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2019年の電通報において、ジャパンブランド調査の結果を紹介しながら、「日本ファン(※)」とはどのような人々なのかを探る記事を掲載しました。

※ジャパンブランド調査2019において「日本が好き」と回答した人

あれから7年。コロナ禍を経て、当時以上に訪日外国人が増え、より多くの人がリアルなの日本や日本文化を体験しています。そしてメディアや人を通じてさまざまな情報が発信され、日本への認知・理解が深まりました。では、現在の「日本ファン」とはどのような人たちなのでしょうか?

本記事では「日本に5回以上訪れたことのあるヘビーリピーター」を「日本ファン」と定義し、日本のどんなところに興味を持ち、今後日本とどのような関わりを持ってくれそうなのか。さらには日本へのLOVEをどうやったら維持・強化できるのか――。ジャパンブランド調査2025(調査概要)の結果から考察してみました。

7年前と同様に20~30代男性が多い日本ファン。その特徴とは?

ジャパンブランド調査2025の結果では、日本ファンは台湾、韓国、香港の3市場で5割弱が占められ、男性20~30代、女性30代が多くなっています。2019年調査でも日本を好きな市場として「台湾」やアジア諸国が上位に入りました。また回答者は「男性」「20~30代」が多く、国・地域や性年代の傾向に大きな変化はありませんでした。

また回答者の属性は「既婚者」が7割、「子どもがいる」と答えた人も7割と多い傾向に。半数以上の人が「子ども」と一緒に日本に来ており、家族旅行が多いことは意外な結果でした。また海外旅行を年に5回以上行く、海外旅行上級者でもあり、日本旅行のヘビーリピーター層=「海外旅行のヘビーリピーター層」でもあることが分かりました。

意識・価値観面では、海外旅行だけではなく国内旅行、グルメへの関心が高い一方で、経済、投資・資産運用への関心が比較的高いことが特徴的です。また普段関心を持っている社会潮流やビジネストレンドに関する設問では全体的にスコアが高い傾向も見られます。特に「SDGs(持続可能な開発目標)(全体+10.4pt)」「ヘルステック(全体+10.3pt)」「生成AIの利活用(全体+9.3pt)」といった環境やテクノロジー関連に注目するなど、意識の高さがうかがえる結果になっています。

こうした日本ファンの人たちは、日本の何に引かれて、日本をどのように楽しんでいるのでしょうか?

きっかけは「日本食」や「日本製品」。日本ファンには「モノ」も「コト」消費の一環に!

日本を訪れたきっかけは、旅行先としての魅力、というよりも「日本食」や「日本製品」への関心が高じて、という人が多いようです。またコンテンツがきっかけの人も一定数存在し、意外なことに「アニメ・マンガの影響」と同じくらい「映画やドラマの影響」を挙げている人も。食だけではなく日本のコンテンツについても裾野が広がっていることを感じさせます。

訪日のきっかけが「日本食」であることを受けて、購入したいお土産についても、菓子類が上位を占めるほか、お酒、だし、調味料(みそ)など食品関連が人気です。2024年の調査では週1回以上日本食を料理する人が全体の4割という結果も出ていましたが、日本ファンはさらに日本食を日常的に楽しんでいると推察されます。日本で自分用にお土産として買って、帰国後も楽しむ人も多いのかもしれません。

昨今は「モノ消費」より「コト消費」といわれていますが、ファンの人たちにとっては日本で購入する「モノ」=帰国後に好きな日本を楽しむ「コト(時間・行為)」、にもなっており、ショッピングは訪日動機としてさらに重要になっているのではないでしょうか。

日本人と同じ感覚で日本を旅する日本ファン

5回以上も訪日していることから、日本の魅力を知り尽くしているのでは!?と思われる日本ファンが今後日本でやりたいことを見てみると、

「和食を食べる」
「四季の体験」
「自然景勝地観光」
「ドラッグストアでの買い物」
「温泉体験」

といった王道の体験のほか、近年人気が高まっている「コンビニエンスストアでの買い物」が上位に上がります。

「和食を食べる」がトップである一方で、注目したいのが、「日本食以外の食べ物を食べる」という項目のスコアが全体と比較すると高くなっている点です。さらに日本で食べたい日本料理では「居酒屋」や「定食」など庶民的なものへの関心が高くなっています。このことから、食については日本人の感覚に近い食体験を求めているのではないかということがうかがえます。

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また行きたい都道府県は北海道から沖縄まで、全体的に意向が高くなっていますが、行きたい温泉を見てみると、行きたい都道府県のトップである「北海道」の温泉が4カ所、上位に入っています。興味深いのは「阿寒湖(あかんこ)温泉」「洞爺湖(とうやこ)温泉」「定山渓(じょうざんけい)温泉」など、日本人にとって定番ではない温泉地が選ばれていることです。日本の王道的な体験である温泉について、その土地ごとの特徴やローカル色を楽しみたい、という傾向が読み取れます。

コンビニで買い物をし、庶民的な味や日本食以外の料理を堪能し、温泉ではその土地ならではの違いを楽しむ。まさに日本人のように日本旅行を楽しんでいる姿が見えてきます。

今後のカギは「日本でのトレンド」の輸出とオールジャパンでの取り組み

まずインバウンドについて。日本への再訪意向は他の国の中でトップではありますが、ライバルはたくさんいます。ライバルと比較して日本がより期待されていること(=スコア差が大きい項目)は「買い物のしやすさ」「料理の多様性」「現代と伝統の融合」です。

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強みをさらに強化していくためには新しい情報や体験を発信していく必要がありますが、今までの考察を踏まえると、日本ではやっているモノ・コトが、海外の日本ファンにも魅力的にうつる可能性も高いと思われます。他方で、海外の人が支持することが、日本で話題になり、はやることもあります。日本での集客と海外の集客は相互に良い影響を与え合うことを踏まえてプランニングすることが効果的になりそうです。

