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シンブン!今だからできること。今しかできないこと。No.12

最近みた「夢」の話

~新聞で「お祭り」は成立するか?

2014/06/27

最近、年のせいで眠りが浅いのか、よく「夢」を見るようになりました。

「夢」の世界ですから、大金持ちになっていたり、大好きな女性芸能人に会えたり、自分に都合のよいハッピーな「夢」でも文句は言われないはずです。それなのに、私は「新聞の夢」をよく見てしまいます。よほど器が小さい小心者なのか、もしくはただの新聞オタクなのか、どちらかなのだと思います。

 

最近私が見た、夢の話です。

時は秋の新聞週間です。私の夢の中では、新聞の買い占め運動が起こっていました。若者を中心に数多くの人が、キオスク・コンビニはもちろんのこと、全国の新聞販売店に残っているありとあらゆる新聞紙を買い占めに走っていたのです(夢の中のことですので、お許しください)。

というのも、その新聞の中に、某アイドルグループのメンバーの等身大紙面が連日掲載されていたのです。しかも、全国各県の新聞各紙で、全て違うメンバーの掲載でした。分かりやすく言えば、このグループのメンバー47人が、全国47都道府県で、各県の新聞の応援団として掲載されているような試みでした。当然、各テレビ局でも話題になりますし、SNSでも大きな話題になります。何よりもファンクラブのメンバーは、この47新聞全てを、すなわち47枚のポスターとして全てを集めようとするものだから、例えば、秋田県と宮崎県のファンがそれぞれ地元で紙面を購入して、SNSで連絡を取り合って交換し始めるようなことが起こりました。

言うまでもなく、これは空想の中の出来事です。お気づきの通り、その頃の現実世界では、某アイドルグループの総選挙や握手会が大きな話題になっていました。CDを購入することで参加につながるといった仕組みです。一方、新聞広告の話でいえば、47都道府県で新聞広告のクリエーティブをご当地ものに切り替えるのは、新聞広告をエリアマーケティングで使用する際のお得意の作法です。また昨年度の話ですが、この等身大ポスターのような広告掲載(パノラマワイドといいます)がブームとなっていたという背景もありました。

おそらく、今挙げたようなさまざまな因子が記憶の中に残存していて、それが中途半端に結びつくことで、現実にはありえないような夢を見たのでしょう。そうだとは分かってはいるのですが、このように自分が見た夢を冷静に分析してしまうと、なんだか非常につまらない話になってしまいます。

ただ一方で私は、年に1日でいいから、新聞にもこんな「お祭り」のような日があったらいいな、とも思うのです。その日だけは、普段の部数の2倍も3倍も特別発行されているのに、世の中の人が買い占めに走って、世間から新聞がなくなってしまうような「お祭り」。そんな日があったら、新聞社も(もちろん電通新聞局も?)、終日法被でも着て、花火でも上げて、祝い酒でも飲んで過ごすのではないでしょうか?「新聞週間」もいいのですが、さすがに法被は着ていないですものね。

 

「お祭り」ついでにもう一つ、最近私が見た夢の話です。

再び、時は秋の新聞週間です。私の夢の中では、あるホテルの会場でのパーティーの真っ最中。これからメーンイベントの大抽選会が始まろうとしています。ステージには、年末ジャンボ宝くじの抽せん会でよく見るような弓矢と的が運ばれており、女性司会者のかけ声で、間もなく弓矢が放たれるといったところでした。テレビ中継もあるようで、会場には多数の報道陣が詰めかけています。

この抽選会は、新聞広告を活用した宝くじのようなもので、新聞週間の1週間だけは、「●●自動車は高級車1台」、「▲▲食品はお米1年分」といった形で、広告原稿の中に抽選番号を入れることによって宝くじ型広告を掲載し、読者還元キャンペーンをするといったものでした。さまざまなクライアントが足並みそろえて宝くじ広告を掲載するものですから、この1週間だけは連日、紙面は60ページ建て、最終日の紙面は何と120ページ建てとなっており、宅配の限界にチャレンジしているような雰囲気です。読者の側も、宝くじ広告のあるこの1週間だけ購読しようという人が多いため、この1週間だけ部数が急増するような事態が起きているのです(夢の中のことですので、景表法とか難しいこと言わずに、お許しください)。

この夢にはちょっとした「オチ」がありまして。

最後に、「高級車」と「世界周遊クルーズ」の抽せんが待っているのですが、実は家では妻と息子が、私がこっそり会社から持ち帰った500部の新聞を手元に、何か当せんするのではないかとテレビにかぶりついているのです。万が一「高級車」が当せんしてしまったら、自分は「横領」の罪でとがめられるのでは。何でこんな愚かなことをしてしまったのだろうと悩んでいたら、実際には目が覚めました。やはり小心者です。

こちらも現実世界を見れば、この宝くじのような仕掛けは、新聞1部ごとに違う番号(シリアルナンバー)を印刷できるようになったことで、実現可能になっています。(もちろん、印刷できることと宝くじができることは、即イコールではありません)。今春には、地方新聞社の企画で、1部ずつ違うビンゴを掲載して、読者の皆さまに楽しんでいただくという企画がありました。今後も、読者が参加できるようなこうした取り組みは盛んになっていくものと思われます。

 

私は、一つ目の夢の話で、新聞にも「お祭り」の日があればいいのにと記しました。二つ目の夢の話も、背景となっている現実世界の話こそ違いますが、世の中が「ワクワクするもの」を求める気持ちに大きな違いはありません。せっかく毎日(雨の日も雪の日も)自宅に配達される新聞ですから、読者の方に、新聞が届くのを楽しみにしてもらう、新聞を開くのを楽しみにしてもらう。そんな試みは宝くじでなくても、もっと日常的にあってもよいかもしれません。毎日定期的に家に届くものに、ちょっとした「ワクワク感」があれば。

新聞の仕事に日々携わっている私は、夢で見てしまうほど新聞が大好きなのに、そんなワクワク感を世の中に提供できていないのでは、と心配に思うことがあります。

願うらくは、全国津々浦々の「お祭り」好きの方、どなたか新聞ありきで「お祭り」を考えていただけませんか?景品の「祝い酒」をご用意して、お待ちしております。