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コミュニケーション戦略の拡張性No.1

コミュニケーションのチカラ

2014/04/30

企業を取り巻く外部環境が大きく変わるとともに、人材の多様化、価値観の多様化など社内の環境も大きく変わってきています。クライアントは社内外で直面する課題を解決するために明確な目標・ビジョンを打ち立て、目標実現に向けてアクションし始めており、同時にコミュニケーション戦略の役割や機能もより多様化してきています。コミュニケーション戦略の様々なプロジェクトに多く携わっている電通マーケティング・デザイン・センターのプランナー谷 昭輝さんがレポートします。

なぜ、コミュニケーション戦略に求められることが多様化しているのか?

このところ、クライアントからのご相談で多いのは、社員を動かすような明確なビジョンや目標を立てること、そして社員の主体性をビジョン実現に向けてどのように高めていくか、さらにその動きを社外にどのように伝え、見せていくのか、ということです。掲げたビジョンに向かって組織を動かしていくには、組織の体制を変更するといったことでは不十分で、社員自身が自らどう動いていくか、やる気と気概を持ってどう変わっていくか、そういった環境づくりが非常に大きな課題になります。社員の皆さんの取り組みがあるからこそ、初めて企業としての高い評価が生まれ、強いブランドイメージへとつながっていくのだと思います。

キャンペーンプランニングや、あるテーマのコンサルティングをする、ということに加えて、クライアントの持っている良さや強みを最大限に引き出し、それを社内外に発信していく。その良さや強みの範囲が、新商品やサービスにとどまらない。
コミュニケーション戦略に求められることの範囲が広がってきているように感じます。

戦略というと、どうしても積み上げでロジカルに、という考え方に陥りがちですが、ゴールに直接つながらないボールも大切にする、という考え方がすごく大切だと思います。
僕らプランナーは、左脳側の仕事をする時は基本的にロジカルシンキングで考えてるように思われがちです。

でも、ロジカルに考えた際に選択されず、周りに散らばっていったものの中に、発想の種や大切なヒントが散らばっているんです。
散らばったものを拾って、そこから吸い上げて演繹的にシナリオを考える。本当はそれが私たちコミュニケーションプランナーがやるべきことがそこにあると思っています。

このような考え方は、クリエーティブの皆さんが得意とする手法ですが、コミュニケーションプランナーもこういう考え方を持っていないといけない。常に右脳と左脳を行ったり来たりできないといけない。

発想の種、可能性を掘っていきながら、さらに実現性をも兼ね備えていく。
そういったことをプランナーとして作り上げていくことが、今とても大切だと感じています。

どんなにテクノロジーや思考法が進化したとしても、可能性を掘って検証しなければ分からないことはたくさんあります。削ぎ落して整理していく中で全ての答えが見つかれば分かりやすいのですけれども、そういうものばかりではないですから。
未来の可能性は無限です。自分でやっていることが正しいかどうかも分からないこともある。

たくさんある未来の中でどんな可能性を探っていくのか、そういう視点を持っていかないと、自己肯定をし続けたり、クライアントにバリューを提供できないイエスマンになってしまうんです。
今の延長線上が、常に正しいわけではない、そういう考え方でクライアントの可能性を広げていくのが、これからの電通らしい仕事かもしれませんね。

次回は、今述べた未来の可能性をつくるきっかけとなる、東京オリンピック・パラリンピックの開催と企業の戦略について考えます。