100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなるNo.1
才能、道具、センス不要!コピーライターの発想法「100案思考」
2021/04/15
こんにちは、コピーライターの橋口幸生です。「100案思考」という本を発売します。コピーライターの思考法を、すべてのビジネスパーソン向けに解説したものです。
<目次>
▼デザイン思考より「100案思考」?
▼ビジネスシーンから家庭生活まで、全ての場面に「アイデア」は必要だ
▼ダメなアイデア大歓迎!アイデアは質より量である
デザイン思考より「100案思考」?
「KJ法」「マンダラート」「マインドマップ」などなど……ちまたには、アイデア出しのノウハウ本が数多く存在します。また、デザイナーの思考法をビジネスに応用する「デザイン思考」なども注目されています。
僕にもこのようなカッコいいアイデア術への憧れがあり、いろいろ試してみました。しかし……どれひとつ長続きせず、三日坊主で終わってしまいました。
そんなズボラ体質の僕でも身につけられたのが、コピーライターの思考法である「100案思考」です。このサイトを見ている勉強熱心なあなたであれば、絶対、習得することができます。
「100案思考」が使えるのは、広告のアイデア出しだけではありません。企業トップの経営判断から、恋人へのプレゼントは何にしよう……のような日々の小さな悩みまで、あらゆる状況に応用することが可能です。
やり方は、いたってシンプル。名前の通り、
とにかく大量のアイデアを出す
これだけです。
ふせんも、チャート図も、特別な道具は使いません。ファシリテーターも不要です。才能やセンスもいりません。クリエイターでなくても、誰でもできます。
にもかかわらず、みんな、驚くほどこれをやらないのです。ほとんどの人はアイデアを出せと言われると、1案だけ出します。そして、その1案が採用されないと、あきらめてしまいます。100発100中でいいアイデアを出せる人なんて、世界中どこを探してもいないのに。
ビジネスシーンから家庭生活まで、全ての場面に「アイデア」は必要だ
電通では、新人コピーライターは「100案は考えるように」と言われます。他にいいアイデアを出す方法などないからです。
広告の世界にはヒット作を手掛けるスター・クリエイターと言われる人たちがいます。彼/彼女らに共通しているのは、アイデアの質以上に、量がすごいことです。アイデア会議に辞書のような厚さのメモを持ってくる人もいます。珠玉の1案を颯爽と取り出して、会議室がどよめく……なんて場面は、ファンタジーでしかありません。
さて、先に書いたように、「100案思考」は誰でもできます。特別な道具は使わないし、才能もセンスも不要です。しかし、苦労せずに100案をポンポンと量産できるわけではありません(「100案思考」に限らず、そんな思考法は、おそらくこの世に存在しません)。
地道だし、泥臭いし、それなりに時間もかかります。しかし、だからこそ誰でも習得可能だし、あらゆる場面で使うことができるのです。
「アイデア」などというと、オシャレなデザインや、イノベーティブなプロダクト開発といったイメージがあると思います。しかし、それだけがアイデアではありません。
- 上司の意見がコロコロ変わる。
- 何度注意しても後輩が同じミスを繰り返す。
- 妻の機嫌が悪いけど理由が分からない。
- 夫が飲みかけのペットボトルを冷蔵庫に入れる。
そんな日常のしょうもない(しかし本質的な……)課題の解決にだって、アイデアが必要です。つまり、「100案思考」が役立ちます。
上司やパートナーを忖度する以外の「プランB」をたくさん持てれば、毎日が豊かになると思いませんか?(もちろん、デザインやイノベーションにだって使えますよ!)
この連載は書籍「100案思考」をベースに、その全貌と実践方法を全5回に分けて紹介していきます。
「とにかくたくさんアイデアを出す」というのは、やってみると意外と大変なものです。ほとんどの人は100案どころか、2、3案で手が止まると思います。
でも大丈夫。ステップをふめば、誰でも、確実にできるようになります。各回のテーマは以下のようなものを予定しています。
第1回:「100案思考」とは何か? ※今回です。
第2回:「インプット」→「アイデア出し」→「アイデア選び」のPDCAをまわそう
第3回:「インプット」:どんなに忙しくても「インプット」は可能だ
第4回:「アイデア出し」:ダメなアイデア大歓迎!質より量でいこう
第5回:「アイデア選び」:好き嫌いや多数決は禁止
ダメなアイデア大歓迎!アイデアは質より量である
でも、「明日企画会議があるから、次回まで待てない!」そんなあなたのために、ひとつコツを教えましょう。
- まず「いいアイデアを出す」という発想を捨ててください。
アイデアは質より量です。アイデアを出せと言われた人のほとんどは、なぜか「名アイデア」を出そうとします。誰にも言われていないのに勝手にハードルを上げて、身動きが取れなくなってしまうのです。
どんなに退屈で、つまらなくて、ありがちなものでもいいのです。質は度外視で、とにかく量を出すこと。才能なんてあってもなくても、100案出せば、いいアイデアのひとつやふたつは確実に入っています。
企画会議にも、珠玉の1案ではなく、大量のアイデアの束を持って行きましょう。上司にしてみれば、いいかどうかも分からない1案より、大量のアイデアを出す部下のほうがずっとありがたいものです。「これはよくないけど、あれと組み合わせればいいんじゃない?」のような会話が生まれて、1案を前にウンウンうなるよりはるかに生産的な会議になります。
しかし、「質より量」と心がけるだけでは、出せて20〜30案くらいでしょう。では、どうすれば100案出せるのか?
それは次回をお楽しみに。