未来への兆しを捉えようとしています。
二極化の先に見えた未来への示唆「Xross Reversible」
今回の調査では、対となる2択の回答が拮抗もしくは矛盾する項目がいくつか見られました。
これは単に分断や二極化という話ではなく、物事には必ず表裏があり、これまで両極端に見えていたものが、実は隣り合わせにあること、さらには手を伸ばせばどちらも届くということに気付くきっかけになったとも考えられます。
上記のように、2択の回答が拮抗、矛盾する結果の中に、世界の在り方、私たちの生き方、さらには事業の在り方における未来の兆しを捉えるヒントがあるのではないか?と我々は考えました。
その中で導き出したのが「Xross Reversible(クロス・リバーシブル)」という、未来の兆しを捉える新しい概念です。
「Xross Reversible(クロス・リバーシブル)」
分断・対立するものを柔軟に選び取る、二者択一を前提としないマインド、行動を指す概念。新型コロナウイルスの発生と自由の制約は、私たちを不安に陥れたというネガティブな面もありますが、一方で本当に必要なものは何かを考えるきっかけになったとも思います。コロナ後の世界では、改めて不必要なものが棚卸しされ、次の時代に進むべきでないものは淘汰されていくでしょう。
その中で、それでも残り続けるべきもの、さらには分断・対立するもののどちらかを捨てるのではなく、対立するものであっても並存させ、意志を持ち柔軟に選び取っていく。そういったマインドセットや価値軸が、変化の激しい時代を生きていくヒントになると考えます。
我々はこの新しいマインドや行動を「Xross Reversible(クロス・リバーシブル)」と名付けました。
新しいアイデアは、Xross Reversibleから生まれる
2択のように思えるこの世界を新たに捉え直すXross Reversibleとは、いったいどのようなものでしょうか?ひとつの仮説的事例を用いてご紹介いたします。
例えば、今回の調査では、
「コロナが収束しても会社に行かずに自宅で仕事をしたい」67%。
「コロナが収束したら会社に行って仕事をしたい」という声が33%。
さらには、
「リモートワークは快適だ」59%。
「リモートワークは孤独だ」41%。
という結果がありました。
これはもちろん業種、職種によって変動することは前提としてありながらも、効率性を優先することが、必ずしも最適な労働環境に直結するわけではないという証左でもあると思います。
例えば、このどちらの欲求も満たす方法はないかに想像を巡らせていくと、対面か否かではなく、価値観でつながるということが、効率を求める人、孤独を解消したい人、双方の欲求を満たすワークスタイルになり得ると考えられます。
さらにその先には、これまでのように組織が定めた本社、支社ではなく、
- 「同じ価値観を持つ同僚が集うサテライトオフィス」
という形で、価値観で帰るべき場所を決めていく。そんなことが当たり前になっていくかもしれません。
こうしたXross Reversible(クロス・リバーシブル)の考え方は、2択の時代の「次」を考える上で大きなファクターになると私たちは考えています。
この概念を活用することで、ビジネスにおいても、未来構想を発展的に進めていくことができます。
「変化の兆し100の問い」調査のファインディングス
この調査で得られた主なファインディングスを、5つのチャプターごとにご紹介します。
調査結果は一部抜粋となります。100問すべてを掲載したレポートをご要望の方は、本記事末尾のお問い合わせ先まで、ぜひご連絡ください。
チャプター1.地球環境・社会システムの未来の兆し(全25問)
キーワード:「カオス」から「ピュア」へ
世界が人間本位に不要な多角化を繰り返していたことに気づき、必要なものだけを残し、再配置していこうとする兆しが見えた。
チャプター2.人類の未来の兆し(全30問)
キーワード:「窮屈な自立」から「柔らかな自律」へ
これまでの生活における不要不急を削り、過度な他者依存から脱し、意志を持って自分の人生を選び抜く自律的な生き方を志向する兆しが見えた。
チャプター3.移動の未来の兆し(全15問)
キーワード:「物理的移動」から「意味的移動」へ
人類は「動かないこと」の価値を見いだしたと同時に、わざわざ行く価値や会う価値があるといった「かけがえのない移動」に関してはこれまで以上に価値が高まる兆しが見えた。
チャプター4.クルマの未来の兆し(全15問)
キーワード:「マスプロダクト」から「カインドプロダクト」へ
移動手段という単一的な価値を超え、移動したくなるモチベーションを生み、人間の気持ちを理解し、ともに行動するプロダクトとなる兆しが見えた。
チャプター5.クルマの今の兆し(全15問)
キーワード:「ドライブ」から「アライブ」へ
労働環境や家庭環境の変化に伴い、居住スペースもしくはワークスペースなど、本来の用途を超えた役割をクルマに見いだす兆しが見えた。
100の問い+さらなるデータを活用した未来構想支援
今回公開するレポートは、未来の兆しを捉える入り口でしかありません。今回ご紹介した100の問いを踏まえて個々にテーマを定め、議論を重ねることが何よりも大切です。
そのために、今回公開範囲外としている多くのデータも活用して分析を進めていくことで、未来構想を発展的に支援していきます。
企業の経営者様はもちろん、経営戦略や事業開発のご担当者様など、自社の未来構想のヒントを捉えたい方は、ぜひお声がけいただければと思います。「変化の兆し100の問い」を活用した、未来像を描くお手伝いを致します。レポートデータをご要望の方は、問い合わせ先までご連絡ください。