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コラボデザインの余地

1+1=∞ のコラボ・マーケティング №4

  • 坂本 弥光

2018/06/05

コラボデザインの余地

クリエーター泣かせともいわれる、コラボのデザイン。守るべきブランドトーンも、クリアしなくてはならないレギュレーションも2倍になる中で、どれだけ驚きのあるアウトプットをつくり出せるか。今回は、そんなコラボのクリエーティブについてお話ししていきたいと思います。

ロゴを並べればそれっぽくなってしまう不思議

複数のブランドや商品、サービスを結び付けて、一つのプロジェクトを立ち上げる。そんなふうにコラボの企画を進めていくと、遅かれ早かれアウトプットのデザインという、楽しくも難しい壁にぶつかります。

その時、誰もが真っ先にイメージするのが、コラボブランド同士のロゴマークが真ん中に並記されたもの。ニュースを早く伝えるといった面では効果を発揮し、それらしいものになるでしょう。お互いのファンをシェアする、というコラボが生み出す最大メリットを考えれば、まっとうな方法ともいえます。

しかし一方で、それがすごく面白いかどうかは別の話。引っ掛かりがなければ、何の態度変容も起こせず、ニュースにならず流れてしまうかもしれないのです。何より「誰がやっても同じ」デザインに落ち込む可能性もあります。そういった意味では、クリエーター泣かせとされるのも仕方がないのかもしれません。

どこをデザインするか

では、どうすれば、クリエーティブなアウトプットが生み出せるか。まず最初に頼るのは、それぞれのブランドが築いてきたVI(ビジュアル・アイデンティティー)ではないでしょうか。テーマカラーやトーン&マナー、テキスタイルの印象など、そのブランドたらしめるデザイン要素を、選んで抽出する。それらを並べて、どう掛け合わせるか。ある意味、真っ当な方法です。

しかし、全てを網羅しようとすると、「デザインする余地がない!」と立ち止まることがあるかもしれません。真ん中を狙い打つことは非常に難しく、またそれぞれのブランドイメージを大事にし過ぎた結果、切り貼りしたような中途半端なデザインになりかねません。

そんな時は、一度そういった要素を全て捨ててみることをオススメします。その上で、2ブランドに共通する1色や、あえて採用していないトーン&マナーなど、たった一つだけの要素をよりどころに、全く新たなブランドとしてのトーンを考えてみるのです。

コラボ1-upコラボ1-down

それは、二つの異なる商品やブランドの中でのちまちまとしたデザイン調整ではなく、思い切って統合した「1枚絵」をつくるイメージに近いかもしれません。

人が取り入れる情報の8割は視覚情報だといわれているように、消費者はビジュアルの変化に敏感です。ニュースをつくることを目的と捉えるなら、ビジュアルデザインで結果が見えてしまうといっても過言ではありません。

ブランドの客観的理解

ここまでデザイナー、クリエーターの立場で述べてきましたが、ブランド担当のマーケッターとして、デザインフェーズでの担うべき役割について(生意気ながら!)少し触れたいと思います。

一つ挙げるとするならば、そのコラボで他社や他ブランド・他商品の名前を借りることの意味を、改めて考えることです。つまりは、今回つくるものの半分はコラボ先企業のものであり、コラボ先企業の商品も自社のものと捉えることです。

そうすれば、自社資源やブランドセオリーにがんじがらめにされることなく、いつもと違う判断軸で考えるきっかけになるかもしれません。

コラム2-upコラム2-down

ブランド担当者は、普段は1:1でブランドと向き合うことが多いと思います。しかしコラボの場合は上図のように、四つの1:1の集合になります。相手先は、自分たちの商品をどう捉えているのかを考えてみると、そこには、いち消費者以上、自社マーケッター以下(もしくは自社マーケッターと同程度)の関わり方をしています。そのため、商品の新たな魅力を発見したり、理解を深めたりすることができ、それを生かせるかはあなた次第なのです。

フォトジェニックのわな

コラボとは少し離れますが、最後にフォトジェニックに潜むわなについて触れたいと思います。

ここ数年「インスタ映え」と騒がれているように、商品やサービスと消費者との接点である「ビジュアルデザイン」への期待が加速しています。インスタに写真をアップするために、何かを買ったり、どこかに行ったり、イベントに参加するといった、逆算行動までもが当たり前になっています。企業側も流れに乗るべく、宣伝活動の域を超えて、サービス内容そのものを変えることもあります。

しかし一方で、消費者側は、そういった企業の下心が見える商品にどんどん敏感になってきています。ターゲットが若者=SNSで広くリーチ! フォトジェニックなパッケージでどんどんインスタにアップしてもらおう! なんていう下心が透けて見えていれば、全く見向きもされないのです(よっぽどカワイイものであれば別ですが)。

あくまで、こんなオシャレなものを見つけたから自慢したい、いいねが欲しい、友達にシェアされたい、という自己承認欲求をかなえるツールであることを、理解しなくてはいけないのです。

それでもフォトジェニックな拡散を狙いたいのであれば、とにかく主導権を消費者に持たせること。ただ単にかわいくてキレイなものより、ちょっとした遊びや、思わずやってみたくなるような体験設計まで含まれていると、関心を引く可能性はぐっと高まります。

飽和しつつある「フォトジェニック市場」での立ち居振る舞いは、リーチより深度を重視することから改めて考えるべきなのです。

それは、ブランドと消費者との、いい距離感をつくっていくこと。そのためにも、ちょっとした驚きや楽しい体験を与えられるコラボは、実はいい方法の一つなのかもしれません。(次回につづく)