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“ボトルtoファイバー”で環境問題にコミットできる「bottlium」とは?No.1

日本は廃ペットボトルの“資源大国”。ボトルtoファイバー入門

2021/09/03

地球温暖化が進行する中、「脱プラ」でカーボンニュートラルを目指す機運が世界中で高まっています。

身近なものとしてペットボトルの再利用があります。回収したペットボトルを再利用してペットボトルを作る「ボトルtoボトル」はだいぶ認知度が高まっていますが、実はペットボトルを原料に繊維を作り、アパレル業界等に展開する「ボトルtoファイバー」の取り組みも増えていることはご存じでしょうか。

本記事では、ペットボトル回収・再生のリーディングカンパニーであるトムラ・ジャパンと電通による「bottlium」(ボトリウム)を軸に、ボトルtoファイバーの可能性を紹介します。

<目次>
環境負荷が低いボトルtoファイバーを実現する「bottlium」
資源循環型プロダクトは、アパレル業界のスタンダードに
良い品質は、良い資源から!でも、「良い廃ペットボトル」とは?

 


環境負荷が低いボトルtoファイバーを実現する「bottlium」

ノルウェーに本社を置くトムラ(TOMRA)は、ペットボトル自動回収機のカテゴリで世界トップシェアを持つ企業。

そのトムラと住友商事が出資するトムラ・ジャパンは、大手コンビニチェーンなどと連携するなど、日本だけで年間5.5億本のペットボトルを回収・再生し、サーキュラーエコノミーに貢献しています。

そのトムラ・ジャパンと電通が、廃ペットボトルを活用した「高品質オーガニックペレット」事業をスタート。その第1弾が「bottlium」です。

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サーキュラーエコノミーを支える廃棄物の再利用方法には、いくつか種類があります。廃棄物を解重合して異物を除去する「ケミカルリサイクル」。そして廃棄物を「ペレット」(ペットボトルなどを粉砕し細かい粒子状にしたもの)にし、別のものに作り替える「マテリアルリサイクル」です。

bottliumは、ペレットから繊維を作りだすもので、マテリアルリサイクルに分類されます。

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bottliumは、全国1400カ所以上にある国内最大規模の回収システム「リバース・ベンディング・マシン(以下、RVMと表記)」で回収したペットボトル資源から、繊維として再利用できる高品質オーガニックペレットを作り出します。

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その特徴は、環境負荷の少ない工程でリサイクルを実現していること。

例えば、廃ペットボトルの洗浄には薬剤を使用するのが一般的ですが、bottliumは地球に優しい「水洗浄」を採用。排水処理における環境負荷が、同条件ペレットの中でも最も低いもの(※1)になっています。

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 ※1 1万トン/年以上のリサイクラーを対象(トムラ・ジャパン調べ、2021年4月現在)


廃ペットボトルの輸送工程においても、環境負荷が少ない輸送システムを構築しています。運搬前にRVMで従来の1/3の容積に加工し、かつ一時保管場所でキュービック状に圧縮することで、回収から工場までのCO2排出量を最大38.2%削減しています(※2)。

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※2 自治体の回収ルートと比較(トムラ・ジャパン調べ、2021年4月現在)


また、bottliumは特定の小売店店頭のRVMで回収されたペットボトルを使用しているため、「どの地域のどの店舗から回収したペットボトルでペレットを製造したのか」というトレーサビリティーも開示可能です。これらの情報は、地域ブランディングにも活用できるかもしれません。

トムラ・ジャパンの調べでは、2021年4月時点で、年間で国内5.5億本のペットボトル資源をリサイクルし、全国400万人以上がこの活動に継続参加しているといいます。

資源循環型プロダクトは、アパレル業界のスタンダードに

さて、ペットボトルから繊維を作るということで、bottliumを活用いただけるのはやはりアパレル業界が多くなると思います。

ここで、アパレルメーカーがbottliumを活用するメリットを3つ提示します。

1. 生活者とのブランド共創

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地域から生み出された資源(=廃ペットボトル)を、地域に還元していく「地産地消の共創プロダクト」として、地域の生活者と深い関係性を築くことができます。

2. 最高品質による幅広い展開性

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回収されたペットボトルから生まれるペレットの中でも、最高水準品質の「特殊長繊維」として高い機能性を持ち、さまざまな商品に展開が可能です。

3. 徹底的なサステナビリティの追求

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 単なるペットボトル資源の再利用にとどまらず、その生産過程においても徹底的に環境配慮したプロセスを構築しているため、形だけではない、本気のサステナブルな環境実現に向き合う企業姿勢を体現できます。

今や、「サーキュラーエコノミー、循環型社会への貢献」が、アパレルブランドにも求められる時代です。例えばペットボトル由来の繊維で作ったノベルティキャンペーンや、新ブランド立ち上げなど、bottliumは幅広い提案でアパレルメーカーをはじめとする企業のSDGs活動を支援できます。

