人もペットもうれしい社会を。No.4
ペットともっと一緒にいるために、私たちができることは何でしょう。
2014/07/09
ペットと一緒に生活しているペットオーナーは、具体的にどのような行動を共にしているか、皆さんは想像することができるでしょうか?
一緒に散歩をする、家の中で遊ぶ、ご飯をあげながらしつけをするなど、イメージとしてはこのようなものかと思います。しかし、Think Pet Projectで今年の1月に犬のオーナーに対して実施した調査によって、近年のペットとペットオーナーは想像以上に多くの生活行動を共にしていることが分かりました。
共に行っている室内行動に関して聞いたところ、最も印象的だったのは、「夜、愛犬と一緒に寝る」という問いに対して、「行う」と回答した方が約7割に上ったことでした。
この行動自体は目新しいものではありませんが、約7割という数値の高さがペットとの関係性の深化を象徴しているように感じられます。
「朝、愛犬に起こしてもらう」という問いに対しても約4割が行うと回答しており、人間の一日の基本行動の中にペットの存在が確実に大きくなっていることが想像できます。
他に、「愛犬に手作りご飯を作る」に対しても行うとの回答が約3割存在し、「愛犬をマッサージする」という質問に対しても約7割が行うと回答しました。これまでペットという存在に対してはあまり関係がないと考えられていた行動が、ペットとひも付き始めていることが分かる結果となっています。また、「できるだけ愛犬と一緒に外出したい」という質問に対しても、男女ともに約7割のオーナーが当てはまると回答しており、日常生活のさまざまな場面をペットと過ごしたいと感じているオーナーの気持ちが読み取れます。
近年、ドッグランやドッグカフェを中心に、ペットと共に行くことを目的とした場所は着実に増えており、自動車のディーラーでもペットを連れて入れる場所ができたり、ペットと一緒に行ける住宅展示場ができたりと、さまざまな取り組みも生まれてきつつあります。
しかし、まだまだペットと一緒に行ける場所は少なく、ペットと一緒に過ごせる場所を求めるオーナーは多く存在しているのが実情です。
ペットへの支出にまつわる意識調査でも、興味深い結果が出ています。
生活必需品(ペットフード、トイレシート、医療費など)への支出を除き、ペットに対し現在ペットオーナーがかけている費用は年額で平均8万838円でしたが、更に「昨年の(ペット関連支出)総額に対する意識」について調査したところ、ネガティブな結果はあまり見られず「出費したと思うが、もっと出費してもよかった」28.0%、「出費は少なかったと思うが、良いお金の使い方だった」42.7%というように、前向きな回答が見られました。
具体的な金額への言及は行っていないものの、同様の調査で「可能な限り出費したい」と思っているオーナーは66.3%存在しており、更なる商品やサービスが求められていると分かります。消費をする意識は存在していても、結局その消費対象となる商品やサービスがまだ存在していないということは、裏を返せばペット関連サービスにおける可能性の幅の広さであると感じています。
ペットの頭数は現在横ばいですが、1都3県のみで見ると過去5年間(2007年~2012年)で約12万頭増えているのが厚生労働省調査から分かります。単身者世帯や高齢者の増加といった背景とも相まって、パートナーとしてのペットの需要は依然として強いものであるといえますが、先にも書いた通り、ペットと行ける「場所」も、ペットとの生活に関係する「商品」や「サービス」も、ペットオーナーのニーズを満たし切れてはおらず、ここから整備をしていく状況といえるのではないでしょうか。
現在、ペットの共生を考える上で“人にとっても、ペットにとっても”という目線は非常に重要視され始めています。「動物行動学」が欧州から日本に入ってきたことも影響しており、この学問では従来のように“人間の生活に入ってきたペットを、人間の生活の在り方に合わせてしつけていく”という考え方ではなく、共生を行うためにペットをもっと尊重し、理解するというスタンスを持つことが大事とされています。
人間の行動に意図や理由があるように、ペットの行動にも等しく意図や理由が存在しています。背景を理解した上で、「ペットともっと一緒にいたい」というオーナーの気持ちをかなえるインフラを各企業がつくっていくことができれば、私たちの理想とするペットとの共生社会の実現へ向けて一歩前進できるのではないか、とチームでは考えています。