「持続可能なパートナーシップ構築のための広告制作プロセスマネジメントハンドブック【2025年度版】」発行
2025/10/15
日本アドバタイザーズ協会(JAA)、日本広告業協会(JAAA)、日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)、日本広告制作協会(OAC)、Interactive Communication Experts(I.C.E.)の5団体は10月1日、「持続可能なパートナーシップ構築のための広告制作プロセスマネジメントハンドブック【2025年度版】」を発行した。
同ハンドブックは、2018年9月に発行された「新しい働き方のための広告制作プロセスマネジメントハンドブック」の内容をベースに、現在の広告制作業界が直面しているテーマに対応するために大幅なリニューアルを図ったもの。これからの時代の広告制作プロセスをマネジメントしていく上での方向性を示すものとなっており、日々の業務に役立つ内容となっている。
【広告制作業界が直面しているテーマ】
●広告のデジタル化に伴う制作業務の多様化
日本の総広告費は2024年には7.6兆円となったが、その47.6%にあたる3.6兆円をインターネット広告費が占めている。この急速な拡大の背景には、新たな消費者へのコミュニケーションの手段や手法が増え続けていることも挙げられる。そして、制作の現場はそうした新領域への対応を常に求められ続けている。加えて、インターネットメディアには即応性が求められることから、さらなるスピードアップへの要求も重なっており、結果として制作業務の過密化が生じている。今回からは、前回のハンドブックに参画した各団体に加え、デジタル領域を中心にコミュニケーションデザインを行うプロダクションやエージェンシーの業界団体である Interactive Communication Experts(I.C.E.)も加わった。
●「仕事を請け負う受注者の保護」を強化する流れへの対応
2024年11月にはいわゆる「フリーランス新法」が導入されたのに続いて、26年1月には下請法が改正されて通称「取適法」に変わるなど法的な整備も次々と進められている。広告主から広告会社、制作会社へと流れていくバリューチェーンにおいて適正な受発注を行っていくためには、これまで以上にプロセスを明確化していくことが求められる。発注時に明確な証跡が残されていなかったり、あるいは明確なスコープ・オブ・ワークを示さないままに業務を依頼していたりなど、旧態依然とした従来からの受発注慣習を、時代に合わせて改めていく必要がある。
●「地球環境負荷への取り組み」への着手
すでに「Ad Net Zero」の活動をはじめヨーロッパを中心に具現化しつつある、広告制作業務による温室効果ガス抑制など「地球環境負荷への取り組み」にも着手していかなければならない。この取り組みを進めていくためには、相応の労力やコストを割く必要があることを、広告制作に携わるすべての人が理解し、実行に移していくことが求められている。
また、今回のハンドブックでは、新たな取り組みとして、参加5団体の合意に基づく「広告制作ガイドライン」を掲載している。このガイドラインには、広告制作におけるより公正かつ透明な取引環境の整備、制作現場における労働環境をより魅力的なものにするための改善、制作プロセスにおける温室効果ガスの抑制など、今後の広告制作業界の持続的な発展を可能にするための指針が示されている。
