誰もが自分らしく活躍できる場所であるために。現場発のERGと経営の連携が生み出す、個性と強みを生かす職場のかたち

dentsu Japanでは、DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を重視し、「全員活躍」を実現するための多様な取り組みを進めています。その一つが、従業員一人一人の声や思いからボトムアップで生まれたEmployee Resource Group(従業員リソースグループ、以下ERG)です。
2025年からは経営陣がスポンサーとしてERG活動を積極的にサポートし、従業員発の取り組みがさらに力強く推進されています。多様なバックグラウンドやライフステージ、個々の事情を持つ誰もが自分らしく活躍できる環境づくりを目指し、dentsu Japanの全員活躍を支える重要な要素となっています。
本記事では、dentsu Japan内で展開されている複数のERGの活動とその意義について、代表者や運営メンバー、そして経営陣の声を通じてご紹介します。
従業員一人一人の思いと自発的なアクションが、ERG誕生のきっかけに
dentsu Japanでは、従業員一人一人の多様な個性が掛け合わさることで、新しい可能性や価値が生まれると考えています。特に、DEIに関する課題の解決に向けて、従業員みずからが主体的にアクションを起こすボトムアップの力を、dentsu Japanならではのカルチャーとして大切にしています。
ERGもまた、DEI課題を感じている当事者や、その支援者の自発的なアクションを推進するカルチャーから誕生した組織です。現在は10個のERGが、ライフステージ、ジェンダー、心身の状態など、さまざまなテーマや課題に沿って活動しています。

当事者の声がつながりと力になる。ERGが生み出す共感と支援の輪
ERGでは、座談会の運営や情報発信などによって、当事者が抱える課題を率直に共有しあえる環境が生まれています。こうした活動は心理的安全性を高めるだけでなく、参加者同士が新たな気づきや前向きな力を得る場にもなっています。今回はラベンダーカフェとCarers Hugの活動内容を紹介します。
■ラベンダーカフェ(がんサバイバーのERG)
がんサバイバー(経験者)が相互に悩みを相談したり、情報交換したりできる自助グループで、がんになっても安心して働けるようになることを目指して活動しています。対話イベントや部下ががんになったときの管理職の対応などについての研修開発なども行っています。

代表者:高田愛氏(電通/がんサバイバー当事者)
スポンサー:北風祐子氏(電通グループ グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサー/がんサバイバー当事者)・鈴木宏美氏(電通 コーポレート執行役員)

※1 リンパ浮腫:本来リンパ管に回収されるべきリンパ液が、リンパ管に回収されずに皮膚の下にたまってむくんだ状態になること。がん患者の場合、がんの手術でその周辺にあるリンパ節を切除した場合や、放射線治療によりリンパ管を圧迫した場合などに起こりやすくなる。
※2 アンメットニーズ:まだ満たされていないニーズのこと。医療・製薬業界においては、現在の医療では十分に対応できていない患者のニーズを指してアンメットメディカルニーズとも呼ばれる。
■Carers Hug:dJケアする人が支えあう会(働きながら介護・看護を行うビジネスケアラーのERG)
介護・看護としごとの両立を考える協議体として活動している通称「ケアハグ」。他社の人事・DEIメンバーとの意見交換もはじめて、活動の幅をさらに広げる予定です。

代表者:山中藤子氏(電通/ビジネスケアラー当事者)
運営メンバー:中司雄基氏(電通/ビジネスケアラー当事者)
スポンサー:鈴木禎久氏(dentsu Japan インテグレーテッド・ソリューション・プレジデント/ビジネスケアラー当事者)

経営陣とともに進化するERG。組織を動かすリアルな共感と支援
従業員の自発的な取り組みから生まれたERGには、2025年からdentsu Japanの経営陣もスポンサーとして加わり、活動をより力強く後押ししています。
スポンサーとして参画する経営陣の中には、同じ課題を経験した人もいれば、当事者ではないものの活動に共感して参加する人もいます。経営陣が現場の声に直接触れることで、dentsu Japan全体でDEIへの理解が深まり、制度や社内風土の進化にもつながっています。
■ラベンダーカフェ
■Carers Hug
※3 出典:経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」
未来の「課題を抱えた仲間」のために。ERG活動の今後を語る
従業員のみの活動で完結するのではなく、dentsu Japanの経営アジェンダにも結び付いた活動に進化するERG。最後に、今回の登壇者に今後の展望を聞きました。
■ラベンダーカフェ

■Carers Hug

他ERGの紹介
■DEI女性ワーキンググループ(ジェンダー)
dentsu Japanにおける女性従業員の働きやすさ向上を目的に、実態調査、情報発信、経営層への提言などを行っています。
【スポンサーコメント】
dJには多くのERGがあります。
社員の皆さんが自ら手を挙げて多様性をチカラにつなげていこうとしてくれています。
ERGとして「女性ワーキング」という大きなテーマがあること自体、会社としての取り組みがまだまだ不十分なのだと受け止めています。
ワーキングのメンバーの皆さんと協力しながら、活動に関する発信や制度化などで貢献していきたいと思っています。

