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【コロナ禍】本音調査から見る、生活者の「リアル」とは?

2020/05/20

世界規模で21世紀最大の危機をもたらしているコロナ禍。日本でも感染拡大に伴い、経済活動が停滞しています。その経済を支える一人一人の生活者が、今までにない暮らしを、半ば強制的に体験している状況です。

海外に関する報道が多かったときは、どこかリアリティーが薄かった中、日本で自分ゴト化が進み始めたのは、緊急事態宣言が発出された4月からでした。

世界は、新型コロナウイルスを体験しなかった時代に戻ることはできません。なかったことにはできない、コロナ禍における日本の生活者のリアル。国や行政主導で対策が動く中、「企業」に何かできることはないか。その糸口を探るために電通が急遽取り組みを開始したのが、今回ご紹介する、コロナ禍における「生活者ディープ・インサイト」プロジェクトです。

コロナ禍「生活者ディープ・インサイト調査」とは

日本の生活者が直面した、未曽有の緊急事態。その最中で何を感じ、どんな苦しみや葛藤を抱えて毎日を生きるのか。それは後から思い出して語れるようなことではありません。

流れる情報も日々激変していく中、揺れ動くその瞬間瞬間の生活者の意識・行動の揺れ動きを、その気持ちに寄り添いながら、しっかりとデータ化しておく。これは、生活者のために何かをしたい企業やブランドにとって、欠かせないことだと考えました。

そのために、緊急事態宣言が発出された直後から、本プロジェクトを開始。4月10日の調査を皮切りに、緊急事態宣言の全国拡大、かつてないゴールデンウイーク、緊急事態宣言の延長と、目まぐるしく変わる状況の中、10日ごとのインターネット調査を始めました。

全国20~70代の男女600人を対象に、4月10日、20日、30日、5月8日にインターネット調査を実施。精緻に調査内容を詰めるのではなく、その時々の社会や生活者の不安に寄り添い、スピード優先で調査を設計・推進することを重視しました。

生活スタイルの変化を5ステージ、10段階で聴取

10日ごとに生活状況やインサイトを把握することで、日本の生活者の今や、onコロナ、withコロナに向けた変化が見えてきました。New Normal(新しい日常)に向けて、何が変わり、何が戻るのかなど、現状だけでなく今後に向けた不安や期待などのマインドを把握しています。

その尺度のひとつとして、生活者の新型コロナウイルス適応状況を5ステージ10段階で見える化。生活に影響が出ていく中、メンタルへの影響、自粛生活への慣れなどの推移を記録することで、生活の変化が浮き彫りになりました。直近、ゴールデンウイーク明けの5月8日調査では、ついに前向きな兆しも見えてきています。

生活スタイルの変化 凡例

生活者対応ステージの推移
電通 コロナ禍 ディープ・インサイト調査(4/10~11、4/20~21、4/30~5/1、5/8~9)

緊急事態宣言を受けて、「生活に影響がない」層が4月20日にかけて大幅に減少。4月20日から4月30日時点にかけては、「徹底した自粛生活」への慣れが生まれ始め、5月8日時点では、「社会に明るい兆しが見え始めている」層が現れ始めていることが分かります。

圧倒的な社会的ギスギス感。生活者の不安やストレスを定量的に可視化

コロナ禍をどう過ごすか、どう乗り切るかに向けて、専門家の評論、報道でのコメント、SNSでの反応をはじめとして、さまざまな立場からの示唆、提言、不満や不安などの情報があふれました。生活者反応も、定性的な情報はたくさん流布しています。

一個人として何を感じるかではなく、企業/組織としてアクションを起こすためには、その後押しとなる、生活者目線の定量的なデータが必要なのではないか。それも、できるだけ、生活者のリアルが感じられるような、生々しい反応が得られた方がいいのではないか。その思いで、調査では生活者へさまざまな投げ掛けをしています。

