女川町「あたらしいスタートが世界一生まれる町へ。」
2015/12/24
宮城県女川町は12月23日、公民連携で整備してきた駅前商業エリアをグランドオープン。まちなか再生計画の認定を受けた全国初のテナント型商業施設「シーパルピア女川」と「女川町まちなか交流館」が同時に開業した。
駅前広場から海辺のエリアへまっすぐ続く長さ370メートル、幅15メートルの歩行者専用道路はれんが舗装で、ベンチや植栽でくつろげる空間になっているとともに、いざというときの避難路も兼ねている。
その両側に展開する「シーパルピア女川」は、多彩な小売店、地元の特産を味わえる飲食店など27店舗を備え、住民にも観光客にも楽しめるように工夫されている。中には女川で起業したスペインタイルやギターの工房、クラフトビール飲食店など、特徴が際立つ店も見られる。
女川町は、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域の一つ。町民の8%に当たる827人が亡くなり、家屋の約7割が全壊した。
今回のグランドオープンに伴い、女川町は、復興の歩みと町の将来像を踏まえたスローガン「あたらしいスタートが世界一生まれる町へ。」を掲げた。常に新しい挑戦をする人を応援してきた歴史的背景を踏まえて、100年先も元気な町を目指すものとして、「START! ONAGAWA」を旗印に、人口減少社会でも持続的に発展する町を目指す。既に地元での起業、移住に向けたプログラムを始動。今後も、内外の人たちが連携しながら、新しいプロジェクトを立ち上げていく。
須田善明町長は、「苦しい道のりを耐えてきた住民や事業者、そして支援者と、みんなで在り方を考えて、つくってきた町が現実のものとなった。しかし、私たちはようやく入り口に立ったところだ。これからも力を合わせてまちづくりに取り組んでいきたい」と抱負を述べた。
23日から27日の5日間、記念イベント「おながわ復興まちびらき2015・冬」が行われ、多様なセレモニーやステージイベントが繰り広げられている。23日、幕開けとなる式典に続き、子どもたちによるエリア開業宣言が行われ、須田町長らがテープカットを行った。新スローガンと「START! ONAGAWA」のフラッグが揺れるれんが道は、町民と開業を祝う訪問者でにぎわった。
「シーパルピア女川」に出店した、スペインタイルの製作販売を手掛ける「みなとまちセラミカ工房」の阿部鳴美氏は、「やっと本格的なスタートを切ることができた。町の産業にしていきたい」と意気込む。三陸の海でダイビングサービスなども行うダイビングショップ「High bridge(ハイブリッジ)」、地元密着型社会人サッカーチーム「コバルトーレ女川」のファンショップ、コバルトーレサポーターズパークなど、地域ならではの事業者らも笑顔を見せた。
町内外の交流による新しい仕組みを生み出すことなどを目指した「女川フューチャーセンターCamass(カマス)」を運営する、特定非営利活動法人アスヘノキボウの小松洋介氏は、「これからがいよいよ本番。気を引き締めていきたい」と語った。