POLA×「美的」の成功実績から見る、「Instagramマガジンパッケージ」の効果
2025/06/27
POLAと雑誌「美的」(小学館)は、出版社のコンテンツ力とSNS拡散力を備えた新しいInstagram広告商品「Instagramマガジンパッケージ」を活用し、大きなブランドリフト効果を実証しました。この広告商品は電通デジタルと電通が Facebook Japanと提携・開発した独自の商品です。POLA×「美的」の活用事例をもとに「Instagramマガジンパッケージ」の特長と効果的な活用方法について、担当者3人に聞きました。

※この記事は「KNOWLEDGE CHARGE」の記事を編集したものです。
・出版社の制作力とSNSの拡散力を兼ね備えた 今注目の「Instagramマガジンパッケージ」とは
・POLA×『美的』の活用実績から見る 「Instagramマガジンパッケージ」を効果的に活用する3つのポイントとは
出版社の制作力とSNSの拡散力を兼ね備えた「Instagramマガジンパッケージ」
──まずは「Instagramマガジンパッケージ」の概要について教えてください。
土屋:「Instagramマガジンパッケージ」とは、電通デジタルのソーシャルプラットフォーム部と電通の出版ビジネス・プロデュース局が2023年に立ち上げた横断組織「ソーシャルコンテンツプランニングユニット(SCPU)」が開発した広告商品です。Facebook Japanと提携し、実現しました。
「Instagramマガジンパッケージ」は、出版社のコンテンツ制作力や編集力を生かして作られた高品質なクリエイティブを広告に活用する商品で、Instagramのカルーセルフォーマットを使用して制作します。カルーセルフォーマットでは、1投稿につき最大10枚の画像を投稿できますが、画像を左右にスワイプする動作を雑誌閲覧に見立てて、「マガジン」と名づけました。そこに運用型広告もセットにしてパッケージ化しています。
「Instagramマガジンパッケージ」では、出版社が制作したクリエイティブを出版社のInstagramアカウントから「タイアップ投稿」として投稿します。その後、そのクリエイティブをクライアント企業のInstagramアカウントから「パートナーシップ広告」として配信します。これにより、1つのクリエイティブを使って出版社アカウントのフォロワーに加え、ターゲティングした幅広いユーザーに向けて広告をブーストすることができます。

平林:「Instagramマガジンパッケージ」は運用が一番のポイントです。課題に応じた媒体選定などの与件整理は電通の出版ビジネス・プロデュース局が担当します。クリエイティブ・コンテンツの内容は出版社の編集部に考えていただき、広告配信・運用に関しては電通デジタルが最適なプランニングを検討・提案する、という役割分担になっています。
購買意向が2倍以上!POLA×「美的」の活用実績
──POLAが「Instagramマガジンパッケージ」を活用した背景を教えてください。
平林:POLAは、以前から「美的」に出稿しているクライアント企業です。今回は「美的」の本誌とウェブにタイアップ記事を実施する予定でしたが、「せっかくなら、SNSでリーチを広げたい」というご要望があったので、「Instagramマガジンパッケージ」を提案しました。
──実施した施策の内容はどのようなものだったのでしょうか?
平林:まずは「美的」のInstagramアカウントで「タイアップ広告」を投稿し、その投稿をPOLAの「パートナーシップ広告」として運用するという流れで進めました。
広告のクリエイティブは、「美的」本誌に掲載したタイアップ記事をInstagram用に作り替えたものをベースにしました。さらに、追加で「美的」編集部が運営する「美的クラブ」という読者コミュニティのメンバーにアンケートつきのサンプリングを実施し、その結果も反映させた内容になっています。また、「美的クラブ」のユーザー投稿も併せて紹介することで、立体的な商品紹介になるように制作しました。


効果検証を行った結果、非接触者に比べ、純広告と「Instagramマガジンパッケージ」の「パートナーシップ広告」の両方に接触した人の購入意向が非接触者の2倍以上(+21.0pt.) と、非常に高い効果を得ることができました。
データクリーンルームを使い、詳細なブランドリフト効果の検証を実施
──効果検証はどのような形で行いましたか?
平林:Metaのデータクリーンルーム※であるMeta Advanced Analytics(MetaAA)を活用し、効果検証を行いました。今回の施策の目的は、広告接触者の購入意向を向上させることと、態度変容の詳細を知ることでした。MetaAAでは、Instagramの運用データとブランド認知などのアスキング調査データをマッチングさせることで、リフトの詳細を確認することができます。今回のデータ分析では同時期に実施していたPOLAのInstagramで行った通常広告(純広告)と比較し、
- 「Instagramマガジンパッケージ」の「パートナーシップ広告」だけに接触した人
- 純広告だけに接触した人
- 両方に接触した人
- どちらにも接触していない人
の4つの条件でどのくらいリフトが出ているかを確認しました。
※データクリーンルームとは、個人情報を特定せずに企業がデータ統合や分析を行える分析環境。これを活用することで、生活者の許諾を得たうえで、メディアへの接触、オフラインでの来店・購買などのデータをひもづけることができ、リアルな効果検証が可能になる。
効果検証分析の結果、純広告と「Instagramマガジンパッケージ」の「パートナーシップ広告」の両方に接触した人において、認知、理解、購入の幅広いフェーズで15~20ポイント増という、極めて高い効果が見られました。企業視点・第三者視点両者からのアプローチが効果的と考えられ、今後は、他のクライアント企業にもこの組み合わせの配信をおすすめしていきたいと思っています。
藤井:リフトの有無を知りたい程度であれば、BLS(ブランドリフトサーベイ)でもいいのではないかと思われるかもしれません。BLSと比較するとMetaAAで実施するアスキング調査は、BLSで実施するような定型化された設問だけでなく、非常に柔軟に設問設計ができるため、設計次第ではユーザーのアフィニティ(好意)をはじめとした、より詳細な項目を調査できる点が強みです。また、広告への接触/非接触/重複接触といった複数の条件での効果検証ができるのもMetaAAの特長です。今回の事例はまさにMetaAAの特性を生かした調査結果だと言えます。

