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「Beyond カンファレンス」レポートNo.3

そうだ!家業があるじゃないか!
ソーシャルイノベーション推進基盤となる、地域企業が持つ「社会関係資本」の厚み

2025/05/30

beyondカンファレンス

「国生み神話」の淡路島で進む「裏万博」構想に地方創生2.0(※1)の兆しを感じる

NPO法人ETIC.が中心となり、各企業を巻き込んだコンソーシアム、and Beyond カンパニーが主催する「第4回Beyondカンファレンス」に参加した。初回の参加はできなかったものの、第2回では日本でも定着し始めた「コレクティブインパクト」の現状を知り、また第3回では地方創生を支える「関係人口」という言葉の実態に気づかされるなど、毎回発見の多いイベントだ。参加する企業、団体、そして学生を含む個人はいずれも自身のスキルやノウハウを背景に、社会課題解決、すなわちソーシャルイノベーションを目指す気概を持ち、それを実現・加速させるための知識共有や、共創の仲間づくりのためにこの場にリアルに集うのだ。今回迎えた第4回は兵庫県の淡路島で2日間にわたって開催され、延べ400人弱が参加した。

※1 地方創生2.0:人口減少や東京一極集中といった構造的な課題に対し、これまでの地方創生の成果と反省を踏まえた上で、地域が主導し持続的に発展する「自立・分散型社会」の実現を目指す政策ビジョン。地域資源や文化、自然を生かした付加価値の高い産業づくり、企業や人材の地方への分散、デジタル技術の活用、産官学金労言の連携を通じて、多様な幸せを実現することを目的としている。
beyondカンファレンス

以前も述べたが、このカンファレンスは登壇者の一方的な情報提供では終わらない。必ず各グループの現在の活動状況報告の後に、当該案件の未来についての投げかけが続き、その問いに対して会場が一体となって議論する場へと変わる。はじめは整然と並べられたイスや机も、壇上からの問いかけの途端にその隊形を崩し、各所で車座のグループが複数出現する。語られたアイデアはその実効性を各参加者の視点から測られ、また実現のための役割分担のネットワーキングへと移行する。中には自ら複数の役割を買って出る人もおり、あれよあれよという間に新たな顔ぶれで拡張プロジェクトが再始動するのだ。

参加者の言葉を引用すれば、企業に属さぬ個人の立場の方が、各所への忖度なく、よりシンプルでスピーディな結論を出せるとのことで、それがとても気持ちいいらしい。はてさて、人が集まれば要らぬ軋轢が発生するのは必定だが、ここではそんな曇り顔は一つも存在しないようだ。

beyondカンファレンス

beyondカンファレンス
メイン会場もセッション直後に小グループに分かれ、講演項目についての意見が交わされ、またその次のステップには何が必要かが議論された

昨今、企業や団体は社会の要請に応え、社会課題解決に一企業市民として取り組むべしという風潮がある。そしてどの企業もその任を果たそうとしているのは喜ばしい限りだ。しかし、企業の持つ実行力には定評があるものの、やはりそのスピード感、あるいは大企業ならではの諸事情というやつがけっこうな足かせになっていることは多いと、イベント参加者らは口をそろえて言う。しかしここに参加した個々人は、すでにその肩書を脱ぎ捨て、さらに企業の枠をはみ出しており、社会課題解決に向けたこの場の創発の楽しさが忘れられなくなっているようだ。

また今回のカンファレンスでは、現在開催中の大阪・関西万博会場に近い淡路島を舞台に、日本の魅力を異なるレイヤーで伝える「裏万博」構想が打ち出されている。人の流出が激しい淡路島にインターンで人を呼び、二拠点居住などを通じて島への定住化、地元企業への働き手としての参画を推進する淡路ラボが共催として参画、初日は淡路島で事業拡張を目指す12事業者を訪ねるフィールドワークが実施された。

