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未来を予測するキーワードNo.11

“情報防災壕” 一人一人が大切なデータを守る暮らし

2020/05/13

国連によれば、自然災害による経済的損失が2017年には約3000億ドルを超えたとみられ(出典:国際連合広報センター)、2030年には、4310億ドルに達すると予測しています(出典:国連開発計画UNDP「災害リスクの削減は開発を持続可能にする」)。

日本での自然災害発生の割合は「台風」が6割弱と最大で、1時間当たりの降水量50ミリを上回る「大雨」の発生件数が、この30年で1.4倍に増加しています(出典:中小企業庁「2019年中小企業白書」)。また南海トラフ、首都直下地震は、30年の間に発生する確率は70%程度といわれています(出典:内閣府「日本の災害対策」)。

高度にデジタル化が進んだ社会では、電力喪失によって全てのデータが瞬時に失われる危険があります。人類は有史以来、災害のリスクに備えてきましたが、暮らしのDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応した新しい災害対策が求められます。

未来社会において、自分の大切な情報を守るために家庭には“情報防災壕”が備えられるかもしれません。防空壕は空襲から家族の命を守るシェルターですが、“情報防災壕”は、家庭の大切なデータを災害から守るシェルターです。

独立した電源を持つ一種の金庫のようなもので、写真や動画など家族の思い出の記録、音楽や映画のコレクション、親族の住所連絡先、資産や保険の情報などを、内部のストレージに保存することができます。例え水に浸かっても、火事で焼かれようとも電力が続く限り情報を保存します。

また、アナログ情報の保存にも有効です。デジタル情報は容易にバックアップが取れる半面、保存メディアによって堅牢性や寿命が左右されてしまいます。CDやDVDは長期保存可能といわれていますが、保存状況や品質によって左右され、永遠の存在ではありません。大切な写真は紙に焼き、映像はフィルムに戻すなど、あえてアナログ化しておいた方が、電気がなく機器が使えない状態での情報の復旧はより容易になるでしょう。

未来を予測するキーワードイラスト 情報防災壕

災害時の社会システムの維持は、国や企業の責務です。一方で、激甚災害に備えて、個人のレベルでは、命と同様に自分のデータを守る“情報防災”の気構えが必要です。デジタル化が急速に進む今、家庭でも真剣に“情報防災壕”の設置を検討する時期に入っているのではないでしょうか。


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