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Spotifyが開く、音声広告のミライNo.2

成功事例に学ぶ!
Spotify広告のプランニングメソッド「MIC」

2025/03/24

日本における音楽配信、音声ストリーミングジャンルで、最も利用者数が多いサービス「Spotify」。世界的にも成長を続けており、2024年第4四半期のMAU数は、世界全体で6億7500万人(前年同期比12%増)に達しました。このうち4億2500万人が広告付きのFreeユーザーで(※1)、広告メディアとしても規模を拡大しています。

本記事では、Spotify広告を活用し、コスト効率良くユーザーの行動を促すプランニングメソッド「MIC」をご紹介します。Spotify広告について、「もっとコスト効率良く運用したい」「音声広告制作の知見がない」「他メディアとどのように組み合わせれば良いかからない」という方は、ぜひ参考にしてくだされば幸いです。

<目次>
プランニングメソッド「MIC」とは?
【Moment】帰宅時間を捉えて、高いブランドリフトを達成
【Immersive】お笑い好きリスナーへ、親和性の高いトーンで商品を訴求
【Cross media】音声と動画のクロス活用で、認知リフトがアップ

プランニングメソッド「MIC」とは?

Spotifyユーザーは、1日あたり平均2時間も利用し(※2)、通勤・通学時、運動中、ドライブ、家でのリラックスタイムなど、あらゆるモーメントで、音楽やコンテンツを楽しんでいます。

特にスマホ画面を見ることが少ない日中の利用率が高い(※3)ため、動画プラットフォームやSNSなどの視覚メディアではリーチすることが難しい、日中のメディアプランにSpotify広告を加えることで、1日を通してメッセージを届けることが可能です。

Spotify

また、ユーザーのモーメントに合わせたり、聴いているオーディオのジャンルやプレイリストからユーザーのムードや感情を読み取り、それらをターゲティングに生かすことができるので、ユーザー一人一人の感情により強く訴えかける「パーソナライズ」された訴求を行うことができます。

Spotifyは、K-POPやロックバンド、アニメなどの「ファンダム」によって、「推し活」的に使われるケースも多く見られます。広告主は、Spotify上でそんなファンたちとつながることで、彼らの“応援したい”というポジティブな熱量をマーケティングに生かすことができます。

Spotifyの調査では、93%のユーザーのSpotify上のコンテンツに対するエンゲージメントは、広告に移行してもそのまま保たれる(※4)という結果が出ており、ユーザーのポジティブな視聴態度は高い広告エンゲージメントにつながることも分かっています。

Z世代に関するSpotifyの年次調査「Culture Next」では、日本のZ世代の74%が「Spotifyはドゥームスクローリング(インターネットでネガティブな情報を延々と追ってしまう行為)に対する究極の解毒剤だ」と回答しています (※5)。多くの若者がポジティブな体験や真のつながりを渇望する中、Spotifyは「SNS疲れ」の処方箋となっています。

このような状況を背景に、Spotify広告だからこそ捉えることができるモーメント、ポジティブなつながりからもたらされる高いエンゲージメントを期待し、現在多くの広告主にSpotify広告をご活用いただいています。

Spotifyと電通のチームでは、多くの広告事例から、特に高い成果を生み出すキャンペーンについて、いくつかの共通項を見つけました。そこから編み出した、コスト効率良くユーザーの行動を促すためのプランニングメソッドが「MIC」です。

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「MIC」は、「Moment(モーメント)」「Immersive(イマーシブ)」「Cross media(クロスメディア)」を意識して、広告キャンペーンを行うことで、効果を大きく高めることが可能です。では、それぞれのポイントを事例を交えて解説しましょう。

【Moment】帰宅時間を捉えて、高いブランドリフトを達成

前述の通り、Spotifyは通勤や運動中、ドライブ中、家でのリラックスタイムなど、画面を見ていない時間を含む幅広いモーメントで利用されます。また、ユーザーの8割以上がイヤフォンやヘッドフォンで聴いていることも特徴です。このような状況を踏まえて、

  • どのようなモーメントや状況に置かれた人たちに届けたいか?
  • その人たちに届けるためにはどうターゲティングすべきか?
  • モーメントにマッチするのはどんなクリエイティブか?

を考慮した広告設計にすることで、より効果を高めることができます。

サントリーの「金麦」は、毎日家で飲むのにふさわしいビール系飲料であることを訴求するため、晩酌を楽しみにしている「帰宅時間」を捉えてキャンペーンを設計しました。

配信は、17時から24時に限定。広告のクリエイティブは「家で待っている金麦が帰宅してきた主人に語りかける内容」で、リスナーが自分自身の状況に重ね合わせられるよう計15本の異なる音声クリエイティブを用意し、日替わりで配信しました。音声コンテンツはルーティンで聴かれることが多いため、毎日異なる場面を描くことで、広告シリーズ全体に対する愛着の醸成を目指しました。

