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「何にでも手を出す人は、何も身に付かない」。世界中でよく聞く、戒めの言葉だ。でも、私の考えはちょっと違う。

「何でも屋さん」は、いつも違ったことをやり続けている人だ。「だから、何の専門家にもなれないんだ」と非難される。精力を分散させているからだ、と。けれども「何でも屋さん」の長所は、いつも違ったことをやり続けているところだ。どんな場所へでも気安く出向いていく。ひとごととして観察するのでなく、自分でやってみて、体験から学ぶ。好奇心があふれているのだ。

 

私はもう何年も「何でも屋さん」だ。興味のある分野は、伝統アート、タトゥー、起業家活動、ボランティア、電子機械工学(小規模だけど)などなど。クリエーティビティーを、アート、コピー、既存の芸術形式に限定する必要がどうしてあるだろう。科学、数学、政治、社会、自然、旅など、全てが混じり合った領域。未知のブレンドこそ、私の考えるクリエーティビティーだ。

 

クリエーティブ業界に就職して、これまで多くの人が助言してくれた。不思議と同じ内容だ。「デスクにひたすら座り続け、飽くことなく考え続けなさい」(私はそう考えないんだけどなぁ)。クリエーティビティーをよどむことなく流れさせるために、オフィスの外へ飛び出すのが好き。人が何をしているのか興味を持ち、話しかけ、自分が知らなかったことを学び、やってみる。怖くてこれまで近寄らなかった場所にも、ちょこっと行ってみる。

 

一回りしてデスクに帰ってくる。紙やスクリーンに向かって思いついたことを書き留めてみる。あら、不思議。最初に考えていたアイデアとはまるで違っている! さまざまに暮らす人たちをつなぐ、開閉自在の橋になれたみたいで気分がいい。

興味を持ったことを一つずつ試していけば、きっと自分の進む道が見つかる。体験で得た知識、知見を「何か新しいこと」に変換してみればいいのだ。「何か新しいこと」をやり続けていけば、器用貧乏とは一味違う、答えを創り出す「何でも屋さん」になれる。私には、なんだか、そう思えるのだ。

 

ベルリンの奇妙な美術館「Design Panoptikum」で見つけたアート作品。私の「何でも屋さん」のイメージにぴったり!オーナーでアーティストのVlad Korneevさんの作品。

                        (監修:電通 グローバル・ビジネス・センター)

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著者

Lex Remalante

Lex Remalante

電通ハイミー・サイフー(フィリピン)

入社2年目。フィリピン国内、国際広告賞で多数受賞。仕事以外では、個人プロジェクト、ボランティアに力を注いでいる。アート、科学、自然を統合した知恵で、貧困や都市環境の問題に答えを見つけるのが目標。人と話すのが楽しくてたまらない。スパイスが利いた食べ物なら全部大好き!

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