ここからは少し、ペットボトルの再利用をめぐる国内外の動向を紹介します。

現在、世界的な潮流として「廃プラスチック輸出規制」が加速し、廃プラスチック輸出国・輸入国ともに国内リサイクル体制の構築が求められています。

その中で、多くの国は「容器包装」を中心とするリサイクルと、再生プラスチック利用の促進に対策の軸足を置いています。

それに伴い、例えば日用消費財の大手企業は自社製品の「再生材利用比率」に関する目標を掲げていますが、「再生材の供給不足」といった課題に直面しています。

再生プラスチックを資源循環させるためには、適切な分別回収と高度なリサイクル技術が必要であり、このような背景から、大手リサイクル企業や化学素材メーカーの動向が注目されているのです。

すでに欧米のアパレル業界・スポーツ用品業界等では、リサイクル企業や化学素材メーカーと協力し、環境に配慮したプロダクトを作る動きがスタンダードになりつつあります。

例えば、ナイキは全製品の78%で再生素材を使用し、ペットボトルから生まれた再生ポリエステルを服や靴に用いています。

アディダスも100%再利用できるシューズを開発。また、2024年までに製品で使用するポリエステルを、全てリサイクルポリエステルに切り替えることを公約しています。

近年は全てのアイテムをリサイクル素材や環境負荷の低い天然素材のみで作るヨーロッパ発のサステナブルファッションブランド「ECOALF」も話題になりました。

国内に目を向けてみると、日本環境設計による衣料リサイクルに取り組むブランド「BRING」が登場し、ゴールドウインや高島屋とパートナーシップを結ぶなど、再生素材の利用自体は日本でも徐々に増えつつあります。

しかし、環境負荷の指標まで考慮して用いる素材を決めるECOALFのように、国内でもさらに一歩踏み込んだ取り組みの登場が待ち望まれているのです。

良い品質は、良い資源から!でも、「良い廃ペットボトル」とは?

ここでぜひとも知っていただきたいことがあります。それは、「日本製ペットボトル資源は世界的に見ても希少性が高い」ということ。

1992年に制定された「ペットボトル自主設計ガイドライン」により、日本のペットボトルのリサイクルは世界最高水準に引き上げられました。さらに2001年には着色ペットボトルを全面的に禁止したことで、リサイクルしやすい無色透明のペットボトルが多く流通するようになりました。

消費者の分別排出も進み、PETボトルリサイクル年次報告書2020によれば、2009年には回収率が77.4%に到達。そして、2018年に清涼飲料業界が他の業界に先駆け、プラスチック資源循環や海洋プラスチック対策に取り組む「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表します。


これは業界が一丸となって2030年度までにペットボトルの100%有効利用(リサイクルに熱回収(※)を加えたもの)を目指すもの。ボトルtoボトルの取り組みはすでに定着し、100%有効利用に向けた新たなステージに突入しています。

※ 熱回収(サーマルリサイクル)=前述のケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルとは異なり、廃棄物を焼却処理する際に発生するエネルギーを回収・利用すること。

加えて、これは筆者の私見になりますが、日本は街中でもゴミが少なくきれいな印象で、ゴミの分別にも協力的。「日本人はきれい好き」といった声もよく聞きます。このような国民性が、廃ペットボトルのクオリティーの高さや、回収率の高さを実現している理由ではないかと考えます。

先ほど、日本製ペットボトル資源の希少性の高さについて触れましたが、もう少し掘り下げて解説します。

例えばゴミや飲み残しが入っていたり、着色されたペットボトルが混ざっていたりすると、それはリサイクルに適さない資源になってしまいます。

自動販売機の横によくある回収ボックスでは、キャップやラベル、ゴミ、残渣(残りかす)などが大量に残っていることが多く、行政回収のペットボトルですらラベルやキャップ付きで回収されるケースが多々あります。

その点、トムラのRVMは、キャップ、ラベル、残渣などが付いたボトルは受け付けない設計に加え、カラーセンサーで着色ペットボトルも回収できない仕組みになっています。

Bottlium

生活者自らの手で、あらかじめきれいな資源として持ち込まれたペットボトル。それらを原材料に100%使うからこそ、bottliumのペレットは透明で色を付けやすく、どんなプロダクトにも使いやすい品質を実現しているのです。

bottlium

良い品質は、良い資源から。

私たちは日本ならではの希少なペットボトル資源の特長と、トムラ・ジャパンの高クオリティーな回収スキームを最大限に活用し、日本発の「ボトルtoファイバー」を国内外に広めていきたいと考えています。

アパレル業界に限らず、ボトルtoファイバーの活用に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせください!

公式サイト https://bottlium.tomra.co.jp/
お問い合わせ https://tc.tomra.co.jp/tomra/contact/


※bottliumは電通サステナブル・ビジネス・ソリューション(dSBS)の一つとしてトムラ・ジャパン社と共同で取り組む事業です。

 

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