「裏万博」構想では、表向きの華やかさよりも、地元ならではの視点とコミュニティの力で、地道だが確実に歩みを進める地域の事業体のリアルな姿を伝え、共感と学びの場としていきたいという。淡路島全体を舞台として、地元活性化の実践事例を知る機会をつくり、また同様の試みが各地域に持ち帰られ定着することを目指しているようだ。万博のような強力なコンテンツがダイナミックに人を呼び込む力を発揮する一方、各地域ならではの独自コンテンツで共感を紡ぎ、中長期のつながりを醸成していくという目論見が定着していけば、これまでとは異なるインバウンド活性化にも期待できるかもしれない。

フィールドワーク
フィールドワーク
フィールドダイアログ型のセッションでは、淡路島で新たな形でビジネス展開する12の事業所を訪問し、そのきっかけや苦労、これからの期待などを聞きつつ、その拡張のための作戦をグループで話し合った

地域特化の経営指針が社会変革をリードする

そんな中、今回特に注目したのが地域に根付く企業が仕掛ける地元経済活性化のための取り組みだ。それは表面的に思いばかりが語られる地域貢献ではなく、まさに地域行政、地元コミュニティと一丸となって繰り出される行動実績であり、これまでとは一線を画すものに思えた。

筆者は日常業務としてコーポレートコミュニケーション(企業広報)に携わることが多く、特にグローバルな潮流として根付いたソーシャルグッドな各所の取り組みについて企業に共有して回るなどしている立場だ。企業の社会的存在意義を広く社会に示すことがこれからの企業価値、すなわちソーシャルバリューを高めるための唯一の手段と考えて提案行脚しているのだが、今回見聞きした地元企業の「地域ファースト」の行動はそもそもの接点が広く、また深く掘り下げられたものもあり、とても具体的で新鮮に映った。

常日頃説いている利他的行動の重要性理解やソーシャルイノベーションへの取り組みがイメージではなく、手の届く範囲で進行しており、彼らはとっくのとうに経済的価値から社会的価値の創出へと舵を切っているように思えた。まさに地元密着の二人三脚、いや三人四脚といった複層的な共創が行われており、とても興味深いのだ。地域の企業同士が協力し合い、新たな価値を共創する動きが加速し、複数企業や団体、ひいては個人もそこに加わり、それぞれの強みや役割を掛け合わせるための「地域活性化の起点」となっている。

なぜ、日本全国、ひいてはグローバルにもビジネスを広げるいわゆる大企業よりも、これら地域密着企業がスピーディに動くことができ、また共創仲間にも恵まれるのだろうか。実際に地元でそれらの活動を推進する企業の事例を聞く「渦潮セッション」の一コマで語られたその理由について紹介していきたい。

セッション

「地域企業の共創、地域経営の進化」をテーマに始まった同セッションでは、編集者であり、同志社大学客員教授の中嶋愛氏の投げかけから始まった。「地方創生や災害復興など、地域が外部からの協働者を迎え入れるときによくあるのが『あやしくない?』という問題です。『あのNPOってどういう人たちなの?』とか『東京から来る大企業の人たちって本当は何が目的なの?』といった、お互いを知らないがゆえに生じる感情的な壁ですね」

強固な実行力を持つ大企業や、広範なネットワークを持つNPOは地域課題解決の協働者として期待されるものの、実際に顔を合わせてみると、地域住民からすればやはり少し距離を感じることが多いという。初対面の探り合いでは、相手が何物なのか、どこまで本気で取り組んでくれるのかを懐疑的に見てしまうという、まさにありがちなシチュエーションが存在するわけだ。

「そうだ!家業があるじゃないか!」

「この怪しい問題を回避する非常に有効なアプローチが、地域企業をまきこむこと」と中嶋氏は言う。地域企業の多くは地元で創業し、長年地域コミュニティと共に共生してきた「家業」である。

家業

そのトップは地元の名士であることも多い。地元の名士ということは、地域経済の発展に寄与しつつも、それは経済的貢献のみならず、まさに企業市民として根付いた、地域で頼りにされる拠り所的な存在。いわゆる「顔役」と呼ばれるやつだ。実際のところ、地元に根付いた家業は、その歴史から地元の「信頼」「規範」そして「ネットワーク」をすでに有しているのはご承知の通りだ。そして実はそれらは「社会関係資本」と呼ばれる、地域企業だからこそ持てる一つの財産と言える。

