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未来を予測するキーワードNo.10

2020/04/17

“ロボットコーチ”があなたのスキルを引き上げる

近年、センサー技術や画像解析技術の進展で、スポーツの世界でも今まで以上に科学的なトレーニングが行われるようになってきました。例えば、GPSモーションセンサー(※)を装着して運動すれば、体への負荷状況を正確に計測可能です。運動強度や疲労の蓄積を見込んで、けがをせず、トレーニング効果を最大にするようなメニューを組めるようになります。ラグビー日本代表が利用例を紹介し、一般にも知られるようになりましたが、JリーグやBリーグのチームはもちろん、ユース年代でも取り組み例が増えてきています。 

※=GPSモーションセンサー
位置情報や移動速度、負荷の強さ・方向を記録・送信するデバイス

 
一方で、笹川スポーツ財団の調査(2015年 スポーツ少年団現況調査報告書)によると、少子化に伴い、小学生のスポーツ少年団の構成団員数が年々減少しているとのこと。1団体当たりの子どもの数は21.8人となっており、2002年の26.7人から4.9人の減少。スポーツによっては減り幅がより大きいものもあり、1年~6年で紅白戦をするのがやっと…という状況です。 

また、学校部活動が教員の負担になっているという議論も昨今見られますが、それに伴い今後、部活動も縮小傾向になることが予想されます。
 
少子化の影響は、そもそも競技人口が多くない競技にとっては死活問題です。全国高等学校体育連盟の2019年度の登録選手数(人数は全て男女合計)を見てみましょう。サッカー約17万人、バドミントン約12万人など、登録人数が多い種目もあります。しかしプレーに大型の機材が必要であるものや競技ができる場所が限られる種目、例えばカヌーは約1600人、ウェイトリフティングは約2000人と登録人数は少ない状況。日本選手の活躍が目立つスピードスケートは、約1300人で、競技環境的に当然ですが地域的にも北海道や東北地方に偏る傾向が見られます。 

少子化と競技人口の減少という逆風の中で、日本スポーツ界の国際競争力を高めるには、少人数(1人)でも効率的なトレーニングが行える手法が求められます。それを可能にするのが“ロボットコーチ”です。
 
ある程度コストが掛けられる種目では、既にAIを活用してアドバイスを行うロボットコーチを実現する機器が出現しています。例えば、ゴルフや野球では小型のレーダーを用いてスイングとボールの軌跡を解析し、具体的なアドバイスを行うような機器も出てきています。

このような技術が低廉化し、さまざまな競技に応用されれば、1人でバッティング練習をする場合も非常に効率的になるはずです。プロの目から見た的確なアドバイスを得られるので、スキル向上が早くなることも期待できるでしょう。集団スポーツでも、映像解析技術の向上で、戦術アドバイスを試合の直後から行えるようなアプリサービスも登場しているため、戦術意識の浸透などにも有効であると考えられます。 

さらに、ロボットコーチにおいて見逃せないのが「データが共有されること」です。個人練習で蓄積された膨大なデータは、当然ながらインターネットを介して、リアルタイムでクラウドで共有されることになります。それらのデータを分析することで、ある選手の得意なプレー・苦手なプレーが可視化されるので、長所を伸ばし、短所を克服するトレーニングメニューを作成することができます。子どもの才能を伸ばすことに加え、その子が最も活躍できるポジションを分析・提案することもできるかもしれません。

ロボットコーチ

 スポーツにおいては、幼年時は特定の競技に限定せず、さまざまな動きをさせることが重要という考え方があります。また、特定の競技では才能が発揮できなかったが、別の競技では輝いた…というケースも多くあります。ロボットコーチのデータを競技間で共有していくことで、子どもたちの隠れた才能を発掘できるのです。ロボットコーチを活用すれば、少子化の中でもスポーツの国際競争力を高めていくことができるのではないでしょうか。 


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