開局15年・民放BSの今
好調の要因と進化の可能性を追う②
2014/12/24
大物をゲストに、ニュースを深掘り
民放BSの特長の一つが、テーマに沿ってじっくりと核心に迫る報道番組の数々。例えば「BSフジ LIVE プライムニュース」(BSフジ)は、毎週月~金曜の午後8時から2時間の帯番組として放送。政治や国際問題など、そのとき視聴者に関心の高いテーマを、時間をかけて掘り下げていく。中でも見どころは、大物ゲストの登場。政治家はもちろん、大手企業のCEOらを招いて質問を投げ掛ける。議論を交えながらも、たっぷりと出演者が語る形式のため、ゲストからも「自分の考えや主張を誤解なく伝えられる」と好評だ。
その他、「深層NEWS」(BS日テレ)や「日経プラス10」(BSジャパン)も、毎週月~金曜の午後10時~11時に放送。こちらも多彩なゲストが出演。語った内容が大きな話題になることも多い。
第一人者の技術や人生を味わう
民放BSでは、偉人や第一人者の人生、あるいは技術を堪能しながら、メッセージを感じ取れる番組も多い。日本経済新聞の名物コラムを映像化した「日経スペシャル 私の履歴書」(BSジャパン)は、本人のインタビューを軸に、偉人の生きた道筋をたどっていくもの。30分番組だが、数回にわたり1人を取り上げる中で、激動の人生や成功をつかむまでの心中をつまびらかにする。
音楽番組においても、ゆったりと音楽を楽しみつつ、歌い手の心情や思いに迫るのが“BS流”。「地球劇場~100年後の君に聴かせたい歌~」(BS日テレ)は、ホストの谷村新司さんがゲストを1人招き、2時間にわたってその歌手の歌や、人生への思いを追っていく。ゲストも吉田拓郎さんから一青窈さんまで、幅広い年代の人が登場する。
ライブ中継でファンが共鳴
スポーツファンたちの心をつかんでいるのが、民放BSのライブを中心とした試合中継だ。「プロ野球巨人戦」(BS日テレ)の中継は午後6時スタートで、プレーボールの瞬間からその模様を届けている。また、試合が延長した場合もマルチチャンネルを使い、可能な限り生中継。国内ゴルフツアーなども、地上波と連動しながら、各局が生中継を中心に発信。ウェブ上でライブ映像を展開する局まであり、ゴルフ好きが満足できる視聴環境を実現している。
また今年11月には、テニスの錦織圭選手の活躍に合わせて「ATPワールドツアーファイナルズ」の出場全試合が緊急生中継(BS朝日)された。スポーツ選手の活躍に合わせてフレキシブルにライブを届けられるのもBSならでは。スポーツファンのリアルなニーズに応えた一例といえる。
人々との触れ合いから、国内外を“疑似体験”
街や自然の情景と空気を、ゆったりとした演出で伝えていく民放BSの紀行番組。それに加えて、地域の人々の日常や触れ合いにもスポットを当てるのが特徴だ。「ヨーロッパいちばん旅行記」(BS朝日)では、ヨーロッパの「街角」を巡り、現地の人たちの日常生活に密着。まるでその街に暮らしているかのような感覚をもたらしてくれる。
国内を舞台にした紀行番組も人気だ。「聞き込み!ローカル線 気まぐれ下車の旅」(BSジャパン)では、芸能人2人がコンビを組んで、全国各地のローカル線を1泊2日で始発駅から終着駅まで満喫。地元の人に聞き込みながら、あまり知られていない穴場スポットを探す。人々との気軽な触れ合いから、ドキドキ感まで味わえる内容だ。
「久米宏・未来への伝言 ~ニッポン100年物語~」
民放BS5局の共 同特番として、年末年始にわたり、各局日替わりで5番組が放送される。5番組共通の総合司会を務めるのは久米宏氏。番組ごとテーマに合わせたゲストを呼 び、VTRとともにトークを展開する。昨年、同形式で行われ大きな反響を呼んだ「久米宏のニッポン100年物語」の第2弾。過去を振り返りながら、未来へ のヒントを探っていく。