そもそも「社会関係資本」とは、人と人の関係性そのものを資本として捉える考え方だ。英語では「ソーシャルキャピタル」といい、米国の政治学者、ロバート・パットナム氏によって、「個人間のつながり、すなわち社会的ネットワーク、およびそこから生じる互酬性と信頼性の規範」とされている。互酬性の規範とは少し分かりづらいが、何かを与えられた側が何らかの返礼を行うなど、相互に利益がある状態のこと、巷で言うギブアンドテイク的なものに少し近いだろうか。

その互酬性は年月と回数を積み重ねてこそ厚い信頼に変わっていく。その意味で、初対面のNPOや大企業と新しくつくる関係性よりも、共創のスタンスにおいては安心感をもって併走できる地元の「家業」がアドバンテージを有しているというのは納得がいく。さまざまな場面で、地方の家業の存続危機について語られてきたものの、地方創生2.0を迎える現代では、まさにこの家業が地域復興の主役としての存在感を各所で示し始めているのだ。

ちなみに日本の100年企業はおよそ2万社強あり、その数はアメリカの3万に次いで世界2位だという(日本企業の90%以上が同族経営というデータもある。ちなみに創業200年以上の企業は日本に1300社強があり、世界全体の65%を占めるそうだ)。

地域創生に寄せる思いは怖いくらいに一致する

続いて、実際に家業を次の時代につなげるための取り組みについて、佐賀県で薬局等を営むミズの溝上泰興氏、千葉県の医薬品卸売業の岩渕薬品、岩渕琢磨氏がそれぞれ紹介した。どちらも創業100年を超え、これまで地域密着で事業を継続、また拡大してきた優良企業だ。いずれも次の100年に向けた危機感と目論見にはとても似通ったところがあり、両社が互いに「ここまで同じ気持ちで、また同じようなことをやっているなんて!」と感嘆し合う場面もあった。両社の現在進行形の取り組みの概略について、ここで少し触れておきたい。

【株式会社ミズ:溝上氏】

われわれのような薬屋は、病気が多ければ多いほど儲かるというのが利益の仕組み。花粉症の時期が来れば、インフルエンザが流行れば、それぞれの薬が売れる。でもそんな商売はこれからは続かないと考えている。本当に目指したいのは地域に病気が少ない、「薬が売れない街」が理想だ。

そんな思いの下、現業のみならずいろんな領域にチャレンジしてこそ新たな価値が生まれると信じて日々行動しているが、一つ共通しているのが「誰かと協力しながらやってきた」ということ。実際にやり始めた事業の中には、薬屋なのに保育園経営をしたり、漢方を小難しいものから日常のものにしたいと本気で取り組んでみたり。実はそれは企業としての戦略というよりも、いつも「これをやってみたいんです!」という人に出会い、会話し、響き合って始めたというのが本当のところ。そんな相談をしてもらえたり、またそれを支援できる関係性が自分たちの強みだと感じている。

ミズ
今現在の事業を継続するだけではなく、その先を考えたときに人材の発見と育成が極めて重要になると考え、他者との共創力を高めるためBeyondカンファレンスで共有される仕組みに次々と社内で取り込み実践しているという

健康長寿を説く先生方とも健康セミナーなどを共催することが多いが、そこでも口をそろえて言われるのが「健康の秘訣は新たなことへのチャレンジだ」ということ。だからこそ自社もそのチャレンジをしつつ、またチャレンジしようとする面々を同時に応援していく、これからはそんな「意志ある個人の挑戦を全力応援する企業」というポジションでありたいというのが目標。またそんなとき共創できる仲間を探す目的で、このカンファレンスには参加している。

