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「ジブンと社会をつなぐ教室」を書籍化した「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」の特別対談の一部を紹介。今回はスクーの森さんを迎えた対談の後編。森さんは、自社のサービスを展開する中でコミュニケーションに「流派」があると考えるようになりました。自分がどの流派なのかを知ることは、面接への恐怖心を取り除くことにもつながります。
(前編はこちら

 

面接で面接官の趣味を知って帰れるか

「伝える」に王道はない

保持:現在展開なさっているschoo(スクー)WEB-campusというサービスは、本当にいろいろな先生が、その場でたくさんの人に伝えて、受け取った人がレスポンスしてというのが、手に取るように分かるプラットフォームですよね。それを横で見ていると、この人の伝え方って上手だなとか、伝えるコツみたいなものが見えてくると思うのですが。

森:コミュニケーションとか教え方って「流派」があると思います。例えば劇場型。ウチにはエクセルの田中先生という教えるのが上手い先生がいるんですけど、この人はもうワンマンショー。「いいんです、エクセルはこれでいいんです」みたいに見ているだけで面白い。

 

保持:エクセルでそれができるってすごいですよね。

一同:(笑)

森:そういう流派もあれば、相手と徹底的にコミュニケーションをとる人も、いくつかのパターンを準備しておいて相手に合わせて出し分ける人もいる。王道のやり方っていうのは多分なくて、いずれも正解だと思うんですよね。だから新しい先生に対してアドバイスするときも、まずは、その人の流派を見極めるところから始まる。その上で、多分あなたの教え方だったら、この先生とこの先生の授業参考になりますよと言っていく。

保持:学生の場合は、どうすれば自分に合ったコミュニケーションの流派が見つかるんでしょうね。

森:前提として、コミュニケーション上手・下手っていう二元論で人を捉えないというのが重要だと思っています。自分の友達でも、プレゼンテーションさせたら負けないっていうヤツもいれば、飲み会になったら話の中心になるっていうヤツもいるし、聞き上手で恋愛相談するならこいつだなっていうやつもいると思うんですけど、どのコミュニケーションが自分の形にしっくりくるか、ちゃんと考えて分析するっていうのは大事だと思います。

面接官は「壁」じゃない

森:結局、情報をアウトプットすること自体は簡単なんです。それを相手が最後まで何パーセントキャッチしてくれるかというのが非常に重要です。インターネットの学習サービスは、飽きたらブラウザー閉じられて終了なので、そこで集中力を切らさないためにコミュニケーションの設計をしてあげるっていうところが重要なんです。それをやるかやらないかで最終滞在率が40%くらい変わったりするんですよ。

保持:教えるに限らず、伝えるっていうときには、一方的に言うより、キャッチボールが発生する抜き差しみたいなものが大事ということですね。就職活動も同じかもしれません。例えば面接とかって、数少ない双方向のやりとりができるチャンスだったりしますよね。

森:今、思い出したんですけど、就職活動のとき、グループ面接で、僕の隣の男の子が、面接のはじまる前に天気の話をしたことがありました。面接官は低いテンションだったのでうまくいかなかったんですけど、トライとしてはいいんだろうなと。結局はコミュニケーションをしに来ているので。

 

大来:「コミュニケーションしに来ている」っていうのは、学生にとっては素晴らしい言葉なんじゃないかと思いました。面接って、自分が自分のことだけをしゃべりに行くんだ、みたいなことじゃなく、面接官とコミュニケーションするんだっていう意識があるとちょっと違う気がする。

保持:確かに新しい視点かもしれないですね。面接に行って、面接官のことをよく分かって帰って来る人はあんまりいないじゃないですか。今日面接してくれた人に娘さんがいて、犬飼ってて、趣味が○○で、みたいに。もし、そういうことができたら、結構よい面接ですよね。

大来:みんな面接官を「壁」みたいに思ってるけど、向こうにも人格があって、その人が自分の話を聞くんだと思えるとだいぶ違うと思う。

森:僕自身も選考していてやっぱりワクワクしていますよ。やっぱり書類上で通しているわけじゃないですか、面接までは。よい仲間を探していて、いいヤツだったらいいなとか思っている。なので学生としては、向こうもドライに切り捨ててやろうと思っているわけじゃないっていう前提の中でコミュニケーションできると、ちょっとは気持ちが楽になるんじゃないかな。

<完>

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宣伝会議オンライン 
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著者

森 健志郎

森 健志郎

株式会社スクー

1986年生まれ。2009年大学卒業後、リクルートで広告営業、リクルートメディアコミュニケーションズで広告制作のディレクターを務める。2011年10月にスクーを設立、代表取締役社長に就任。「世の中から卒業をなくす」をミッションに、“仕事に活きる”コミュニケーション型動画学習プラットフォーム「schoo(スクー)WEB-campus」を手がける。

保持 壮太郎

保持 壮太郎

株式会社電通

電通入社後、人事局配属を経てクリエーティブ局へ。 主な仕事に大阪・関西万博2025誘致、大塚製薬ポカリスエット「NEO合唱」、SMBC2020「THE POWER TO BELIEVE」、Levi’s Red「きがえよう。」、NTTドコモ「FUTURE-EXPERIMENT」、Honda VEZEL「世界ヴェゼル」、Hondaインターナビ「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」「RoadMovies」など。 Cannes Lions グランプリ、D&AD Black Pencil、Adfest グランプリ、ACC賞 グランプリ、TCC賞、文化庁メディア芸術祭 大賞、日本パッケージデザイン大賞 金賞、ほか受賞多数。 Advertising Age誌のAWARDS REPORT 2014においてコピーライター部門世界2位。

大来 優

大来 優

株式会社電通

カンヌチタニウム部門グランプリ、D&ADブラック・イエローペンシル、メディア芸術祭大賞、アドフェスト、クリオ、スパイクス、NY ADC、 ONE SHOW、ACC、グッドデザイン賞など、国内外の広告賞を受賞。特技は水泳、趣味はスノードーム集め。好きな漫画は「名探偵コナン」。

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