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電通デザイアデザイン(DDD)は消費と欲望の関係から、さまざまなソリューション開発や情報発信を行う組織です。本連載では、DDDが定期的に実施している「心が動く消費調査」を分析。調査結果から得られたインサイトやファインディングスをお伝えしています。

会話型の生成AIが、ここ数年で急速に生活者にとって身近なものとなってきています。
AIは、自分たちが知らぬ間に好みやよく買うものを把握して、アルゴリズムで最適解を出してくれる存在だった2000年代から、生成AIの進化によって身近に会話できる存在となり、さらにはさまざまなタスクをこなしてくれる存在として変化してきました。

「(自ら)検索する」から「AIに聞く」という行動変化が起き、「AIに聞いてみたら?」など、日常会話でも「AIに聞く」という表現が一般的になりました。

あらためて、現代の生活者にとってAIはどんな存在になっているのか?
2026年5月に実施した第12回「心が動く消費調査」で聴取した生活者のAIに対する意識に関する結果を通して、DDDの小野江理子が考察します。

15歳から19歳で「最近、AIに相談することが多い」人が60%超。AIは、生活者の相談相手に

※構成比(%)は小数点以下第2位で四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合や、テキストの記載と差が発生することがあります(以降同様です)


まず、「最近、AIに相談することが多い」という質問の結果を見てみると、全体では「そう思う(計)」(「そう思う」「ややそう思う」の合計)が33.9%でした。中でも、10代が最も多く、「そう思う(計)」は61.5%と、半数以上。以降、年代が高くなるごとに少しずつ減っていきます。

「思ったよりも少ない!」「思ったより多い!」皆さまはどのように感じられるでしょうか。

AIはまるで友達!?“意見”は聞くけれど、やっぱり「自分の直感」を優先して動く

それでは、「最近、AIに相談することが多い」と答えた人は、AIのどんな意見(回答)でも聞き入れているのでしょうか。

図1の質問で、「最近、AIに相談することが多い」に「そう思う」「ややそう思う」と答えた人を「AI相談層」として、考察していきます。

「AIの意見・判断が間違っていると思うことがよくある」という項目を聴取したところ、「AI相談層」の、なんと70.6%が「そう思う」「ややそう思う」と回答しました。

10代から40代では70%を上回り、また最も「AIに相談する割合」が高い10代の「そう思う(計)」が最も高く、83.5%にも上っています。


また、「【A】AIの意見よりも自分の直感を信じることが多い」「【B】自分の直感よりもAIの意見を信じることが多い」という設問の回答をまとめたものが図3です。


ここでも「AI相談層」のうち、「AIの意見よりも自分の直感を信じることが多い」と回答しているのは64.0%と半数を超えています。つまり、「まずはAIに意見を聴くけれども、最後は自分の直感を優先する」という生活者の実態が見えてきます。

この感覚は、人間の友達の意見に対する反応と近しいとも考えられます。例えば、友達にあれこれ恋人の愚痴を話して「どう思う?」などと意見を聞くものの、「そんなことだったら、別れちゃいなよ!」とアドバイスをされても、なんだかんだ別れたりはしないというお決まりのシーンが想起できるのではないでしょうか?

仮に友達には聞けないような込み入った内容、専門的な内容をAIに相談していたとしても、意見を聞くけど、最後は自分の直感を大事にするという点においては、リアルの友達の延長のような感覚で利用しているといえそうです。

自分の直感よりも、AIの意見を信じる傾向が高いのは40代

一方で40代は、AIの意見を信じる割合が46.8%と、「AI相談層」全体と比べて10ポイント以上高いこともわかりました。

確認のため、「40代のAI相談層」のうち、「AIの意見・判断が間違っていると思うことがよくある人」について分析してみると、「自分の直感よりもAIの意見を信じることが多い」と答えた人が44.0%います。

AIはよく間違う存在だと思っている人でさえ、半数弱は、自分よりもAIの意見を信じてしまうということがわかりました。


データがないので仮説ですが、40代はAIの間違いを頭ではわかっているつもりでも、自分の直感にあまり自信がない領域では、AIの意見をつい信じてしまう……そんな盲信気味な側面があるのかもしれません。40代は「不惑」の歳といいますが、自分の直感を一番に優先しない人が半数近くいるという点は、意外な発見でした。

「AI相談層」の43.6%は「人と会話するよりAIと会話することが好き」

今度は、AIと会話すること自体に対する意識を探るべく、「人と会話するより、AIと会話することが好きだ」という項目の結果を見ていきます。


「AI相談層」の中で、「人と会話をするより、AIと会話をすることが好きだ」と回答したのは、43.6%でした。年代別で見ると、30代が最も高く50.5%、次いで40代、20代が40%台後半です。AI相談層の半分弱が、もはや、人よりもAIと会話するのが好きということのようです。