最後に一つだけ伝えておきたいのは、社会に対して良いことをしているとボランティアと捉えられることが多いが、すべての活動はあるべき姿に向かうための事業投資と位置づけている。マネタイズも当然考える、捉える時間軸が長いだけだ。でないと、そういった事業は継続できないはず。でもこういう活動をしていると自然と同じ思いを持つ人につながっていく。すでに当社の本拠である佐賀を離れていた人でも、「いつかは佐賀で何かしたかった」という人が声を掛けてくれたりする。そういった地元つながりの関係性、すなわち社会関係資本はやはり重要だなと感じている。

【岩渕薬品株式会社:岩渕氏】

曾祖父が創業してから111年目、千葉県内で薬品の卸売をしている4代目。競合する県内企業はないため、どんな企業とも共創できるポジションにあるのは強み。自身は元々は他の製薬会社に勤務し、家業が100周年を迎える3年前に家業に参画したという経緯。

岩渕薬品もミズさんと同様、薬をなくしていきたいというのは基本指針。これまで薬の流通という重要な地域インフラを担ってきましたが、次の100年では病気というマイナスの状態から薬によって治癒というゼロの状態に戻す「治療」だけでなく、「予防・健康維持」というところで自分たちに何ができるのかを考えたいと思った。さらには自分たちを支えてきてくれた地域と共に、安心安全で住みやすいwell-beingなまちづくりに貢献し、みんなが健康に年齢を重ねていけるようにしたい。そのための社会課題解決にも取り組みたいと企業理念と照らし合わせながら目標設定している。

岩渕薬品
千葉大学との産学連携で「健康まちづくり共同研究部門」を設立、各所を巻き込むコレクティブインパクトを目指し活動を推進中

ありがたいことに地域で営んだ100年超の歳月が、地元の各所の経営者とのつながりも育んでくれた。何かあれば銀行や行政などからいろんな相談が舞い込んでくる。千葉大が産学連携にさらに力を入れるとなったときも、一番に情報をいただき、速やかに予防医学センターとの共同研究を始める合意ができたし、元気な千葉大関連ベンチャーの若者たちとも多様な協働をすることができた。こういった共創、コレクティブインパクト的な取り組みがスピーディに進むのもこれまで積み上げてきた「社会関係資本」がベースにあるからだと思う。

現在はまちづくりの視点から、障害者アートの支援や海ぶどうの陸上養殖事業も始めていて、今後はそこで障害者の方々にも働いていただこうと考えている。これらも一方的な支援ということではなく、やはりそのアートに自分たちが勇気をもらえるとか、新しい事業による障害者の雇用機会を共に考えていきましょうと発信するとすぐそれに反応してくれる県内企業さんがあったりなど、仲間がすぐそばにいるということでモチベーションをもらっている。自分たちが提供したことよりも、各所からもっと大きなリターンをもらっていると感じている。

事例紹介された両社はいずれも薬品関連企業であり、地元密着の薬屋さん的ポジションがコミュニティにおける存在感の強さに貢献したとも取れるが、もちろん淘汰された地元事業者も数多くあるはずだ。地元企業だからといって安易に生き残れるわけではなく、それは長きにわたり培われた「社会関係資本」の価値を十分に理解し、より深いリレーション構築と新たなネットワーキングを積極的に重ねて来たからこその成果と言えよう。

事例紹介後のディスカッションでは、参加者から「地元仙台の商店街ではまだまだ理容店が残っており、地域をまとめるのに大きな役割を果たしている。なぜなら、みなが髪を切っている間にいろいろな話題や相談を店主にするからで、自ずと店主が事情通となり、調整役ともなるから」との話もあった。これらを鑑みるにさまざまなステークホルダーと交わり、いかにそれぞれの事情を汲み取りつつ、物事を着地させるハブ的存在となれるかが果たす役割としては重要なのかもしれない。

