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キリンと電通の共創が“ホップ”の新たな可能性を開く―INHOPの挑戦No.2

スタートアップ2社で挑む!教育業界のコミュニティーマーケティング

2020/12/18

キリンが研究開発した「熟成ホップ」を活用したサプリメントや食品のD2C事業を展開するINHOP(インホップ)。

キリンホールディングス(以下、キリン)と電通グループによる、ジョイントベンチャーです。

現在、同社が注力している領域のひとつが教育業界。受験生やその親による“コミュニティー”に対して、熟成ホップの素晴らしさを伝える活動をしています。

この取り組みを発展させるべく、INHOPはコミュニティーマーケティングを得意とする教育系ベンチャー「テンアップ」と協力関係を結びました。

今回は、INHOPに役員として出向している電通のクリエイティブディレクター酒匂紀史氏と、テンアップ社長の金谷建史氏が対談。

教育業界で熟成ホップをどのように使ってもらえるのか、そして教育業界でのコミュニティーマーケティングを成功させるためのポイントを語り合いました。

<目次>
脳科学に取り組んだ2社が辿り着いた「切っても切れない、脳と腸の密な関係」
脳内物質をコントロールし、学習効率を飛躍的にアップ!?
ポイントはエンドユーザーに勧めてくれる“インフルエンサー”を見つけること
新しい価値や新しいテクノロジーで、受験を楽しくポジティブなものに変えたい

脳科学に取り組んだ2社が辿り着いた「切っても切れない、脳と腸の密な関係」

テンアップが提供するサービスのひとつ、VRコミュニケーションプラットフォーム「VR school」。子供たちの学びを「楽しく学べる」「学習効果が高い」ものへと変えるもので、授業だけでなく、さまざまな職業の体験や学校見学をVR空間で楽しめる。
テンアップが提供するサービスのひとつ、VRコミュニケーションプラットフォーム「VR school」。子供たちの学びを「楽しく学べる」「学習効果が高い」ものへと変えるもので、授業だけでなく、さまざまな職業の体験や学校見学をVR空間で楽しめる。

酒匂:今回は同じスタートアップとして、教育業界、そしてコミュニティーマーケティング領域の先輩である金谷さんにいろいろと伺いたいと思います。まず、テンアップの事業について改めて教えていただけますか?

金谷:テンアップはVR/MR/ARを使った“ブレインテック”を展開するスタートアップです。現在は、バーチャル空間で授業を楽しく受けられる「VR school」など、教育業界を中心に学習ツールを開発している他、進学塾の事業承継・事業再生にも取り組んでいます。

酒匂:なぜテンアップは教育業界にフォーカスしているのでしょうか?

金谷:脳科学の研究開発の一環として学習塾を運営していたのですが、その学習効果の素晴らしさに興味が湧き、教育の分野をもっと深掘りしたいと考えるようになりました。

例えばスポーツの分野では脳科学が浸透していますが、教育分野ではまだ十分に活用されていないですよね。僕自身、大学受験のときに「効率よく勉強する方法」を知りたかった。脳科学を研究することで、それを実現したいと思ったのです。

酒匂:私たちINHOPでも、脳科学に注目しています。最近の研究では、腸が“苦味”を感知して脳に信号を送り、ノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌されることで集中力の維持や記憶力の改善、脳の疲労感の軽減といった効果につながることが分かっています。

苦味受容体とノルアドレナリン

金谷:「脳の神経細胞は腸から生まれた」という話もありますよね。“脳腸相関”という言葉があるように、脳と腸の関係はとても密接で、脳を研究すると腸に行き着きます。

酒匂:そうなんですよね。「熟成ホップ」という素材が役に立てる分野はいろいろあると思っているのですが、INHOPでは現在、

  • 「受験生など勉強を頑張る人の応援」
  • 「シニアの認知機能の維持」
  • 「頭脳労働をしている方のサポート」
  • 「スポーツ&フィットネス」

の四つの領域を考えています。まずは一つ目の教育分野で、正しい情報を楽しく伝えることが重要だと思い、その領域で先行している金谷さんにご相談しました。

脳内物質をコントロールし、学習効率を飛躍的にアップ!?

