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「メセナアワード2019」大賞は
竹中工務店「聴竹居」による社会貢献と建築文化発信

2019/10/30

    聴竹居
    聴竹居

    企業メセナ協議会は10月18日、「メセナアワード2019」の受賞活動7件を発表した。メセナアワードは、企業による芸術・文化を通じた社会創造の特に優れた活動を顕彰するもので、今回が29回目。

    大賞には、竹中工務店の木造モダニズム建築「聴竹居(ちょうちくきょ)」による社会貢献と建築文化発信活動が選ばれた。歴史的建造物の保存・管理にとどまらず、地域全体で取り組むことで交流を創出し、地域文化醸成にも大きく寄与している。

    京都府大山崎町・天王山の麓にある聴竹居は、1928年に建てられた故藤井厚二氏の自邸。藤井氏は、竹中工務店に在籍した後、欧米の様式と日本の自然環境を融合させた「環境工学」を研究し、日本における住宅の理想形を追求した建築家である。聴竹居はその研究成果が結実した建造物だが、2000年以来空き家となっていた。竹中工務店はその実測調査などを経て、予約制で一般公開を始め、16年に土地、建物を譲り受けた。翌17年には国の重要文化財に指定され、年間来場者が1万人を超えるという。

    一方、その見学対応を担うのは、地元住民で構成された「聴竹居倶楽部」で、企業と地域との結び付きによって社会貢献と建築文化発信とが果たされている点が高く評価された。

    その他優秀賞には、商品デザインを広くユーザーから募り、その受賞作品を製品化する「コクヨデザインアワードプロジェクト」(文具を超える文具賞)や、視覚障がいのある招待者を自宅から会場まで送迎し、会場内でも誘導サポートを行う、日本ユニシスの「川畠成道コンサートプログラム」(耳を澄ませば心に響く賞)などが選ばれた。

    また、特別賞である文化庁長官賞は、キヤノンの「綴プロジェクト」に決定。国内外にある日本古来の文化財の高精細複製品を制作し、所蔵者、寺社、地方自治体などに寄贈している活動で、日本文化発展への寄与が認められた。
    贈賞式は11月20日、東京・青山のスパイラルホールで開催される。