続いて活動報告したのが、そんな地元のハブとなりうる存在を応援する「家業イノベーション・ラボ」の片山あゆ美氏だ。

親の七光り≒社会関係資本、そしてそれは希望の光である

片山氏の所属は中小企業をターゲットに法人保険事業を行うエヌエヌ生命保険だが、一方で「家業イノベーション・ラボ」というコミュニティの実行委員でもある。これは地域を牽引する家業の後継者を支援する目的でETIC.、農家の子せがれネットワークとともに立ち上げられた組織だという。また行政との協働として中小企業庁が開催している「アトツギ甲子園」と連携したり、各地域で地域や産業を盛り上げるキーパーソンたちとのコラボレーションなど、こちらも各レイヤーでのネットワーキングと共創がなされているようだ。

家業イノベーション・ラボ

「家業イノベーション・ラボは、『家業らしさであふれたら、日本はもっとおもしろくなる』を提唱しています。家業の皆さんが担うものは、地域の歴史・伝統・文化という地域の顔であり多様な魅力そのものです。どの地域に行っても全国チェーンのお菓子屋さん、雑貨屋さんがあるというのは便利な半面、やはり街の個性としては面白みがなく感じる。また国というレベルで見ても、地域が画一的であることのメリットがないのではないかと。ですから、家業は一見非効率に見えるかもしれないが、独自性や個性という地域の特性をつなげていく役割があると信じて活動しています」とのこと。

昨年7月には「家業後継者調査」を実施、片山氏が所属するファミリービジネスアドバイザー協会のイベントでも発表したという。そこでフィーチャーされたのが「親の七光りは価値になる!」ということ。「よく親の七光りというのはネガティブなニュアンスで使われますが、実は良い意味で希望の光でもあるんじゃないかと。七光りの正体が『社会関係資本』なのだと思うのです。そしてその社会関係資本という強みを持つ家業こそが、行政なり銀行なり、地域住民といったあらゆるステークホルダーとの関係性を最大限に生かし、長期的に腰を据えて地域を引っ張っていく役割を果たせるのだと感じています」と片山氏はまとめた。

親の七光り

家業と地域が共有する時間軸の違いが信用力を生み出す

各者の話を経て、モデレーター役の中嶋氏は社会関係資本の重要性を改めて指摘した。「最初に提示した『あやしくない?』という問題の本質は、『分からない』という不安です。それをその社会関係資本の力ですでに乗り越えているのが地域企業という存在です。今日お話しいただいた、それぞれの地域における2社の取り組みは、短期的に見れば経済合理性に合わないように見えるかもしれませんが、中長期的に見れば社会関係資本への投資になっています」

中嶋氏は溝上氏の「(自社と地域は)迷惑を掛け合う関係性」という言葉を引いて、次のように結んだ。「互酬性というお互いに利益を享受し合う関係はありますが、逆に迷惑を掛け合いながらも共に生きていくことを容認する関係性というのは信頼に基づいたより強固なものではないでしょうか。私はそれを『一蓮托生力』と名付けたいと思います」

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左より、同志社大学客員教授の中嶋愛氏、岩渕薬品の岩渕琢磨氏、ミズの溝上泰興氏、エヌエヌ生命保険/家業イノベーション・ラボ実行委員の片山あゆ美氏

地方創生2.0の夜明けは近い

会を終えて感じたのは、「ソーシャルイノベーションが必須」と大仰に話しがちな自分と比較して、登壇者の面々の物静かで、しかしながら自身の行動実績への自負に満ちた語り口への憧憬だ。具体的な、あるいは定型のやり方がない社会課題解決への向き合いに対して、それぞれの立場でやれることを一つ一つ、しかししっかりとした足取りで積み重ねていく覚悟と愚直さ、そして自信。企業が社会的存在意義を発揮するために何をすべきなのか、何に取り組むべきなのかをよく聞かれるが、まずはその取り組みの先にどんな人たちの幸せがあるのかという「顔」を思い浮かべながら活動することが、そのプロセスにおいても、目標や成果においても、とても大切なのではないかと改めて胸に刻んだ。それは「家業」の方々にとっては地域社会であり、そしてそこにしっかり向き合うことで共生、共創する「仲間」が自然に集まってくる様子を垣間見ることができたし、今後はより鮮明化するだろう。そんな地方創生2.0の夜明けは近いはずだ。

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