「Instagramマガジンパッケージ」の4つの特長
──今回の事例を踏まえて、「Instagramマガジンパッケージ」の特長を教えてください。
平林:1つ目は、出版社の企画制作力を生かしたクリエイティブ制作が可能という点です。出版社はユーザーの深いインサイトを把握しており、心を捉えるクリエイティブを制作する能力が卓越しています。本座組には2025年1月現在、約70のメディアが参画しており、豊富なバリエーションから与件・ターゲットに最適なメディアをプランニングできることも大きな強みです。また、今回は「美的」の読者コミュニティ「美的クラブ」を活用しました。出版社はこういった広告制作において有効なリソースを豊富に所有しています。これらを活用できる点は大きなメリットです。
2つ目は、その出版社の企画制作力を生かしたクリエイティブを、出版社アカウントから発信できることです。それにより、信頼できる第三者推奨感を醸成できます。通常、広告とはクライアント企業自身の視点から配信するものですが、この「Instagramマガジンパッケージ」では、出版社という第三者の視点からの広告配信を行います。今回の事例も、「美的」のような“その道のプロ”が、第三者的なポジションで発信することで、情報の信頼感を高められ、ユーザーの意識・態度変容を促すことにもつながったと考えます。
3つ目は、SNS完結型であること。今回も商品をさまざまな角度から紹介しました。カルーセル投稿なので画像内にある程度情報量を盛り込むことができ、Instagramの投稿内だけで認知から理解まで効率よく促すことができます。
最後は、われわれSCPUが運用を行う点です。SCPUが運用を行うことで、細かい運用調整を実施しつつ良質なコンテンツを適切なターゲット層にリーチし、広告効果の最大化を図れます。さらに、先ほどお話ししたようなMetaAAを使った効果検証はもちろん、電通グループが開発したその他のソリューションと掛け合わせた運用も行うことができます。これにより、通常のタイアップ広告では難しい、より深い分析や詳細なターゲティングでの広告配信を実施することができます。

──「Instagramマガジンパッケージ」が取り入れている「パートナーシップ広告」について、改めて教えてください。
藤井:「パートナーシップ広告」とは、クリエイターが制作したオーガニック投稿を、企業やブランドが自社の広告として配信できる、Instagram広告の配信方法です。配信された投稿には「パートナーシップ広告」というラベルが付記されます。企業やブランドにとっては、自社アカウントフォロワー以外のユーザーにもアプローチでき、広くリーチを獲得できるメリットがあります。また、投稿の広告感が薄いため、広告を忌避するユーザー層へのアピール力が高いところも魅力です。
「パートナーシップ広告」を活用すると、通常広告を運用している企業アカウントにおいて、運用のPDCAをしっかり回すことができるのも、大きな強みだと思います。
電通グループの強みを掛け合わせ、クライアント企業と出版社を強力にサポート
──「Instagramマガジンパッケージ」の今後の展望をお聞かせください。
平林:出版社には、これまでの長い歴史で培ってきた雑誌制作・編集のノウハウとリソースがたくさんありますが、まだまだSNSで生かしきれていないように思います。そこをしっかりマネタイズできる体制を作って出版社に還元しつつ、専属モデル、読者コミュニティ、有識者や有名店とのコネクションなど、出版社が持つリソースを活用して、オリジナルコンテンツを作っていける体制を組織したいと思っています。そして、質の高いコンテンツ作りにとどまらず、それを最適なターゲットに届け、PDCAを回し続けることができる「Instagramマガジンパッケージ」のような取り組みを通して、出版社が作るクリエイティブの価値と効果を多くのクライアント企業に伝えていきたいと思います。
藤井:出版社の強みであるコンテンツ制作力と、われわれの強みであるデジタルマーケティング施策を考える力を組み合わせて、商品開発を進めます。個人的には、各出版社が抱えるコミュニティやリソースを活用した動画制作に取り組みたいです。また、企業やブランドの訴求を端的に、分かりやすくライティングするのが出版社の強みの一つだと思うので、活字を生かした媒体との商品開発もおもしろそうだと考えています。また、現在「Instagramマガジンパッケージ」は同じ座組で「Xマガジンパッケージ」も展開しています。今後は、他媒体でもこの商品を展開していく予定です。
土屋:「Instagramマガジンパッケージ」のさらなる拡販はもちろんですが、やはり現在のショート動画のトレンドにはしっかり対応したいです。Metaの調査では、縦型ショート動画である「リール」の利用割合が50%以上という結果も出ており、Metaとしても注力している領域です。出版社にも縦型ショート動画制作に強い媒体がありますので、ぜひ取り組みたいと思っています。(※2025年3月に縦型動画版の「SNSビデオマガジン」リリース済み)また、「Instagramマガジンパッケージ」とMetaAAは、どちらも電通グループの強みです。この2つを掛け合わせて活用していただくことで、 SNSのトレンドを捉えながら、電通グループの強みを最大限に生かした施策が実施できると考えています。クライアント企業には今回の事例のように、最適なデジタル施策の実施・検証の仕組みを提供していきます。同時に、出版社のマネタイズを強力にプッシュしていきたいと思っています。
今回の案件は、電通の出版ビジネス・プロデュース局と密接に連携しながら取り組んできました。この関係性を大事にしながら、今後も一緒に新しい挑戦をしていきたいです。