能登の未来へ走れ――「のと鉄道の旅」をCMに。
広告小学校、被災地・穴水町で特別授業
2025/08/18
CMづくりを通して次世代のコミュニケーション力の育成を目指す電通の社会貢献活動「広告小学校」が、能登半島地震からの復興に歩みを進める石川県・穴水(あなみず)町で、特別授業を実施した。
このプログラムは、子どもたちがCMづくりのプロセスを実際に体験しながら、伝える力や表現力、チームでの創造力を育むことを目的としたもので、2006年からこれまでに全国約530校、延べ6万7000人以上が体験してきた。今回の授業には、2024年元日に発生した能登半島地震で大きな被害を受けた地域にある、穴水中学校の2年生39人が参加。復興への願いを胸に、「のと鉄道の旅」をテーマにしたCMづくりに挑戦した。

特別授業は6月30日(月)のリモート授業からスタート。電通1CRプランニング局 木村亜希氏が講師となり、「つたえる=つたわる、にするために、大事なこと」をテーマに、CMづくりに必要な視点や考え方について授業をした。その後の7月4日(金)、生徒たちは実際にのと鉄道に乗車し、沿線の魅力を取材。7月11日(金)、穴水中学校で「広告小学校」の特別授業が行われた。
当日は、木村亜希氏や電通2CRプランニング局の田中元氏をはじめとする講師陣が授業アドバイザーとして参加。多様な視点からアイデアを導き出す方法や、映像で人の心を動かすヒントを生徒たちに伝授した。

講師を務めた木村氏は「決まった答えのないCMづくりに、生徒たちは最初こそ戸惑いながらも、自由に発想する楽しさに目覚めていくようでした」と語る。多様な意見を取り入れながら新しい価値を生み出し、拡散させた思考を収束させていく過程では、広告の現場でプロが使う「考え方の考え方」も自然と身につく授業となった。

10のグループに分かれた生徒たちは、最後に30秒のCM劇という形で「のと鉄道の旅」の魅力を発表。自然や車窓風景はもちろん、人とのふれあいやのと鉄道が取り組んでいるさまざまな仕掛けなど、それぞれが選んだテーマを個性豊かに表現し、見る人の心を引きつける作品が次々と披露された。
特別授業に全面協力している、のと鉄道の宮上哲夫氏は「被災してもなお、ふるさとには数えきれないほどの魅力があることへの気づきや、その魅力を伝えようとするみずみずしい感性を引き出してくださり、生徒自らの手で能登の未来に希望を生み出していく、大きな一歩になったと思います」と振り返った。
今後、生徒たちはさらにコンセプトやストーリーを練り上げ、のと鉄道の全面協力のもと停車中の車両や駅ホーム、学校などでの本格的な撮影。完成した30秒のムービーは、来年、東京にある石川県のアンテナショップ「八重洲いしかわテラス」で放映される予定。
目指すのは、単なる紹介映像ではなく、「のと鉄道に乗ってみたい」「能登を訪れてみたい」と見る人の心を動かす30秒CM映像。中学2年生たちの挑戦は、復興の歩みと重なりながら続いていく。
また、「広告小学校」のノウハウをもとにした授業プログラム「みんハピ」が新たに開発され、その体験会を8月25日(月)に開催する。現在、参加者を募集している。