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AI時代の財務アドバイスに求められる体験デザイン

frogが手掛けるデザインとイノベーションの現在・未来No.17

2019/03/11

AI時代の財務アドバイスに求められる体験デザイン

この記事は、frogが運営するデザインジャーナル「DesignMind」に掲載されたコンテンツを、電通エクスペリエンスデザイン部岡田憲明の監修でお届けします。

人の機微と、高度なAI(人工知能)を利用したチャットボットとの融合で、財務アドバイスの信頼性と顧客満足度がますます向上しています。

「お金の使い方を教える」という職業は、貨幣というシステムと同じくらい古くから存在します。現在、財務アドバイスの市場規模は700億ドルを超え、さらに成長していますが、従来型のアドバイザーの地位はAIや機械学習などの新しい技術に脅かされています。

多くの人は、デジタル製品やチャットボットのサービスを追加するだけで、人間のアドバイザーによる思慮深い助言の代わりができると考えています。しかし、相手の人となりに応じたチャットボットの使い方を考え、人間によるアドバイスとうまく組み合わせられる者こそが、業界の本当の勝者となるのです。

顧客の期待度が高く、相手によって有効なコミュニケーション方法が異なる現代には、誰にでも適したアドバイス方法などありません。しかも、お金の問題には感情が伴います。顧客の性格に合ったアドバイザーやアドバイスを提供するのは当然でしょう。顧客に応じて最も有効で望ましいコミュニケーションスタイルを判断できる、インテリジェントなチャットボットをイメージしてみてください。チャットボットと人間の効果的な組み合わせを築くことで、顧客をよく理解し特徴を見抜けるようになれば、コンサルティング会社は適切な人間のアドバイザーを振り分けられます。

ここでは、支出と貯蓄、投資、税務と相続計画という、財務アドバイスの三つの基本的な分野におけるチャットボットの典型的なタイプを検討します。

支出と貯蓄

予算全般、財務計画、あるいは財務習慣などの助言を求める人は、伝統的なファイナンシャルプランナーや債務処理を行う会社にとどまらず、財務アドバイスで有名になった本の著者にまで頼ります。デイブ・ラムジー、スーズ・オーマン、ジョージ・クレイソンなどは現代のカリスマ財務アドバイザーですが、あらゆる財務アドバイスの歴史は、ベンジャミン・フランクリンとその時代を超えた名言「支出に注意せよ。小さな漏れから巨艦が沈む」に遡ります。

予算と貯蓄に関する格言や知恵は山のようにありますが、重要なのは、それぞれの顧客に最も有効なものが何かをつかむことです。

Mintなどの資産管理サービスは、予算の作成や支出制限の設定(予算を超えると警告するなど)を手助けするという点で、単に利便性を提供するだけではない、顧客の適切な資産形成をサポートするサービスへと進化しています。基本的には音声検索と同じ仕組みで、「現在の預金残高は?」「食費はどれだけ使った?」「ケーブルテレビ料金の支払期限は?」などの質問に答えてくれるチャットボットサービスです。予算と貯蓄に関する最新のアドバイスができるチャットボットであれば、貯蓄の利率から趣味や娯楽のための適切な出費まで、あらゆる相談に乗れるようになるでしょう。

では、財務アドバイスを行うチャットボットにどのようなキャラクターや振る舞いを与えるべきか、三つの可能性を検討してみましょう。

1.牽引者

厳しいコーチや指導者の役割を果たします。このキャラクターを与えられたチャットボットは、非常に教育的で、遠慮せずにくまなく支出を調べ、少しでも予算を超過すれば厳しく注意します。極端な場合、口座を管理して支出できないようにしたり、条件付きで支出を認めたりする機能も備えています。

2.支援者

前向きな取り組みを促すコーチであり、予算や貯蓄の目標達成ができないときの立て直しを手助けしてくれます。場合によっては牽引者とセットで「悪玉と善玉」を演じます。前向きな激励でやる気を出す人には効果的です。

3.共感者

顧客に理解を示し、振り返りを促します。何度も考え直すことで、たいていの場合は自分で結論にたどり着くことができるため、自分で納得して結論を出したい人には最適です。

投資

現代の投資アドバイザーには多くの形態があります。

財務アドバイザーや一部のブローカー(「ロボアドバイザー」を使い、主にリスク許容度、資産運用、節税対策について助言する現代的なブローカー)は、財務の相談に乗ることで報酬を得ますが、分散投資の効用があるミューチュアルファンドやインデックスファンドは、財務相談ではなく財務管理を担うことで収益を得ています。

このようなサービスの価値は主に、資産の維持・増加、低コストの投資オプション、状況に応じた資産の適正配分、財務計画などにあります。

「アドバイス」に類似した自動機能もすでに数多くあります。例えば、自動引き落としや企業年金制度の401kプラン、投資配分を自動的に変更するターゲット・デート・ファンド、顧客のリスク特性と目標を一致させるロボアドバイザーなどです。

「ただの成功者と違い、本物の成功者は、ほぼすべてのことに『ノー』と答える」― ウォーレン・バフェット

投資には、短期売買のスイングトレードから、自己判断による長期投資、100%市場の動きと連動するETF(上場投資信託)までさまざまなパターンがあります。投資を行う顧客に対するアドバイザーには2通りのキャラクターと振る舞いが考えられます。

1.北極星

長期の投資計画をサポートし、とりわけ市場の変動が激しい時期に持ち味を発揮します。長期保有戦略を取る投資家は、不況が話題になると突然心配になり、現金化を考える場合があります。また、友人がビットコインや新興のインターネット企業株、急成長中のテクノロジー企業株で大儲けしたことを聞くと、自分の戦略をつまらなく思うこともあります。進むべき方向を指し示す北極星は、こうした心配性で短絡的に意思決定を誤りやすい投資家に適しています。

2.メンター

性格・能力ともに取引に向いている人でも、時には自惚れに任せて個別の株式や市場の動きを追いかけてしまうことがあります。メンターは、顧客の取引全体を把握し、過去の良い行動と悪い行動を指摘することによって、投資や取引に関して自制心を持ち自分で決めた投資基準を守ることを促します。

この記事の続きはウェブマガジン「AXIS」にてご覧いただけます。


デイビッド・ゼマネク 

製品やソリューションを提供する企業の最前線でキャリアを積む。銀行に始まり、金融市場向けのソリューションとして、ソフトウェアおよびSaaS、インテグレーションなどの技術分野を経験し、現在はfrogでイノベーションコンサルティングに取り組んでいる。