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世界から見た日本の価値は、世代によってどう変わる?─変化を続ける日本らしさの魅力─

ジャパンブランド調査は2011年にスタートした電通独自の商用マーケティングリサーチ事業です。訪日観光や地方創生、食分野、日本産品、ライフスタイルなど、ジャパンブランド全般に関する海外生活者の意識と実態を把握することを目的としています。15年目を迎えるジャパンブランド調査2025では、過去最大規模の20の国・地域(調査概要)、80を超えるブランド、10を超えるテーマを網羅したデータとなっています。

第1回では、観光および持続可能な未来に焦点を当てながら、調査結果を広く紹介し、第2回は「地方観光」に焦点を当て、持続可能な観光の実現に向けて「地方」が意識すべき視点をお伝えしました。

第3回では、X世代やZ世代など世代ごとに日本の魅力はどう映っているのかを考察。あらためて、世界から見た“日本らしさ”を深掘りし、これまでとこれからの日本の魅力発信のカギとなるポイントを考えます。

変わりつつある、日本らしさの象徴

外国人から見た日本らしさを感じる象徴は「寿司」「桜」「富士山」が上位を占め、食べ物や自然など、アイコニックな存在が並びます。ただし、こうした象徴も一様ではなく、国・地域によって差があることがわかります。

3位の「富士山」はアジア諸国では高いものの、フランス、イタリアを除く欧米では軒並み低めです。一方、ベトナムのトップ10には「茶道」「うどん」「自動車」が入りますが、例えば自動車は全体の15位です。フランスのトップ10には「柔道」「盆栽」「醤油」が入りますが、やはり「醤油」は全体の24位にあたります。全体傾向と異なるそれらは、それぞれの国で独自に浸透したり人気になったりしたものだということが読み取れます。

全体スコアの4位には「マンガ・アニメ」、6位には「ラーメン」といわゆる“新勢力”が続きます。国・地域別で見ると「マンガ・アニメ」はフィリピン、マレーシア、タイの東南アジア諸国と、フランス、スペイン、イタリアという欧州諸国で高いスコアとなっています。同じく「ラーメン」もフィリピン、マレーシア、タイで高いスコアを獲得しています。

次は全体傾向と異なる特徴を持つ国・地域を見てみます。サウジアラビアでは「自動車」だけでなく、「家電製品」「カメラ」などの機器も上位にランクインしました。「マンガ・アニメ」「ゲーム」「日本を題材にした映画・ドラマ」などのソフトコンテンツが挙げられる点も特徴と言えます。また、インドでも同様の傾向が見られます。

次は世代間で比較します。Z世代では、「桜」に次いで高いのが「マンガ・アニメ」で、「富士山」や「寿司」よりも高い点が他の世代、特にX世代との大きな差となっています。「ラーメン」も他の世代よりも高く、これまでの世代とは異なる視点で日本を見つめている様子がうかがえます。

ソフトパワーが日本への興味を刺激する新しい入り口に

続いて、訪日のきっかけを見てみます。「日本食」「日本製品」の2つが非常に強い要因で、「日本食」はフィリピン、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国で高く、「日本製品」も比較的同傾向にあります。「家族や友人のおすすめ」「前回の訪日体験がよかったため」が続いた後、「アニメ・マンガの影響」「SNSで見かけたインフルエンサーの日本旅行の投稿」「映画やドラマの影響」が続きます。

「アニメ・マンガの影響」と「映画やドラマの影響」だけを抽出すると、「アニメ・マンガ」はシンガポール以外の東南アジアで高い国が多く、「映画・ドラマ」は東南アジアに加えてヨーロッパでも高めの国が見られます。

では、再び世代別の傾向を見てみましょう。Z世代で「アニメ・マンガの影響」は36%と高いのに対して、X世代では16%となります。同じくZ世代で29%の「映画やドラマの影響」もX世代では17%にとどまります。

Z世代においては「日本食への関心」「日本製品への好感」などもX世代よりも高く、エンタメコンテンツによって日本のあらゆる側面に興味が湧いたと推察されます。

日本で体験したいのは、「観光の王道+日本で暮らすような経験」

和食や伝統文化を経験したり、自然や四季を味わったりする体験の中で、「繁華街の街歩き」「テーマパークの訪問」「コンビニでの買い物」など現代的な要素も魅力となっています。旅行者ならではの観光地訪問は当然ながら、日本人の日常的な生活をのぞいてみたいという“暮らすように旅する”願望が感じ取れます。「コンビニでの買い物」は香港、台湾、マレーシアで、「ドラッグストアでの買い物」は台湾、香港で特に高くなっています。

ではコンビニで何を買いたいのかというと、上位は食品が独占しています。「寿司」「おにぎり」「カップラーメン」などの空腹を満たすものや、「アイスクリーム」「スイーツ」「和菓子」などの甘味も人気です。「寿司」については日本人よりもコンビニでの購入意向が強く、外国人旅行客ならではという印象を持ちます。

ドラッグストアでは「化粧品(スキンケア)」、「化粧品(メイクアップ)」が上位に並びます。

コンビニで買う商品にも国・地域による差が色濃く表れています。その中でも各国で購入意向が比較的高い商品のひとつがカップラーメンであり、ほとんどの国・地域で30%を超える意向率となります。世界における“日本のカップラーメン”の確かな地位を感じることができる傾向です。

ドラッグストアの「化粧品」の中でも、国・地域別に「スキンケア」と「メイクアップ」で購入意向に差がある点が特徴的です。スキンケアは購入意向が高いが、メイクアップについては買いたい意識が低い国・地域はイタリア、中国、フランス、シンガポールなど。日本のスキンケア製品への信頼・人気が感じられます。

若い世代が求める体験価値が日本の新たな魅力に!