次に日本の「製品」について。ローカルでの違いを楽しむ、ということは旅行だけではなく、食品や飲料、アルコールにも生かせるアプローチ方法なのではと考えます。「日本らしさ」として、「地方の郷土料理」も挙がっているなど、日本ファンは地方ごとの食の個性に関心が高い印象があります。世界的に知られている「神戸ビーフ」に続き、単に日本産、日本製ではなく、地方・地域の名前を冠して〇〇産、△△製など、もう一段深い情報を追加することで付加価値が高まる、そんなタイミングにきていると感じます。

日本で本物の体験をする人が増えて、日本の情報が増え、ディープな日本ファンも増えました。このチャンスを生かして、さらなるモノ、さらなるコトにつなげていくために、インバウンドのステークホルダーと日本のメーカーが相互に連携してのビジネス拡大が期待されます。日本での体験が物を購入するまでのジャーニーに組み込まれ、物やコンテンツを起点とした誘客を考えていく。そんなことが当たり前になれば、さらに多様で、深いつながりを持つ日本ファンが生まれ、一過性・個人にとどまらず、次の世代にも大きな影響を与えることになるのではないでしょうか。

関連する記事はこちら:日本のことが好きな国は増えている?~“日本ファン”を探る~

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社電通 ジャパンブランドプロジェクトチーム
japanbrand@dentsu.co.jp

ジャパンブランド調査ハブページ
https://www.dentsu.co.jp/knowledge/japan_brand/ 

【電通ジャパンブランド調査 実施目的】
2011年、東日本大震災で日本の農水産物や訪日旅行に風評被害が発生した際に、日本発の製品やサービスが世界でどのように評価されたかを把握するために始まった電通独自の商用マーケティングリサーチ。ジャパンブランド調査では、海外旅行、訪日観光、カルチャー、地方創生、日本の食、日本製品、ライフスタイルなどジャパンブランド全般に関する海外消費者の意識と実態を定期的に把握。変わりゆく消費者の気持ちとジャパンブランドの課題・可能性を可視化し、複雑化が進む企業活動に寄与するとともに、日本社会における異文化理解の促進にも貢献する。

【電通ジャパンブランド調査2025 調査概要】
・対象エリア:20カ国・地域(アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、サウジアラビア、インド、インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、中国本土、香港、台湾、韓国)※1
・対象者条件:20~59歳の男女(中間所得層以上)※2
・サンプル数:12400(内訳:アメリカ・中国本土 各1600、インド1200、韓国・台湾・イギリス 各800、その他の国・地域 各400)※3
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2025年5月20日~6月22日
・調査機関:株式会社電通(調査主体)、株式会社ビデオリサーチ(実施協力)

【注記・免責事項】
※1:中国本土の対象エリアは主に1線都市、インドの対象エリアはデリー・ムンバイ・ベンガルール、オーストラリアはシドニー都市圏、東南アジアは主にメトロポリタンエリアに限定。
※2:中間所得層の定義:OECD統計などによる各国平均所得額、および社会階層区分(SEC)をもとに各国ごとに条件を設定。
※3:各国・地域とも性年代別に均等割付で標本収集し、人口構成比に合わせてウエイトバック集計を実施。
※4:本調査における構成比は小数点以下第2位(一部整数表示の場合は小数点以下第1位)を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
※5:本調査の図表作成において、分析対象となる国・地域名は一部例外を除き、国際基準ISOカントリーコード(ISO 3166-1 alpha-2)を使用しています。
アメリカ/US、カナダ/CA、オーストラリア/AU、イギリス/UK、ドイツ/DE、フランス/FR、イタリア/IT、スペイン/ES、サウジアラビア/SA、インド/IN、インドネシア/ID、シンガポール/SG、マレーシア/MY、フィリピン/PH、タイ/TH、ベトナム/VN、中国本土/CN、香港/HK、台湾/TW、韓国/KR
※6:本調査レポートおよびウェブサイトからの情報発信における対象国・地域の名称表記は、従来からの日本政府の見解、日本の社会通念やビジネス慣習に沿ったものです。
※7:本調査における国・地域の名称表記は、統計上または分析上の便宜を目的としており、いかなる政治的立場や見解を示すものではありません。
※8:本調査で使用した地図(世界地図および日本地図)は分析内容やページのレイアウトに合わせて一部加工・トリミングを行っており、必ずしも国境線および国土範囲を正確に反映したものとは限りません。
※9:本調査は、一般消費者の生活習慣およびブランド嗜好の把握を目的とした商用マーケティングリサーチとして、開始以来一貫して実査委託先を通じて現地の関連法令および公序良俗を厳守のうえ実施しております。中国における調査については、中国当局の定める涉外調査許可を取得している実査委託先を通じて実施しており、当社が中国国内において市場調査活動を行うものではありません。また、法令改正等の動向を踏まえ、必要に応じて運用状況の確認および見直しを行っております。
※10:本調査で収集された回答データは、各対象市場の関連法令に基づき適法に取得・管理・処理しております。当社が受領するデータは、特定の個人を識別できず、かつ復元不可能な形で匿名化処理された集計データのみであり、個人情報は含まれておりません。

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著者

中里 桂

中里 桂

株式会社電通

第4マーケティング局

コミュニケーション・ディレクター

入社以来、マーケティングセクションに所属。食品、飲料、化粧品、アパレルなど多岐にわたる分野の企業や官公庁のコミュニケーションプランニングを担当。官公庁・自治体の海外広報案件にも数多く取り組んできた。2013年から「電通ジャパンブランド調査」の実施を担当。電通 チーム・クールジャパン メンバー。

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