金谷:実はINHOPからご相談があったとき、私はものすごく興奮したんです(笑)。

酒匂:え、どうしてですか?(笑)

金谷:まさに脳科学のアプローチに基づいた、「学習×食べ物」のアイデアを模索していたタイミングだったからです。

ドーパミンやアドレナリンはモチベーションや集中力を高める脳内物質で、分泌させる方法も研究されています。これを応用することで、VRでも脳内物質を良い方向にコントロールできるのです。

しかし、人間の脳には「長く集中できない」という欠点があります。そこで重要になるのが「休憩」です。勉強や仕事ができる人って、けっこう休憩していませんか?

酒匂:確かにそうかもしれません。適度に休憩を取ると、そのあとグッと集中できますよね。

金谷:はい。いわゆる「緊張と緩和」、つまり学習の中でメリハリをつくることで、効率の向上が期待できます。これがINHOPとどうつながるのかというと、学習中に休憩としてINHOPのグミを食べる習慣をつけてもらうんです。例えば、問題を10問解いたら報酬として1個食べる、といった具合です。

酒匂:なるほど。それは面白いですね! 

金谷:しかも、甘いものを食べるとエンドルフィンが分泌されて幸福感を感じます。すると、この幸福感をまた味わおうと、やる気や集中力が高まります。学習×INHOPの組み合わせは本当に素晴らしいポテンシャルがあると思います。

ポイントはエンドユーザーに勧めてくれる“インフルエンサー”を見つけること

酒匂:熟成ホップには大きな可能性があるのですが、一方でまだホップといえばビールのイメージが強く、「ホップを口に入れると酔っぱらう」と思っている方もいるほどです。新しいものに対しては、どうしても抵抗や不安を抱く方がいるのも事実なので、受験生や親御さんに正しい情報をお伝えし、信頼関係を築いていきたい。

そこで鍵となるのが、受験生や親御さんらのコミュニティーを対象とした“コミュニティーマーケティング”というアプローチだったんです。テンアップのサービスは、有名な学習塾などでも広く取り入れられていますよね。

電通はどちらかというとマスマーケティングを主戦場としてやってきたので、コミュニティーマーケティングで成功されている金谷さんに、ぜひその方法論も教えてもらいたいと思っています。

金谷:本当は教えたくないんだけどな(笑)。いや、冗談です(笑)。

酒匂:ありがとうございます(笑)。コミュニティーマーケティングに対する私の印象を述べると、例えば宝塚歌劇は一度も観賞したことがない人の方が多いと思いますが、一部の熱狂的なファンがいることで、ずっと安定してビジネスが成り立っています。これがコミュニティーマーケティングの構造ですよね。

となるとやはり、「商品やサービスを心底面白がってくれる人、愛してくれる人」を見つけることがポイントだと感じています。

そう考えていくと、商品を最初に広める0→1の段階で「誰がその商品を勧めるのか?」が非常に重要です。例えば、届けたい相手が受験生や親御さんであれば、「学校の先生」や「塾の講師」から勧められると、信頼できますよね。

金谷:まさに酒匂さんのおっしゃる点がポイントです!VRも、実際に使った生徒たちには人気があるのですが、そもそも先生が「これは良いものだ」と思ってくれなければ、生徒にも使ってもらえません。

なので、VR schoolの開発では、「ITに詳しくない先生でも簡単に使いこなせるようなUI」を設計しました。

酒匂:なるほど、ITリテラシーの高い人しか使えないものにならないように、導入のハードルを下げたわけですね。

金谷:はい。だから本当にすごく簡単ですよ。そして、私たちのサービスを使っていただくと、先生が輝くんです。チョークや黒板、ホワイトボードに加えて、生徒の心をつかむ“新しい武器”を手に入れたことになりますから(笑)。その点でいうと、INHOPの商品も、先生の新たな武器になり得ると思います。

酒匂:頑張ったご褒美として生徒にグミを与えたら、先生はヒーローになりますよね。生徒の方も、先生からグミをもらえるように頑張るじゃないですか。

金谷:はい。つまり、コミュニティーマーケティングでは、

コミュニティー内の誰にアプローチすれば、届けたいターゲットに広がるのか?