世界から見て日本は、伝統文化や自然、四季などの魅力がたっぷりの国として長く人気であり、この傾向はこれからも続いていくものと考えられます。ただし、若い世代を中心に、これまでとは違った視点で日本を熱く見つめている外国人も多いことがわかりました。日本の製品・サービスを世界にアピールし、日本を訪れる旅行客を継続的に呼び込むために、新しい日本の魅力に着眼した取り組みの可能性を感じます。

“好きなマンガ・アニメで主人公が食べていたラーメンを実食し、テーマパークで1日を過ごし、SNSで話題のコンビニでお寿司を買って食べ、インフルエンサーの紹介したスキンケア商品をドラッグストアで買って試す”、そんな旅が一部の外国人旅行客にとっての理想的な日本体験になりつつあることを考えると、「日本人にとっての日常的な生活」が秘める体験価値は無限大で、われわれの日々の生活にまだまだ大きなチャンスが眠っているのかもしれません。

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社電通 ジャパンブランドプロジェクトチーム
japanbrand@dentsu.co.jp

ジャパンブランド調査ハブページ
https://www.dentsu.co.jp/knowledge/japan_brand/ 

【電通ジャパンブランド調査 実施目的】
2011年、東日本大震災で日本の農水産物や訪日旅行に風評被害が発生した際に、日本発の製品やサービスが世界でどのように評価されたかを把握するために始まった電通独自の商用マーケティングリサーチ。ジャパンブランド調査では、海外旅行、訪日観光、カルチャー、地方創生、日本の食、日本製品、ライフスタイルなどジャパンブランド全般に関する海外消費者の意識と実態を定期的に把握。変わりゆく消費者の気持ちとジャパンブランドの課題・可能性を可視化し、複雑化が進む企業活動に寄与するとともに、日本社会における異文化理解の促進にも貢献する。

【電通ジャパンブランド調査2025 調査概要】
・対象エリア:20カ国・地域(アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、サウジアラビア、インド、インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、中国本土、香港、台湾、韓国)
・対象者条件:20~59歳の男女(中間所得層以上)※2
・サンプル数:12400(内訳:アメリカ・中国本土 各1600、インド1200、韓国・台湾・イギリス 各800、その他の国・地域 各400)※3
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2025年5月20日~6月22日
・調査機関:株式会社電通(調査主体)、株式会社ビデオリサーチ(実施協力)

【注記・免責事項】
※1:中国本土の対象エリアは主に1線都市、インドの対象エリアはデリー・ムンバイ・ベンガルール、オーストラリアはシドニー都市圏、東南アジアは主にメトロポリタンエリアに限定。
※2:中間所得層の定義:OECD統計などによる各国平均所得額、および社会階層区分(SEC)をもとに各国ごとに条件を設定。
※3:各国・地域とも性年代別に均等割付で標本収集し、人口構成比に合わせてウエイトバック集計を実施。
※4:本調査における構成比は小数点以下第2位(一部整数表示の場合は小数点以下第1位)を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
※5:本調査の図表作成において、分析対象となる国・地域名は一部例外を除き、国際基準ISOカントリーコード(ISO 3166-1 alpha-2)を使用しています。
アメリカ/US、カナダ/CA、オーストラリア/AU、イギリス/UK、ドイツ/DE、フランス/FR、イタリア/IT、スペイン/ES、サウジアラビア/SA、インド/IN、インドネシア/ID、シンガポール/SG、マレーシア/MY、フィリピン/PH、タイ/TH、ベトナム/VN、中国本土/CN、香港/HK、台湾/TW、韓国/KR
※6:本調査レポートおよびウェブサイトからの情報発信における対象国・地域の名称表記は、従来からの日本政府の見解、日本の社会通念やビジネス慣習に沿ったものです。
※7:本調査における国・地域の名称表記は、統計上または分析上の便宜を目的としており、いかなる政治的立場や見解を示すものではありません。
※8:本調査で使用した地図(世界地図および日本地図)は分析内容やページのレイアウトに合わせて一部加工・トリミングを行っており、必ずしも国境線および国土範囲を正確に反映したものとは限りません。
※9:本調査は、一般消費者の生活習慣およびブランド嗜好の把握を目的とした商用マーケティングリサーチとして、開始以来一貫して実査委託先を通じて現地の関連法令および公序良俗を厳守のうえ実施しております。中国における調査については、中国当局の定める涉外調査許可を取得している実査委託先を通じて実施しており、当社が中国国内において市場調査活動を行うものではありません。また、法令改正等の動向を踏まえ、必要に応じて運用状況の確認および見直しを行っております。
※10:本調査で収集された回答データは、各対象市場の関連法令に基づき適法に取得・管理・処理しております。当社が受領するデータは、特定の個人を識別できず、かつ復元不可能な形で匿名化処理された集計データのみであり、個人情報は含まれておりません。

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著者

小松 瞳

小松 瞳

株式会社 電通

グローバル・ビジネス・センター

ストラテジックプランナー

情報サービス会社にてマーケティングリサーチャーとして各種調査業務を経験後、電通入社。FMCGブランドを中心にマーケティング戦略立案を担当。ビーコンコミュニケーションズ出向で外資系ブランドコミュニケーション、電通デジタル出向でDXコンサルに従事。 4年間のタイ赴任でリージョナル戦略責任者を経て2014年1月より現職。

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