未来の先生展で
電通が「コトバとデザインとプレゼンの授業」を実施
2018/09/20
「未来の先生展2018」が9月15、16の両日、東京・渋谷区の聖心女子大で開催された。
17年に続き2回目の開催となる同展は、「未来の教育のショーケース」を掲げる国内最大級の体験型教育イベント。多様化が進む教育現場の取り組みを一堂に集め、個々の枠を超えて交流する場をつくることで知識や視点のつながりを広げることを目的とし、非営利のTeacher’s Lab.が主体で運営する。
国内外の先進的な教育実践者が多数参加し、教科教育だけでなくスポーツや芸術など多岐にわたるプログラムで注目を集め、昨年は来場者数が延べ3000人を超えるなど盛況だった。
「再構築(リストラクチャリング)」をテーマとし、ICTやオルタナティブ教育など、より幅広い領域をカバーする今回は、「次期学習指導要領の目指す改革と、現場の挑戦」や「国際バカロレアは日本の教育を変えるのか?」、「『より良い世界へ導くリーダー』の育成」をはじめとするシンポジウム、企業による出展ブース、ポスターセッションなど160以上のプログラムを実施し、昨年を上回る規模となった。
中でも、「電通アクティブラーニング こんなのどうだろう研究所」が実施した「広告会社発! コトバとデザインとプレゼンの授業」は、ユニークな内容で参加者の関心を集めた。
「あらゆるモノ・コトを言葉で描く『言葉の絵画教室』」と題した講義は、言葉が持つ力を利用して着眼力を鍛えるプログラムで、目の前にある物体をデッサンするように言葉を使いながら表現するというもの。
同研究所コピーライター兼ゲームデザイナーの大山徹氏は、「一つの決まった正解を求めない、いろんな人の意見を取り入れて新しいモノを生み出すなど、アクティブラーニングから生まれる副産物を生かしながら、アイデア出しやビジネスに展開することを目的としている」とプログラムについて解説し、「私たちは教育のプロではないが、広告制作を通じて先生方と対話を繰り返し、一つの手法に固執せずさまざまな提案を行っている。授業が面白くなれば世界が面白くなる。教育が変われば未来が変わる。学生時代に自分がやってほしいと思った授業をつくりたい」とコンセプトを述べた。
「言葉の絵画」とは言葉の通り、「モチーフを言葉で描いていく絵画のこと」とし、各グループのテーブル中央に置かれたバナナやリンゴなどをモチーフに、まず「見えるままを描く」をテーマとして、文字だけで表現することが指示された。
続いて、まったく同じモチーフに対して「ストーリーを入れて描く」こと。そして最後に、目に見えるモチーフがなく「“大きい”ことを伝える内容とするという課題が与えられると、参加者は悩みながらも原稿用紙と向かい合った。
グループごとの作品発表が終わると、大山氏は「このプログラムは『視点と視座』を生かすことを目的としたもの。グループ内で物理的に違う角度からモチーフを見ることで視点が変わる。ストーリーを入れると、視点を超えて視座を変えることができる。ものの見方はものの伝え方。3回描くことで、自分の視点、他人の視点の傾向を発見することができる」と講義を締めくくった。