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「市民アクアポニックス」で都市コミュニティーを活性化する

2020/02/18

アクアポニックスという農業システムをご存じでしょうか。アクアポニックスとは水産養殖(アクアカルチャー)と水耕栽培(ハイドロポニックス)を組み合わせた循環農法のことです。養殖した魚から出る排泄物を微生物で分解し、それを肥料に野菜を水耕栽培する仕組みで、水耕栽培で水を浄化して再び魚に供給するので、魚も元気に育ちます。

欧米では主に都市農業として導入されていて、アメリカでは都市部の空きビルを活用して、養殖したティラピアなどの魚や、水耕栽培のケールやビーツなど付加価値のある野菜を周辺の高級スーパーなどに卸しています。

日本でも最近、アクアポニックスを導入する企業が登場しています。例えば新潟ではデータセンターの排熱を利用してアクアポニックスを展開しています。生態系を勉強するのに役立つこともあり、学校の環境教育用や、ハーブと観賞魚をセットにした家庭用など、興味深い動きも見られます。

ここで、ちょっと視点を変えて、日本の都市農業に目を向けてみましょう。日本の都市農業の主体の多くは、地域で代々続く農家です。東京都にもおよそ1万1000世帯の農業従事者がいます。これは実は世界的には珍しく、欧米圏では市街地と農地が比較的明確に区別されて発展してきたこともあり、都市農業の主体は非農家の市民や企業です。

そのため、欧米では、コミュニティーや農業体験のような側面が強調される一方で、日本は地産地消がテーマとなることが多いという違いが見られます。とはいえ、昨今では日本でもビルの屋上のコミュニティー農園など、農業体験を楽しむ機会は増えています。この動きは近年の規制緩和の流れを受けて、さらに増えていきそうです。

この潮流を踏まえると、例えば、都市の空き家にアクアポニックスを設置し、都市コミュニティーで活用することも考えられます。市民農園などで行われる農業体験に、アクアポニックスでの魚の養殖・水産体験まで組み合わせるのです。

アクアポニックス1アクアポニックス2アクアポニックス3

利用者は野菜を栽培しつつ、魚のエサやりをする。収穫時期には野菜を採りつつ、育てた魚をさながら釣り堀のように釣り上げるのです。魚も野菜も自家消費してもよいし、付属の販売所で販売したり、グローサラントのように、その場でさばいた魚と収穫した野菜の料理を提供するレストランで食べたりしてもよいでしょう。こうした施設があれば、都市住民の食意識、ひいては地域コミュニティーへの意識もより深まるのではないでしょうか。


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