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「がんサミット」初の開催

2015/06/03

    厚生労働省は6月1日、日本人の死因第1位のがん対策に向けたイベント「がんサミット」を東京・千代田区の丸ビルで開催し、患者やその家族、医療関係者、研究者、行政関係者など、幅広い分野から約300人が参加した。

    塩崎泰久厚労相はがん対策基本法成立から間もなく10年がたち、改めてがん対策に力をいれなければならない」とあいさつし、安倍晋三首相から「がん対策加速化プラン」を年内に取りまとめるように指示を受けたと明かした。プラン策定に当たっては“早期発見などにより、避けられるがんを防ぐ”“難治性がんなどの研究推進で、死亡者数を減らす”“緩和ケアや地域医療、就労問題に取り組み、がんとの共生を支援する”ことを柱に具体的な施策を検討したいと語った。

    安倍首相は「新しいプランにより、がんの克服に向けた取り組みでさらに健康寿命を延ばしたい。このイベントが対策の大きな前進に向けた確かな一歩になることを願う」とメッセージを寄せた。

    会場には、尾辻秀久参院議員(元厚労相・国会がん患者と家族の会代表世話人)や山東昭子参院議員(自民党受動喫煙防止議員連盟会長)ら関係議員も駆け付け、初のサミット開催に祝辞を述べた。

    基調講演では、がん対策推進協議会・門田守人会長や、国立がん研究センター・堀田知光理事長ら関係団体の代表や研究者がそれぞれの立場で、国のがん対策やこれからの医療について紹介した。

    パルディスカッションでは、女子マラソンのオリンピックメダリストで同省の「いきいき健康大使」を務める有森裕子氏とマラソン指導者の小出義雄氏(佐倉アスリート倶楽部代表取締役)が登壇し「2020年、スモークフリーの国を目指して」のタイトルでトークを展開した。二人は有森さんが現役当時、選手と監督の関係だった。

    小出さんは当時有森さんの希望で禁煙したこと、有森さんはバルセロナ大会でゴール後に監督にプレゼントしようと、ユニホームにたばこを縫い付けて走った思い出を楽しそうに語り会場を和ませた。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて「街に吸殻もごみもない国にして、海外からの旅行者を迎えたい」「子どもから大人まで、皆が健康について考え、スモークフリーを目指す時代になってほしい」と話した。

    最後は、東京大医学部付属病院の中川恵一放射線科准教授の司会・進行により「患者が求めるがん医療の実現に向けて」のタイトルで、トークディスカッションが実施された。がん患者団体の代表者ら6人が「がん教育」「患者の就労問題」「緩和ケア」などの現状に触れ、今後の対策について議論を交わした。

    スマート・ライフ・プロジェクトhttp://www.smartlife.go.jp/

    *スマート・ライフ・プロジェクト

    「健康寿命をのばしましょう。」をスローガンに、国民全体が人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日が送れることを目標とした厚生労働省の国民運動。運動、食生活、禁煙の3分野を中心に、具体的なアクションの呼びかけを行っている。2014年度からは健診・検診の受診を新たなテーマに加え、更なる健康寿命の延伸を、プロジェクトに参画する企業・団体・自治体と協力・連携しながら推進している。