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電通にはアイデアづくりの方法論があります。そしてそれは「広告」だけでなく、ひろくイノベーションが必要な領域全般で活用することができます。そんなお話を全国の美味しいものを題材にお届けします。

野中郁次郎・一橋大学名誉教授によれば、イノベーションに必要なのはコミットメント。頭だけを使って論理的・客観的に批評するのではなく、身体を使って自分ゴトとして取り組むことの重要性を指摘なさっています。

女優の工藤夕貴さんは、そんなコミットメントの達人です。
彼女の代表作にジム・ジャームッシュ監督の『ミステリー・トレイン』があります。その主演ミツコ役が他の役者さんの手にわたりそうになった時、当時17歳で十分な英語力もなかった工藤さんは監督に国際電話でただ「She is just like me! You never regret!(彼女は私なの!あなたは決して後悔しないわ!)」と繰り返したといいます。

目の前にある難しい状況に全身全霊でぶつかったからこそ「いまひとつ売れないアイドル」から「ハリウッド女優」という人生のイノベーションを成功させたのでしょう。

 

その工藤さんは最近、富士山のふもとで農家をしています。広大な土地があり、雑草を食べる賢い二匹の羊ユキとサキを飼い、有機JAS認定を受け、合鴨農法で育てたお米で日本酒をつくって……。

とにかく本格的に、本気で「食」に取り組んでいらっしゃいます。併設のカフェで楽しめる収穫されたばかりの野菜が旨いことといったら!

それでいて主演をつとめた『カラカラ』(2013年1月公開)がモントリオール世界映画祭で二冠を達成しました。女優と農家の両立。これもやっぱり人生のイノベーションでしょう。

この話題になるとつい熱くなるのですが、それも仕方がありません。ぼくは1984年デビュー以来の「おっかけ」。いまや(都内に住むOさんと)わずか2名しか残っていない稀有な存在なのです。

 

先日もコンサートで舞台上の工藤さんから「きょうはずっと『おっかけ』をしてくれている山田くんも来てくれました」と紹介され、赤面して死んじゃいそうでした。

閑話休題。

イノベーションや経営学のことになると、急に小難しい理屈になりがちです。でも、そもそも熱いコミットメントは人間のドラマ。楠木建先生のベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』にもあるように「面白い」お話のはずです。

今回コラムを書くにも、思いを込めやすい、実感を伴うモチーフがいいな、と。そこで工藤さんが最近取り組んでいらっしゃる「食」というテーマを「おっかけ」て、これを題材にイノベーションやアイデアについて考えてみようと思います。そもそも美味しいものって楽しいですもんね。

旅先やお取り寄せサイト「47CLUB(よんななクラブ)」を通じて出会った全国各地の逸品が次々登場する予定です。

どうぞ、召し上がれ!

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著者

山田 壮夫

山田 壮夫

株式会社 電通

明治学院大学 非常勤講師(経営学) 「コンセプトの品質管理」という技術を核として、広告キャンペーンやテレビ番組製作はもちろん、新規商品・事業の開発から既存事業や組織の活性化といった経営課題に至るまで、クライアントに「棲み込む」独自のスタイルで対応している。コンサルティングサービス「Indwelling Creators」主宰。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員等。受賞多数。著書「〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考」、「コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法」(ともに朝日新聞出版)は海外(英語・タイ語・前者は韓国語も)で翻訳・出版 されている。

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