「よりよく生きる」プランニングNo.9
ウェルネスのこれから
2013/10/11
この連載もついに9回目になりました。
定義からはじまり、買われ方まで、2012年の1万人調査の結果を軸にウェルネスについて広くお話ししてきましたが、「今の生活者のウェルネスってこんな感じかな」という雰囲気は、なんとなくつかんでいただけたでしょうか?
初回でも少し書きましたが、このテーマに取り組むプレーヤーは昨今、多様化し、増加傾向にあります。今回は締めくくりとして、今まで説明してきたような生活者のニーズに応えてきた、あるいはそれを顕在化させてきた実際のウェルネス商品やサービスの事例をご紹介させていただきます。
●ウェルネス×伝統の知恵(塩麹、お酢、生姜加工食品など)
⇒機能のエビデンスなども研究され、健康への貢献が見直されています。
●ウェルネス×自然志向(グリーンスムージー、酵素ドリンクなど)
⇒「まるごと」「そのまま」であることが健康に良さそうな感じを生んでいます。
●ウェルネス×売り場(家電量販店、百貨店のヘルスケア・美容商品売り場など)
⇒ニーズが高くなり、商品が増えてきたので、コーナーを設置するようになりました。
●ウェルネス×欲望(トクホ飲料、ゼロ・オフ系ビール、飲酒対策飲料など)
⇒我慢するのではなく、欲望のケアをするようになってきています。
●ウェルネス×疲労(エナジードリンク、アロマ商品、リラクゼーションサロンなど)
⇒心身の疲労を感じている人が多いので、回復に寄与する商品が増えています。
●ウェルネス×デジタル社会(眼精疲労、肩や腕のコリの対策用品など)
⇒悩み症状として上位です。伊達以外で視力に関係ないメガネはイノベーションでしょう。
●ウェルネス×エチケット(ネイルサロン、エステなど)
⇒男性の意識も高まってきていて、女性のものだけではなくなってきている印象です。
●ウェルネス×日常(ヘルシー家電、~するだけ・~しながら系商品など)
⇒ハードルが低いので、取り組みやすいという意味で、需要はなくならないでしょう。
●ウェルネス×IT(ゲーム機、アプリ、スマートトラッカーなど)
⇒登場した時はセンセーショナルでした。ますます発展しそうな分野です。
いかがでしょうか? どれもこれも一般的なものばかり。意識してみると、ウェルネス価値が付いているものがいつの間にかあちこちに存在するようになっていたことが分かると思います。
また、ウェルネスと切っても切り離せないメディカル分野のトレンドを、参考までに少しだけご紹介すると、遺伝子診断、オーダーメイド医療、実用化まではもう少し時間がかかりそうですがiPS細胞などが話題になりました。こちらからは、より個人に寄った対応が可能になってきている感じを受けますね。
私は学生の頃、生物工学の勉強をしていたのですが、「いきものってなんて高機能、生きているって奇跡的」という実感を得ました。より健やかに美しく、少しでも長く生きたいと願うことは本能的な欲求ですが、便利で高度な文明の恩恵を享受できる今の世界は、人間のウェルネスにとって良い部分も悪い部分もあります。
技術の進歩により、ウェルネス課題自体が変化していますし、提供されるソリューションもまた、様々な進化を遂げています。一方で、科学だけではどうにも解決しきれないのがウェルネス。今後は、自然と人工のバランスがポイントになってくることが予想されます。
さて、この連載はこれでいったん一区切りとなります(2013年の調査結果を分析中!)。データだらけで1回分の文章ボリュームも多く、読むのが大変だったと思います。ここまでお付き合いくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。
近いうちに、また違う形でもお目にかかれますように。