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超高齢社会の課題解決ビジネスNo.3

2020/02/13

超高齢社会の課題解決ビジネスのヒントを探る!

本連載「超高齢社会の課題解決ビジネス」では過去2回、課題解決ビジネスの重要性とビジネスの発見の仕方、開発の仕方について説明してきました。連載第3回では超高齢社会の課題解決ビジネスの具体的な事例についていくつかご紹介したいと思います。

難聴者でも聞こえやすい音のバリアフリー

左から、ミライスピーカーを前に宮原副社長、山地浩社長
左から、ミライスピーカーを前に宮原信弘副社長、山地浩社長

最初にご紹介するのは、「体の変化」に対応した商品のケースです。聞こえづらい、忘れやすい、疲れやすいなど、加齢とともに訪れるさまざまな身体機能の低下はいつか誰にもやってきます。できるだけ長く自立生活を続けたいと、多くのシニアは日々、食生活や健康に留意します。しかし、それもかなわず、日常の生活に不自由を感じる人々も一定程度生じます。

例えば、「聞こえづらさ」について。現在聞こえに何らかの困難を抱える方は国内で1400万人存在するといわれています。聞こえをサポートする機器としては補聴器がありますが、装着感が気に入らない、うまくチューニングできないなどで、実際の利用者は14%程度といわれています。

「ミライスピーカー」は、そんな難聴者の聞こえづらさを解消してくれるスピーカーです。これは、「蓄音機の出す音は難聴者に聞こえやすい音だ」という話を元に開発されたカーボン素材などを使った曲面形状のスピーカーです。距離が離れた場所でも音量が減衰しないエネルギー波の高い音を出すスピーカーで、現在多くの金融機関や証券会社、鉄道駅、空港などで採用されると同時に、最近は一般の高齢者にもサブスクリプション・モデルで提供されています。

聞こえづらさが高まるのは、一般に後期高齢期(75歳以上)といわれていますが、団塊世代が後期高齢期を迎える2025年以降に、こうしたニーズはさらに高まっていくことになるでしょう。

笑顔になれるクッキング・デイサービス

なないろクッキングスタジオの調理風景
なないろクッキングスタジオの調理風景

一般に「介護デイサービス」と聞いて思い浮かべるイメージはどんなものでしょうか。多くの方は、朝、車でお迎えが来て、施設では食事や入浴、リクリエーションなどが提供される、そのように考える方が多いでしょう。

「なないろクッキングスタジオ」は、そんな一般的なデイサービスのイメージをくつがえすオシャレな「クッキング(料理)」をテーマとしたデイサービスです。この施設での過ごし方は、本格的な西洋料理や和食を皆で分担して調理し、最後は皆で食べて楽しむこと。日常的な食事はつくり慣れたシニア女性にとっても、フレンチや本格的な和食調理は初めての方も多い。新鮮な気持ちでクッキングを楽しむことができます。

また、一般のデイサービスはレスパイト(休息)が主目的ですが、ここは、料理すること、調理作業が一定のリハビリ効果を生み出し、皆で楽しく料理を味わうことで日々の喜びにつながる好循環を生み出しています。このビジネスアイデアを思いついた神永美智子さん(ユニマット リタイアメント・コミュニティ)は、「これから高齢期を迎える団塊世代を先頭とする戦後世代は、自分たちで商品を選択することに慣れた世代の人々」と語ります。こうした人々のニーズを先取りする形で生まれたのが、「なないろクッキングスタジオ」なのです。

東京に「もうひとりのお母さん」が持てるサービス

左から、利用者の藤井さん、「東京かあさん」ひろこママ
左から、利用者の藤井さん、「東京かあさん」ひろこママ

地域コミュニティーにおける人々のつながりの希薄化が叫ばれてから長い歳月がたちます。3世代家族から核家族化、さらには単身世帯が進むことで、日常的に誰かにちょっと頼りたい、相談したいと思ってもかなわず、悩み続けてしまう人たちも多いことでしょう。

「東京かあさん」はそのような人たちに対し、「疑似家族」を提供するサービスです。一般的な家事代行サービスは、家事労働のみを切り出し、「仕事」としてきちんとこなすことがビジネスのポイントになりますが、「東京かあさん」はそれだけでなく、家事や子守り、人生相談など、基本的には何を頼んでもOK で、「かあさん」ができる限り希望に応えようとするものです。

このサービスの利用者の多くは30〜40代の子育てママ世代ですが、一方「かあさん」となるのは60代から80代の方々。シニア女性の就労、異世代交流という視点から見ても非常に意義深いビジネスモデルになっています。

以上、超高齢社会における課題解決ビジネスの事例をいくつか紹介させていただきました。著書『超高齢社会の困ったを減らす課題解決ビジネスの作り方』には、これ以外にも数多くの事例が掲載されております。機会があればご覧いただけると幸いです。