人もペットもうれしい社会を。No.10
セッション#3-2
ペットとの生活から見えてくること(後編)
2014/10/15
前回に引き続き、ご自身がペットオーナーであり、10月5日から始まった新番組『ペットの王国 ワンだランド』(毎週日曜 午前9:30~10:00、ABC・テレビ朝日系)の司会も務める関根さんをゲストに迎え、人とペットとの共生社会に必要なことについて、Think Pet Projectメンバーの奈木れいさんと語り合いました。
しつけは、ペットと長く一緒に居るために必要なこと
奈木:ゴールデンレトリバーって力が強くてやんちゃで、私はしつけが難しかった記憶があるのですが、実際ライル君はどうでした?
関根:最初はものすごく大変でしたよ、飯尾君が甘やかして育てていたので。特に散歩のときは思いっきり暴れて、首輪に締め付けられてもお構いなし。リードを引っ張られる力で、結婚指輪が楕円形に変形してしまったんですよ。竹内力さんみたいな凶暴さがありましたね(笑)。
奈木:それは恐ろしいですね(笑)。そんなライル君を、どのようにしつけをしていったのですか?
関根:きちんとした知識を身に付けるべきだと思ったので、訓練士の方についてもらってイチから教わりました。犬のしつけというよりは、飼い主の訓練です。正しいコマンドの出し方やタイミング、散歩のしかたなどを学ぶんですよ。
奈木:犬の一生を背負うのはペットオーナーなので、犬だけでなく飼い主も一緒に成長していく必要がありますよね。すぐにしつけができました?
関根:飼い始めたとき、ライルは既に7か月(注:訓練を始めたのが2歳近く)だったので大変な部分もありました。妻は長女なので、命令するのが得意なんですけどね。逆に私は末っ子なので、「君が良ければそれで良いよ」とついつい甘やかしてしまうふしがありました。なので、ライルの妻に対する態度と私に対する態度では雲泥の差がありましたよ。妻と散歩に行くときはおとなしいのに、私と散歩に行くときはすごく暴れるので、しばらく近所の人からはゴールデンレトリバーを2匹飼っていると本気で思われていたほど。心が折れそうになったこともありましたけど、飼い主が導いてあげなきゃいけないんだという使命感で続けているうちに、かなり良くなりましたね。もともとゴールデンレトリバーは人懐っこいし忍耐力も強い犬種。食いしん坊でエサ欲しさに飼い主の言うことも聞くので、比較的しつけはしやすい方なんです。一度なれてしまえば、そこからは順調でした。
奈木:しつけには本当に様々なやり方や考え方があり、一概に何が正解とは言いにくいですが、いくらかわいくて、いとおしい存在でも、しつけをしないのは飼い主だけでなく犬にとっても不幸なことですよね。しつけさえ出来ていれば、もっと沢山一緒に行けるところがあって、出来ることがあるのに自分でその可能性をつぶしてしまっている。
関根:本当にそうです。ペットの肥満は虐待だと思っているんですよ。動物は常に食べ物を欲しがる生き物じゃないですか。だからといって、量を考えずに与え続けていたら体調を崩すのは当たり前ですよね。決まったグラム数以上は与えない、年齢とともに量を変えるということは徹底すべき。ライルの体重もずっと30キロをキープしています。当然ライルには少しでも長生きしてほしいですし、ペットと幸せな時間を過ごすためにも、しつけは必要なんです。
番組を通じて、ペットオーナーの悩みも解決したい
奈木:私たちのThinkPet Projectでは、人にもペットにもやさしい社会をつくるために事業としてどんな後押しができるかを考えています。関根さんはペットオーナーとしてすごく勉強をされている印象を受けたのですが、これから人とペットの共生社会を実現させるためにやっていかなければならないことは何だと思いますか?
関根:欧米では、ペットの店頭販売を禁止したり、ペットを飼うための免許が必要な国もありますよね。日本にはそのような縛りがないので、どうしても衝動で飼ってしまうことがある。でも本来ならば、飼うときに「この動物の一生を背負うんだ」という覚悟が必要なはずなんです。生き物のいのちに関わることだから、軽いノリで決めることではない。店頭販売が悪いという話ではなく、理想としては免許とまでいかずとも1週間程度のレクチャーを受けてから飼える制度があるといいなと私は思います。講習を受けることで覚悟を決められる人もいれば、中には途中で「やっぱり私には無理だ」と諦める人も出てくるでしょう。でも将来のことを考えると、諦めるという選択は人と犬の双方にとって決して悪いことではありません。それから、飼い始めてからも数回レクチャーを受ける制度があるともっと良いですね。意外とコマンドの正しい知識や、ノーリードで外を歩かせてはいけないという常識って、教えてもらわないと知らないままだったりするんですよね。
奈木:私たちのチームでも、ノーリード問題はたびたび議題に挙がります。
関根:私は犬を飼っている立場の人間なので、ノーリードで歩いている犬の様子を見れば「あの犬はしっかりしつけがされているから大丈夫」と判断することができます。でも、飼っていない人はそういうことが分からないので不安ですし、犬に対して恐怖心を持っている人や小さな子どもへの配慮も全然足りていませんよね。共生社会というのは、自分と違う立場の人のことも考えてこそ成り立つものだと思うんです。
奈木:私もそう思います。ペットを飼うことの素晴らしさはもちろん、しつけの大切さや飼っていない人も含めた共生社会の実現へ向けた活動をこれからどんどんしていきたいですね。
関根:私も新番組を通じて、そういったことも伝えていけたらいいなと思っています。飼ってから初めて気が付くことや、悩んだりすることって多いじゃないですか。だからペットの楽しさやかわいらしさだけでなく、ペットオーナーの悩みも解決できるような番組にして、少しでも人とペットが暮らしやすい社会に貢献していきたいですね。