を考えることが重要です。教育業界でいえば、それは「先生」なんです。

酒匂:エンドユーザーをダイレクトに見つけることも大事ですが、エンドユーザーの一つ手前の「商品をエンドユーザーに勧めてくれる人」、いわば“インフルエンサー”を探すことが、コミュニティーマーケティングのポイントなんですね。

新しい価値や新しいテクノロジーで、受験を楽しくポジティブなものに変えたい

シンキングサプリ「受験力」2週間チャレンジキャンペーンページ。INHOPでは教育業界に向けた商品開発やキャンペーンを企画している。電通のクリエイティブを長く務めた酒匂氏にとっても、コミュニティーマーケティングは新しい挑戦となる。
シンキングサプリ「受験力」2週間チャレンジキャンペーンページ(リンク)。INHOPでは教育業界に向けた商品開発やキャンペーンを企画している。電通のクリエイティブを長く務めた酒匂氏にとっても、コミュニティーマーケティングは新しい挑戦となる。

酒匂:まだまだINHOPとテンアップの取り組みはこれからですが、スタートアップ2社で、世の中にどんな貢献ができるか話し合いたいと思います。金谷さんは現在、日本の教育業界にどんな課題があるとお考えですか?

金谷:学習塾に関していうと、日々進歩する科学やテクノロジーがほとんど活用されておらず、いまだに旧態依然とした精神論で指導している塾も少なくありません。脳科学やITを駆使すれば、今よりも学習効率を高めることが可能なんです。その事実すら認知されていないのが現状なので、今は普及活動に注力したいです。

酒匂:ありがとうございます。私は教育業界に関しては新参者ですが、根底には「幸せな家庭が増えてほしい」という思いがあります。

受験は本来、子どもにとっても親にとっても前向きなチャレンジであるはずなのに、その本気度がある一線を超えると、「真剣」が「深刻」に変わることが多々あります。「受験に向けて頑張る親子が、笑顔でチャレンジできる社会をつくりたい」と思って、教育業界向けの事業を始めました。

私たちINHOPは受験を「人生課題」と定義しています。親子ともにすごく大変な時期ですが、ここで得られた経験は一生の記憶に残ります。だからこそ、新しいテクノロジーや新しい素材を使って、その人のポテンシャルを最大限に引き出すことをしたいんです。

楽しく勉強に取り組めるようになり、「集中できた」「ここまでできた」という成功体験を積み重ねて自己肯定感が高まる。そのような世界をINHOPで実現したいと思います。

金谷:私、実はINHOPには、もう一つグミをつくってほしいんです。

酒匂:どんなグミですか?

金谷:今よりもっと苦いグミです。例えばペーパーテストのとき、合格点を取れたら甘いグミを食べて、取れなかったら苦いグミを食べる。報酬と罰を区別することで、緊張と緩和にメリハリがついて、集中力やモチベーションがさらに高まります。

「100点グミ」と「落第グミ」、ゲーム感覚で盛り上がりますよね。そして大事なことですが、先生が教室のスターになれます(笑)。

酒匂:それ、面白いですね!

金谷:塾の授業って、部活後で疲れていたりすると、集中できないんですよね。でも、子どもは「その空間」が面白いと思った瞬間に、ものすごい集中力を発揮するんです。だからINHOPの商品にも、ただ食べるだけではないエンターテインメント要素を加えたら、生徒たちの集中力は凄まじいものになると思いますよ。

酒匂:ぜひ、今度VR schoolで生徒を集めてやりましょうよ!先生がスターになる瞬間を見たいです(笑)。

今後も金谷さんのように熟成ホップを面白がっていただける仲間をどんどん増やして、新しいムーブメントを起こしていきたいです。今後ともよろしくお願いいたします!

金谷:こちらこそよろしくお願いします!
 

■INHOP コーポレートサイト
https://inhop.co.jp
■熟成ホップ研究所
https://inhop.co.jp/jukusei
■テンアップ コーポレートサイト
https://www.10up.co.jp/