「今まで何となく感じていた、世の中の潮流が、数値化されることで初めて実感が湧いた」「定量化されることで、判断基準にしやすい。今後の動きも見ておきたい」という声も多く頂いています。

見えてきた一番大きな課題は、世代を超えて、社会的なギスギス感を感じていること。4月30日時点では92.5%が感じており、特にそれを強く感じているのは20~30代という結果が出ています。

社会全体がギスギスしている
電通 コロナ禍 ディープ・インサイト調査(4/30~5/1)

家族にも言えない本音を調査。ディープな生活者インサイトの抽出

今回のコロナ禍、今までの社会的困難と大きく異なるのは、「あらゆる人が当事者である」、ということだと考えています。当事者だからこそ、たとえ身近な家族や友人にも言いにくくて、飲み込んでしまうことがある。もし自分が感染していたら…医療従事者で新型コロナ感染患者を担当しているけれど誰にも言えない…。そんな葛藤を抱える今だから引き出せる本音を聞くため、自由回答を豊富に設定しました。

コロナ禍の今に何を感じているか。緊急事態宣言の拡大や延長に何を思ったか、かつてないゴールデンウイークに対する思いや葛藤などに加え、コロナ収束後の価値観変容・行動変容についても、定性・定量調査で、少し踏み込んだ設問の仕方で聴取しています。

本音コメント
電通 コロナ禍 ディープ・インサイト調査(4/10~11)
コロナ収束後、生活者がやりたいこと
電通 コロナ禍 ディープ・インサイト調査(4/10~11、4/30~5/1)

新型コロナウイルス収束後にやりたいことを聞いた調査では、20日前と比べ、「観光施設に行きたい」「外食を楽しみたい」「生活必需品でないショッピングを楽しみたい」など、今できないことへの願望と「友達と集まって盛り上がりたい」「ハメを外して騒ぎたい」などのスコアが高まっています。また、旅行に関しては、国内旅行は横ばいで7割強を維持していますが、海外旅行のスコアが減少していることが分かりました。

生活者から企業に期待されていることとは?

少しずつ、自粛一方の落ち込んだ雰囲気から転じ、前向きなムードが漂い始めている日本。医療体制の抜本的改善を望みながら、一方で、飲食業、観光業をはじめとする経済活性化への生活者の期待も間違いなく高まっています。

企業に期待すること
電通 コロナ禍 ディープ・インサイト調査(5/8~9)

国や行政、医療関係をはじめとする生活に欠かせない仕事をしている方の尽力に支えていただきながら、企業やブランドが後押しできることはないかを探求していくのが、これからの課題だと認識しています。

実際に、調査においても、「社会を元気にするには、行政だけでなく、企業の取り組みが必要だと思う」という声は5月8日時点で85.2%に達しています。何を伝えるかだけでなく、何ができるか。何をしようとしているか。企業やブランド姿勢や志への共感は、生活者を勇気づけるだけでなく、中長期的な企業成長の礎となるのではないかと、コロナ禍でのトラッキング調査を通じて実感しています。

New Normalに向けて、少しずつ、社会や経済は動き始めていくことが想定されます。しかし、今回のコロナ禍での苦悩・葛藤や、新しい生活体験は、なかったことにはなりません。この環境を、生き方や働き方を見直すタイミングとして、何とか前向きに捉えたい、という声も5月8日時点で78.5%に及んでいます。

Build Back Better。企業やブランドの取り組みに対する生活者の期待は、極めて高まっています。今の環境だからできること、今の環境だからこそしなければいけないことを考える、その一助に本プロジェクトの知見も活用いただけると幸いです。

【調査概要】
・対象エリア:全国
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件およびサンプル数:20~79歳 一般生活者男女個人
・サンプル総数:600ss
・調査期間:
① 2020年4月10日(金)~4月11日(土)
② 2020年4月20日(月)~4月21日(火)
③ 2020年4月30日(木)~5月1日(金)
④ 2020年5月8日(金)~5月9日(土)
・調査機関:電通マクロミルインサイト