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frogが手掛けるデザインとイノベーションの現在・未来No.18

誰がイノベーションを進めるのか?

2019/06/21

この記事は、frogが運営するデザインジャーナル「DesignMind」に掲載されたコンテンツを、電通エクスペリエンスデザイン部・岡田憲明の監修でお届けします。

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frogのオースティンスタジオのデザイン&ストラテジーチームに、次の二つの疑問が投げかけられました。一つは「イノベーションを主導する場で、女性はいったいどのような立場にあるのでしょうか」というものであり、もう一つは「どうすればより多くの女性がその場に参加できるでしょうか」というものです。

目を閉じて想像してみてください。未来を描き、イノベーションを実現する人たちのことを。あるいは、今後何年にもわたり組織を動かし、成長させ、変える責任を担うイノベーション担当役員やリーダーのことを。いったい誰を思い浮かべましたか。その職に就いているのは誰だったでしょうか。

データで見てみましょう。役員のうち、女性の割合は5人に1人にすぎません。さらにいえば、白人以外の女性は30人に1人もいません。あなたの想像どおりでしょうか。イノベーション・コンサルティングを行っている女性の目で見ると、未来をつくる仕事を担うリーダーの集まりは、どの業界でも50年ほどのひと昔前とほとんど同じ光景であることに気がつきます。しかしデザイナーとして考えると、様々な視点や背景、文脈をその場に取り込まなければ、最高レベルのイノベーションを実現できないことは明白です。

イノベーションの系譜

大昔はこうではありませんでした。実は、人類初のコンピューター・プログラマーは、1840年に高度な解析装置に可能性を見いだし、現代の汎用コンピューターにつながるアルゴリズムを最初に公開したエイダ・ラブレスという女性だというのが通説です。いったい何が変わってしまったのでしょうか。

その答えを見つけるために、私たちは、ビジネス、デザイン、科学、技術部門の経営幹部としてイノベーションを先導する、先駆的な女性たちに、どのようにして現在の地位まで上りつめたか、直面した課題、そしてここに至るまでに何を学んだかをインタビューしました。彼女たちの話は、行動を起こし、私たちが求めているように男女が平等の機会を得られるよう変化を起こさなければと思わせるものでした。

女性が高い地位を得るための二つの警告と四つの助言

インタビューした25人の女性イノベーション・リーダーは、業種や経験、人種や民族、出身地や年齢など異なるバックグラウンドを持っていますが、共通する特性があります。それは、強さ、根気、意欲、自覚、そして勇気であり、ひと言で表せば「スーパーウーマン」だということです。彼女たちが語った、高い地位を得るための二つの警告と四つの助言を皆さんにお伝えします。

警告1 思い込みは避けられない

二つの博士号を持つカリン・ラクミ博士は、生命科学分野に特化した検索エンジンを提供するBiozの創立者かつ科学部門の責任者です。かつて、スタンフォード大学で研究を行っていましたが、優れた実績にもかかわらず、彼女がメール送信先リストの中でたった1人の女性であったために、会議予定を管理する役員秘書だと思われたこともあったそうです。このような偏見に満ちた環境では思うような研究ができないと、彼女は、世界初の生命科学実験用AIサーチエンジンの基礎を築くために、スタンフォード大学の恵まれた地位を退きました。

故意かどうかにかかわらず、こうした思い込みから生まれる偏見にどう向き合えばよいのでしょうか。

警告2 疲れがたまると、バランスを取ることで頭がいっぱいになる

frog designでクリエイティブ・ディレクターを務めるルーシー・スウィザンビーは、ビジネス上の課題を解決するために、自身のデザインスキルをよく活用しています。多くの課題に対応する中で、ほとんどの女性が「自分の弱さを見せないために疲労を隠そうとしている」ことに気づきました。注意を払うべきあらゆる分野のバランスを取るには、どれだけの労力が必要なことか。

スーパーウーマンでいるのは大変です。彼女たちにとって最も重要な活力を維持するには、どのように手助けすればよいのでしょうか。

助言1 リスクを恐れるな

AIVITA Biomedicalで臨床開発と薬事規制の責任者を務めるキャンダス・シーエは、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を座右の銘にしています。自社の女性社員を指導するときには、「何かを求めても得られないかもしれません。しかし、求めなければ未来永劫決して得られないのです」と助言しています。

リスクを承知で挑む女性たちを勇気づけるため、私たちは何ができるでしょうか。

助言2 常識や慣習にとらわれない

Cognizant Technology SolutionsでIoTコンサルティング部門の責任者だったメアリー・マーフィー=ホイエは、意欲的なノルマを課してキャリアを積んできました。彼女は、1980~90年代のハイテク産業の女性たちは、孤立し、今とは違っていたと言います。彼女たちは、自分を強く信じ、「大丈夫。うまくいく」と自らを鼓舞する必要がありました。

『フューチャー・オブ・ワーク(The Future of Work)』の著者であり、彼女の協力者でもあるマサチューセッツ工科大学スローン経営学大学院のトーマス・マローン教授は、自分ならではの行動規範を決めるようメアリーに勧めたと言います。「彼は世の中の常識にまったくとらわれない人なんです。家を建てるのにどのぐらい時間がかかるでしょうね、と尋ねると、彼はこう答えました。『24時間もかからないでしょう。ゲームのルールや考え方をちょっと変えればいいんですよ』」

Googleのハードウェア製品デザインの責任者であるアイビー・ロスは、「この世界に飛び込んで、いつも自分らしくあろうとしてきただけです」と、現在の成功の源泉が、アーティストとしての若い頃の経験や、ありのままの自分であり続けようと努力してきたことにあると感じています。

仕事の暗黙のルールを理解し、それを打ち破るために、どのような支援ができるでしょうか。

この記事の続きはウェブマガジン「AXIS」にてご覧いただけます。

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ジョナ・ムーア

勤続18年。革新的なユーザー・エクスペリエンス・デザインを担当するfrog北米技術チームの責任者。frogの組織活性化推進のリーダーを兼任。いくつかの政府機関のほか、King County Metro、Marriott、USAA、Johnson & Johnson、Banco Azteca、Microsoft、WA Stateといったフォーチュン500に名を連ねる大手企業で実績を上げ、多数の受賞歴を誇る。趣味は夫と4歳の息子を伴って各地を探索する家族旅行。

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ラーコム・タイヒグレーベ

2015年frog入社。オースティンスタジオの戦略担当。小売り、消費財、医療・健康、自動車関連の大手・中小企業を担当。frog入社前に在籍したGeneral Millsでは、ブランド戦略や、シリアル・スナック・ヨーグルト事業分野で新製品開発を担当。ユーザーとクライアントを支援し、昔ながらのアイテムを新しくつくり直す独創的なやり方を考案するという仕事を満喫している。ケビン・ジョン・プードルという名の犬を飼っている。