■dJ Pride Hub(LGBTQ+)
LGBTQ+をエンパワーする組織で、従業員のリテラシー向上とともに当事者がより働きやすい職場を目指して当事者とアライが活動。参加者は全国にまたがり、オンラインを基本とした情報交換やテーマ別の座談会、勉強会などを開催しています。

【スポンサーコメント】
10人に1人はLGBTQ+当事者といわれており、dJにも多くの当事者がいらっしゃいます。私が暮らした、アメリカ、インド、タイ、中国でも、LGBTQ+という社会的な課題についての環境はさまざまでしたが、まずは、対話や理解を深める、当事者の生きづらさに寄り添うことが大事だと感じています。

■ユニカフェ(障害)
障害の種別も歩んできたキャリアもさまざまな当事者が集まり、リモートでの交流や、会社に向けた提言を行っています。ユニカフェの“ユニ”は、“1つ”という意味。唯一無二の個性がつながって、社内外に新しいムーブメントを起こすことを目指しています。

【スポンサーコメント】
私自身が少しだけ目の見え方が違うこともあり、わずかでもメンバーの皆さんの気持ちがわかるかもしれないと思い、今回ユニカフェのエグゼクティブスポンサーに立候補させていただきました。最初の顔合わせのミーティングで皆さんのポジティブな姿勢に感銘を受けたのと同時に、私の障害に対する認識の甘さを実感しました。このような私でも温かく迎えてくれたメンバーに感謝し、皆さんとの対話を通じ、ユニカフェがより良い憩いの場になれるよう貢献できればと思います。

■Meet Dentsu-jin in English(多文化理解)
dentsu Japanで働く、日本語を母国語としない人が気軽に英語で情報交換・雑談ができる会を開催しています。英語で話す機会が欲しい日本人従業員も多く参加しており、グループ内外で困ったことをお互いに助け合うコミュニティにもなっています。
【スポンサーコメント】
自分の経験もふまえて申し上げますと、母語とは異なる環境で生活し仕事をするのは、想像以上に大変なものです。そんなときに心のよりどころになるのは、言語の壁をこえて、何でも相談し合える仲間。そんな仲間づくりに尽力されている方々や、母語ではない環境で奮闘している方々を応援できればと思っています。

■メンタルヘルスラボ(精神疾患)
「メンタル不調やそれに起因する働く上での制約があっても、自分らしさを活かして働ける」ことを目指すラボです。

【スポンサーコメント】
自分にはメンタルヘルス不調の経験があり、ラボの志に共鳴し、参加しました。ラボに参加して感じているのは、ありのままの自分、ときに弱い自分を受け入れてくれる場所があることは、会社にとって強さでもある、ということです。気軽に話せるメンタルヘルスカフェなど、様々な活動をしております。

■d4gボランティア部(ボランティア)
ボランティアなど「Social Goodな活動」に興味がある従業員と、そうした活動を行っている従業員が出会える場を提供。社内への情報発信の他、リアル・オンラインにてイベントなども開催しています。

【スポンサーコメント】
私も、小学校の時から様々なボランティアをしてきたことと、スポンサーになる前から参加させていただいていたこともあり、とても自然な流れで立候補させていただきました。利他的なリーダーシップがある仲間が集っている、とてもOpenでFlatなコミュニティです。

■Twinkle Cafe(ベビーロス)
ベビーロス(流産、死産、新生児死など)を経験した従業員が気持ちを話せるコミュニティです。職場で孤立せず、一人ひとりが安心して働けることを目指します。

dentsu JapanのDEIに関する取り組みは以下をご覧ください。
https://www.japan.dentsu.com/jp/deandi/
【問い合わせ先】
dj-dei-office@dentsu.co.jp
※掲載されている情報は公開時のものです
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著者

飯沼 瑶子
株式会社 電通
営業局にてマスコミュニケーション、商品開発、PR施策のプロデュースを担当したのち、プランナーとして、幅広い業種のコミュニケーション戦略立案、PR戦略立案、商品ブランディングに従事。dentsu DEI innovations(旧 電通ダイバーシティラボ)の副代表として、ジェンダー・世代・障害・多文化など多様性にまつわるさまざまなテーマを取材、発信しているほか、社内外でのDEI推進にも携わる。

杉山 優
株式会社 電通
プロモーション領域のプランナーとして幅広い業種を担当。他、社内研修の開発や労働環境改革推進に携わり、2020年からdentsu Japan DEI推進プロジェクトチームに参画。現在は、DEIオフィスの一員として国内グループのDEI推進全般を担当し、社内外の研修プログラムやイベントの企画開発に携わる。