今後は、「人格」や「役割」のある存在になっていく可能性

また、AIの活用有無にかかわらず、10代~60代の350人にAIがどんな存在なのかを自由に回答してもらう簡易アンケートをしました。

すると、「便利な存在」が最も多いものの、「相談相手」「パートナー・相棒」「友達」「親友」「助手」「先生」「恋人」「彼氏」などの表現が見られました。機能的な価値を表す言葉だけでなく、関係性を表す言葉が多く登場しています。

「便利な存在から友達になりつつある気がする」と表現する方もいました。この結果を見ると、一部の人にとってAIはシステマチックな存在ではなく、「人格」や、利用者にとって特定の「役割」を持つ存在になりつつあるのかもしれません。

最近では、自分好みのAIキャラクターを作成し、育成や会話ができる対話型AIアプリを使って、「AI恋人・AIフレンド」を作れるサービスが登場しています。さらに、アニメ・漫画の登場人物、歴史上の偉人、実在の有名人、ゲームのキャラクターといったAIアバターと会話できるアプリなどもあり、さまざまな“人格”を設定されたAIと会話することもできます。また、プロンプトを入れることなく、自ら考えて行動してくれる自律型AIを活用している方も増えています。

今後、生成AIの技術が進化し、消費者との関係性が強まれば強まるほど、「人格」「キャラ」といった要素が重要になってくるのかもしれません。

生活者をとりまくAIそれぞれに固有の人格・キャラクターが存在する未来では、企業やブランドが顧客と直接会話するAIにも、覚えてもらいやすいシンボリックな人格・キャラクターが必要になってくることも十分考えられます。

「AI相談層」は、“人付き合い好き”な一方で、“デジタルと向き合う方が、心穏やか”な人々

ここからは、「AI相談層」の中で、「人と会話をするより、AIと会話をすることが好きだ」回答した人が、どのような意識があるのかを、ひもといていきます。

以降はこの層を「AIと会話する方が好きなAI相談層」と呼びます。

まず、性年代に見ると、若者が比較的多めです。「全体」と比べ「男性10代~男性40代」「女性10代~女性30代」の割合が高く、性別のみでは男性が多めです(図6内赤枠)。


人よりもAIと会話する方が好きなのであれば、「人付き合い」は好きではないのかと推察し、人付き合いに関する価値観項目を見たところ、意外な結果がわかりました。

「人と出会いたい、仲間と共感したい」という項目は、全体よりも「そう思う(計)」が10ポイント以上高く、また、「人と会話する方が好きなAI相談層」よりも5ポイント以上高い結果でした。

そして、「【A】人と一緒に行動する方が好きだ」「【B】一人で行動する方が好きだ」のどちらかを聞いた設問では、「【A】人と一緒に行動する方が好きだ」の方が同様の傾向で高いことがわかりました。


これらを鑑みると、「人と会話をするより、AIと会話をすることが好き」だからといって、人付き合いが嫌いなわけではなく、むしろ好きな人たちだということです。

一方で「現実よりもデジタルと向き合う方が心穏やかでいられる」という項目では、「全体」や、「人と会話する方が好きなAI相談層」と比べて「そう思う(計)」が30ポイント以上も高い結果になりました。これは若年層が多いにしても特徴的な結果です。


これらの結果から、人との交流は好きだけど、現実よりもデジタルと向き合う方が穏やかでいられるという、現代の生活者の複雑な心境が見えてくる気がします。つまり、人との交流が好きだからこそ、相手の心情を察する・空気を読むことに、疲れてしまうことがある。また、嫌な気持ちになることがある。そのため、察する必要がないAIと会話する方が穏やかでいられるということかもしれません。

今後、消費者は、現実を生き抜くにあたり、心穏やかでいられるよう、寄り添い、価値観を共有する人生の伴走者(ソウルメイトに近い存在)になるAIを求めていくのではないでしょうか。

【調査概要】
〈第12回「心が動く消費調査」概要〉
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:15~74歳男女
・サンプル数:計3000サンプル(15~19歳、20代~60代、70~74歳の7区分、男女2区分の人口構成比に応じて割り付け)
・調 査 手 法:インターネット調査
・調 査 時 期:2026年5月12日(火)~ 5月17日(日)
・調 査 主 体:電通 DENTSU DESIRE DESIGN
・調 査 機 関:電通マクロミルインサイト

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著者

小野 江理子

小野 江理子

株式会社 電通

ソリューションクリエーションセンター 未来インサイト部 未来事業創研所属 未来予測支援ラボ所属

女性向けFMCG・耐久財・外食チェーンのブランディング・コミュニケーション戦略、グローバル領域のナレッジ開発業務を経験。現在は、電通未来予測支援ラボメンバーとして2035~2050年の未来のマクロトレンド研究や、DENTSU DESIRE DESIGNプロジェクトで生活者インサイトの研究に従事。

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