北海道で“ボールパーク”を共同創造しませんか?
2018/06/11
2018年3月に設立された「北海道ボールパーク」は、北海道日本ハムファイターズ(以下・ファイターズ)、日本ハム(以下・日本ハム)、電通の3社が出資した合弁会社です。
この設立の背景にあるのは、23年の開業を目指して着々と進んでいる、ファイターズのボールパーク構想。電通がこのプロジェクトに携わる狙いを、社内のプロジェクト推進リーダーであるスポーツ局・若林亮部長に聞きました。
【目次】
▼「ボールパーク」と「野球場」はどう違う?
▼日本のスポーツビジネスはかつてない拡大・発展期に!
▼ボールパークという空間をあらゆるジャンルのパートナーと“共同創造”する
「ボールパーク」と「野球場」はどう違う?
ボールパークとは、野球場を中心として周辺に商業施設やホテル、レストランなどが併設されている空間の総称です。
ボールパークは単なる球団事業ではなく、人々の生活を豊かにする「街づくり事業」「都市計画事業」という側面も持っています。例えば米メジャーリーグ(MLB)では、各球団が行政も巻き込みながら、スタジアム・商業施設・アトラクション・公園など、さまざまな施設・要素で複合的に構成されるボールパークを建設しています。
そうすることで、野球ファンはもちろんのこと、野球に関心のない人々も広く引きつけ、市民の日常生活における重要な構成要素として、地元に溶け込み・親しまれることを目的としています。
電通がファイターズのボールパーク構想に携わる理由は大きく二つあります。
一つは、スポンサーシップ権や球場の看板広告の販売などといった既存の電通のスポーツビジネスの延長線上で、ファイターズのお手伝いをすること。
もう一つは、ファイターズと共同で新しいビジネスモデルを構築することで、東京オリンピック・パラリンピック以降の日本のスポーツビジネスの持続的成長に貢献する、ということです。
日本のスポーツビジネスはかつてない拡大・発展期に!
13年のIOC総会で東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定されて以降、日本のスポーツビジネスが未曽有の拡大・発展期に突入していることは、皆さんも何となくお察しかと思います。
スポーツ庁からは、12年時点で5.5兆円規模だった日本のスポーツ市場の規模を、20年までに10.9兆円、25年までに15.2兆円へ拡大させる目標が示されています。スポーツビジネスは、超高齢化社会に伴い国としての成熟・衰退期を迎える「課題先進国」日本を、経済的にもムード的にも盛り上げていくと期待されています。
一方で、中国のスポーツビジネスバブルを背景に放送権を中心とした各種権利料が高騰したり、OTT(※)をはじめとする新しい市場にDAZNやAmazonなどの新しいメガプレーヤーが台頭したりと、ビジネスの枠組みを変えるような大きな波が押し寄せてきています。
電通もこうした状況を受け、従来のようにスポンサーシップや放送権のエージェンシーとして機能してきたビジネスモデル以外の、新しいモデルを構築する必要が出てきました。
※Over The Topの略で、インターネット回線を通じて動画、メッセージ、音声などの配信を行う事業者のこと。動画配信を行うYouTube、メッセージ機能・音声通話ができるLINE、Skypeが代表的な例。複数のデバイスで同じ内容にアクセスできるという特徴がある。
ボールパークという空間をあらゆるジャンルのパートナーと“共同創造”する
ファイターズのボールパークは23年の開業を目指しており、建設候補地も北広島市総合運動公園に内定しました。このボールパーク建設計画を推進していくのが、日本ハム、ファイターズ、電通の合弁会社である「北海道ボールパーク」です。
ボールパーク建設に先立ち、このボールパークという空間を一緒に創造していくパートナー企業とのマッチングの領域を、電通が中心になって取り組んでいます。
まだまだカチッとした枠組みは決まっていませんが、さまざまなパートナー企業とともに、それぞれの強みを持ち寄りながら、最高のボールパークを実現したいと思っています。ボールパークには、以下の3つの重点テーマがあります。
このテーマに沿って、例えば、以下のようなことを考えています。
- テクノロジーを活用した新しいスポーツ観戦体験を設計する
- 北海道らしい温泉やサウナなどを併設し、近隣の方に日常の中で「普段使い」をしてもらう
- 地元の食材を利用したレストランやカフェを作って今まで野球観戦しようと思わなかったライト層にも足を運んでもらう
こうしたことを実現するには、従来のスポーツ施設の概念に収まらない、多様なジャンルのパートナーが必要です。
ファイターズの主催試合だけで年間に約200万人のファンの動員が見込まれるボールパークを「次世代の事業・マーケティングを試みる、最先端の実験場」として活用いただくこと、そして企業と社会の持続的な成長に役立てていただくことで、パートナー企業とWin-Winの関係を構築することをイメージしています。
既存の事業・マーケティングモデルから脱却するきっかけを探しているクライアントから、スポーツを軸に新しい仕掛けを考えている電通グループ社員まで、皆さんと一緒に、最高のボールパークを“共同創造”したいと思っています!
本連載では、ボールパークのコンセプトづくりを担当している同期の小布施典孝氏(3CRP局)をはじめ、ボールパークに携わるキーパーソンが登場し、どんな夢を実現していくかのビジョンを徐々に皆さんにお伝えしていきます。お楽しみに。