EコマースのRe-Invention(前編)
~顧客体験価値を最大化するEコマースの仕組みづくり~
2014/09/16
Eコマース(EC)において、他社と差別化し、勝ち抜いていくためには、商品に加え、顧客とのあらゆる接点で独自性のある体験価値を創出していくことがポイントになる。そのためには顧客に対する深い知見が必要だ。前編では顧客体験価値について解説し、カスタマージャーニーマップを描きアプローチしていくことの有効性を示す。
顧客との接点を点ではなく、流れで捉える
ECサイトを運営するのに考慮すべき最低限の要素は「集客」「接客」「再集客」。これらの各ステップで施策を実行して、成果を数字で評価しながら改善し、効率を上げていく。そして、顧客ごとのライフタイムバリューを最大化していくことが基本となります。
これらに加え、近年、ECを取り巻く環境は大きく変化しており、購入に用いるデバイスの多様化、ECサイトと店舗の顧客を同一化して捉える必要性の拡大、ECサイトのコンテンツ開発、店頭での接客ツールの開発など、考慮すべきことが多岐にわたります。ただ、これら全てが自社にとって本当に必要なのかを考えることが大切です。自社の顧客がどのような購買行動をしているのか、どのような体験を提供すると購入してもらえるのかということを考えていく必要があります。そのために、顧客との関わりを点ではなく、流れで捉えていくことが重要になります。ECサイトや店舗に至るまでの導線を流れで捉え、提供するサービス、コンテンツ、コミュニティなどの体験価値を一貫して設計することが求められているということです。
体験価値の創出は「顧客の満足(Satisfaction)を高める」「顧客の我慢(Sacrifice)を減らす」「顧客に驚き(Surprise)を提供する」ことです。実店舗でいえば、店内の雰囲気がとても良くてつい長居をしてしまったということや、店内や街中のサインを見ればどこに何が売っているか迷わず分かる、あるいは店員が自分の好みを覚えていてくれて提案してくれるなどがあります。これらをECサイトに置き換えて考えると、欲しいものが見つけやすい、オススメ商品が分かりやすい、店舗やECサイトの在庫がリアルタイムに分かったなど、さまざま考えられます。
このような体験価値をECサイト上でも創出していくには、大きな流れの中で施策を考えていくことが必要になります。
そのための方法として、カスタマージャーニーマップを作成することが有効です。一連の購買行動の流れの中で、顧客に対してどのようなタイミングでどのような価値を提供していくかをマッピングしたもので、これを元に体験を設計して新たな価値を創出していくことになります。日常の生活において実感できるすてきな顧客体験というものは、このような手法によりしっかりデザインされています。
後編は9月18日に掲載予定。