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このキャンペーンでは、認知から購入意向まで一貫して高い広告効果が確認されました。特に認知においては一般的な動画広告の広告認知リフトと比べても非常に高い結果となった上、短い接触時間でも購入意向のリフトまで確認できました。Spotifyが特に強みを持つ移動時間のモーメントとリスナーの聴取態度をしっかりと捉えた設計が、高いコストパーブランドリフトにつながったと言えます。

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【Immersive】お笑い好きリスナーへ、親和性の高いトーンで商品を訴求

Spotifyユーザーは、ファンとして推しの楽曲やコンテンツに没入していることが少なくありません。そのため、楽曲と楽曲の間に流れる広告は、ユーザーの没入感を邪魔しないものにすることが重要です。音声だからこその「余白」を意識して、メッセージを詰め込みすぎず、音声コンテンツレベルにまでチューニングして高い広告効果を実現したいところです。

味の素「Cook Do® 香味ペースト®」は、主に若年層へのブランド認知と商品理解の促進のために、Spotifyの音声広告キャンペーンを継続的に実施しています。キャンペーンの中で、クリエイティブ最適化の効果検証の一環として、“お笑い好き” という特定のオーディエンスに向けた音声広告を配信しました。

広告は、Spotify独占配信の人気ポッドキャスト番組「オールナイトニッポン(ANN)」の中で配信されました。お笑いコンテンツが多いANNに合わせ、芸人を起用。台本は芸人が書き下ろし、ニーズの顕在化からブランド購買までをストーリーにした、三部構成のコント風のクリエイティブで製品特徴を訴求しました。

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広告はこちらから聴くことができます


ブランドリフト調査では、広告接触者かつ認知者は、非接触者よりも、ブランド認知、好意度、比較・検討いずれも指標のスコアがリフトしました。お笑いコンテンツを楽しんでいるユーザーに対して親和性の高いクリエイティブでアプローチし、リスニング体験を邪魔せずに商品の特徴を印象的な形でアピールしたことが功を奏したと考えています。

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また、音楽を楽しむユーザーの体験を邪魔せず効果的にブランドを訴求する方法の一つとして、楽曲を通じてブランドの世界観を伝える「ブランドプレイリスト」という、Spotifyならではの方法もあります。

サントリーのウイスキーブランド「SUNTORY WORLD WHISKY 碧Ao」は、音楽を通してブランドの世界観を体験してもらうために、おすすめの飲み方の一つである“海薫るハイボール”にインスパイアされたブランドプレイリストを作成。各種プラットフォームやソーシャルメディアから同プレイリストに誘引しました。広告ではなく楽曲のキュレーションによってブランドイメージを醸成できるのはオーディオプラットフォームならではです。

「SUNTORY WORLD WHISKY 碧Ao」のSpotifyプレイリストはこちら

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【Cross media】音声と動画のクロス活用で、認知リフトがアップ

テレビCMや動画広告を実施する際はSpotifyの音声広告も活用し、クロスメディアで訴求。それぞれのメディア特性を生かしたクリエイティブで、視覚と聴覚の両方からメッセージを届けることで、キャンペーン全体の効果をより高めることができます。

KDDIはこれまで高速Wi-Fiサービス「WiMAX +5G」(UQコミュニケーションズ社提供サービス)の認知度を高めるため、テレビやSNSなどさまざまなメディアを活用したプロモーションを実施してきました。Spotifyに、同サービスのメインターゲットである20代のユーザーが多いこと、作業中や移動時など、画面を見ていないモーメントでもターゲットとの接点を持てることに注目し、これまで活用していた動画メディアにSpotify音声広告を加えたクロスメディアキャンペーンにトライしました。

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各種動画メディアとSpotify横断で「WiMAX +5G」という共通したメッセージを展開。Spotifyでは会話劇やクイズ、音楽広告などSpotify用にさまざまなフォーマットの音声広告を制作・配信しました。


広告(会話劇)はこちらから聴くことができます


広告(クイズ形式)はこちらから聴くことができます


広告(音楽形式)はこちらから聴くことができます


結果として、Spotify広告単体でも高いブランドリフトが見られましたが、Spotify広告と動画広告との組み合わせによってさらに高いブランドリフトが確認されました。複数メディアの広告接触者と非接触者のブランドリフトを見ると、Spotifyと動画広告の重複接触の方が、動画広告同士の重複接触よりも最大1.4倍高いブランドリフトがありました。

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今回は、Spotify広告のプランニングメソッド「MIC」を紹介しました。「Moment」「Immersive」「Cross Media」、いずれもSpotifyならではのユーザー体験を活用した効果的なプランニング手法です。私たちはこの「MIC」によりクライアントのさらなるビジネスグロースを支援してまいります。

出典:
※1 Spotifyファーストパーティーデータ(2024年第4四半期)
※2 GWI Global Study(2024年6月)
※3 Spotifyファーストパーティーデータ(2024年9月)、インテージ統合視聴率データ(2024年8月)
※4 Sonic Science調査 第1版 Neuro-Insight and Spotify(2021年6月)
※5 Spotify Culture Next Vol 6調査E1 日本(2024年7月)
 

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