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潜在嗜好に着目!直感マーケティングNo.1

2019/12/17

デザイン心理学による、直感マーケティングとは?

何か買うとき、何か決断をするとき、すべて“理由付き”で行いますか?
行動の根拠はいつも、言葉で言い表せるものでしょうか?
「なぜかと聞かれても分からない。ただ何となく好き!」「気分で選びました」「パッと見で、一目ぼれした」
こんな風に物事を決めることも結構多いはずです。今日は、そんなお話を…。

「デザイン心理学」とコラボレーション

人間の直感や感性、潜在嗜好などを科学的に追究する「デザイン心理学」という学問があります。千葉大学の日比野治雄教授が確立された分野です。電通メディアイノベーションラボでは、日比野教授と10年前に行った雑誌広告の高級感に関する研究以降、教授およびBBSTONEデザイン心理学研究所(教授が技術顧問を務める千葉大工学部発ベンチャー企業)と共同プロジェクトを推進しています。

日比野教授によると、商品がたとえ“便利”とか“高機能”であったとしても、そもそも人の潜在的嗜好に響かない場合、うまくいかないことも多いといいます。昨今ではデジタルやITを駆使したこれまでにない商品も多々登場していますが、感性的に受け入れられないという理由から成功に至らないケースもあると教授は分析します。

潜在嗜好が行動へ影響する部分は大きい。

このような潜在嗜好に着目するBBSTONEデザイン心理学研究所は、デザイン心理学をビジネスへも応用し数々の成果を上げています。例えば、シニア層を狙ったエアコンのリモコン開発では国際ユニヴァーサルデザイン協議会IAUD award を受賞、食用油のパッケージを直感的印象に優れるデザインへリニューアルした作業では売り上げを30%アップに導いた事例もあるそうです。

それでは、電通が2019年から取り組んでいる共同プロジェクト「ヴィセラル™テスト」についてご紹介しましょう。


気分を数値化する、ヴィセラル™テスト

ヴィセラル™テスト(※)は、画像を用い、消費者の「今の気分」を数値化するメソッドです。

人の気分は季節とか時間帯とか場所とかでコロコロ変わり、自分でも気付かないことも多いものです。ヴィセラルテストでは、次々に画面に表示される画像に対し、ボタンを押すなどにより、その瞬間の“心のスイッチ”がどこに入っているか(共同チームで「ヴィセラル™」と命名)を浮かび上がらせます。(下図はヴィセラルテストのベースとなる「画像得点化実験」の様子)

本年は第一弾として、日頃クライアント企業の皆さまから相談の多い、20~30代の女性に実験に協力いただき、モデルを開発しました。

今回のモデルでは、女性の心理として六つのヴィセラル、「WILD(辛)」「ELEGANT(潤)」「TSU-YA(艶)」「SWEET(甘)」「A-Ge(↑)」「TIRED(静)」を設定しました。

「WILD(辛)」は心がささくれだったような感じ、「ELEGANT(潤)」はしっとりとしてゆとりのある感覚を代表しています。「TSU-YA(艶)」は異性を意識したモードであり、「SWEET(甘)」はカワイイとかメルヘンな気分を表します。「A-Ge(↑)」はアクティブで高揚した感覚、「TIRED(静)」はこじんまりとした静的なモードです。

これらは、世代やライフスタイルに関する研究資料、象徴的なファッション・著名人のタイプなどから研究チームがディスカッションの上、さまざまな形容詞などのワードとして集約し、近い概念ごとのグルーピングを行ったものです。

共同研究チームは、さまざまな画像を実験対象者に提示し、画像が各ヴィセラルをどれくらい多く含有しているかという得点化を行いました。米国で開発されたIAT(Implicit Association Test: 潜在連合テスト)をデザイン心理学の見地からアレンジし、マーケティングにも活用できるよう意図しました。詳細は割愛しますが、1/1000秒レベルのテクノロジーも背後で働いています。

「画像得点化実験」から得られた結果のイメージは、こんな感じとなります。

※ヴィセラル™テスト=米国の著名な認知心理学者Donald A. Norman氏が、その著書 ‟Emotional Design”(2004年刊)の中で述べている‟visceral level”という用語を参考にしています(‟visceral”という単語自体は、「内臓感覚の」あるいは「直感的な」という意味のごく一般的な単語で、Norman氏の造語ではありません)。

今の気分や直感をマーケティングに活用!

この手法は、実験の枠を超え一般消費者に参加してもらうことにより、①その人の今の気分を解き明かし、②これにフィットする商品・サービスをレコメンドする、といったマーケティング活用への可能性が広がります。

例えば、「WILDなあなたへは、こんな旅を」「ELEGANTのあなたは、こんなファッションを」「TSU-YAのあなたに、こんな香り(味)を」「TIREDなら、こんな動画を」「A-Geな時、こんなアプリを」といった使い方はいかがでしょうか。スマホで画像に「いいね!」を入力させるなど、面白い開発へ向けてご相談も歓迎です。

ヴィセラルテストは「今この瞬間」にこだわります。そして、目に見えない潜在的な気分を解き明かす、極めて科学的な心理テストです。

過去のデータや目に見える事象に基づく提案を否定するつもりはありません。ただ、直感とか気分とか、そういったもので消費者が動く(=人間は非合理的な存在である by日比野教授)という側面に着目することも重要です。マーケティングの未来へ向け、潜在嗜好の領域も有効に活用してゆければと考えています。

ご興味がございましたら、電通メディアイノベーションラボの長尾までご連絡(mediainnovation@dentsu.co.jp)お願いいたします!

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