【ランキング2014】ニュース番組に登場した
モノ&場所TOP20を分析
2014/12/25
2014年もあとわずかとなった。電通パブリックリレーションズ(以下電通PR)は、この1年間でテレビのニュース番組に登場した「モノ」と「場所」のキーワードを調査した。ワイヤーアクション社が提供するテレビ放送ログ情報から、関東キー6局の夕方と夜のニュース番組で放送された内容(テロップや音声も含む)を抽出して集計している。
ランキングTOP20は以下の結果となった。
1位:東京スカイツリー |
1位「東京スカイツリー」は気象情報、9位「東京タワー」はイベント会場として
気象情報には東京スカイツリーに設置されたお天気カメラからの映像が使われるため、特にニュースやイベントがなくても取り上げられる「東京スカイツリー」が1位となった。「東京タワー」は9位にランクインしたが、今年は大展望台が初めてイベント会場として使用されたり、成人の日に新成人の展望台利用を無料にしたり、W杯日本代表戦前やピンクリボン運動の一環などでライトアップするなど話題を提供したことが、取材されるきっかけとなった。東京タワー周辺には桜の見所が多いなど、年中行事に関連した露出もあった。
ソーシャルメディアとテレビ番組のつながりが深まる
「Twitter」が2位、「LINE」が3位、「YouTube」が5位と、人気ソーシャルメディアがそろって上位にランクインした。TwitterやLINEは視聴者意見の募集や紹介に使われることが定着しつつあり、YouTubeはアップされた動画が番組内で紹介されることが多く、情報ソースとして使用された。LINEは、だれでも自由に販売ができるLINEスタンプや、従来の携帯電話や固定電話に無料通話できるサービスなど、サービスそのものが取り上げられることも多く、テレビ番組制作者からの関心の高さがうかがえた。テレビの反響をネット上で集めたり、ネット上で話題になったものをテレビで紹介したりすることは定着してきたといえるのではないだろうか。
都心の大手百貨店は、経済を映す鏡である
TOP20のうち、7つランクインしたのが「西武池袋本店」をはじめとする都心の大手百貨店だ。今年は4月の消費税増税前後に、生活者の購買意欲を調査するために百貨店の様子が取材された。また、気候の変化による衣服の売れゆきや、ボーナスやお中元商戦などの取材も百貨店で行われることが多い。生活者の消費行動を伝えるのに、百貨店が適しているという判断であると思われる。まさに百貨店は経済を映す鏡である、ということではないか。
年間を通じて話題を提供したTDLと、ハリポタ効果のUSJ
「東京ディズニーランド(TDL)」は第6位にランクイン。5月にシンデレラ城に映し出されるプロジェクションマッピング“ワンス・アポン・ア・タイム”が開始、9月に人気アトラクションである“ジャングルクルーズ”が開園以来初のリニューアルをするなど、年間を通じて取材される機会があった。
また「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」は、今年オープンした映画「ハリー・ポッター」をテーマにした新エリア“ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター”が大きな話題となり、オープン前のイベントや、オープン直後のにぎわいなどが取り上げられ11位となった。
テレビでもアナ雪とiPhone 6が大フィーバー
さまざまなメディアが“今年のヒットランキング”の発表をしているが、必ず上位にランクインしている「アナと雪の女王」が、本ランキングでも4位になった。テレビでも繰り返し取り上げられ、国内興行収入や観客動員数の伸びなど作品自体のトピックスに加え、主題歌、おもちゃ、郵便局限定で発売されるコラボ年賀状、動画サイトに投稿された“なりきり動画”まで幅広く取り上げられた。
また、今年は「iPhone」の新機種「iPhone 6」が発売され、13位に。発売日にはアップルストア前の行列が取材された。20位にランクインした「iPad」は、世界バレーの試合中に日本代表がデータ分析のために使用したり、健康管理や知育の現場で利用されたりする様子が取材され、スマートデバイスの導入例として報じられた。
掃除機からレストランまで、ロボットに注目が集まる
TOP20の圏外となったモノや場所の中では「ロボット」に関連するキーワードが多かった。千葉工業大未来ロボット技術研究センターで行われている最先端のロボット研究、人類初のロボット宇宙飛行士「KIROBO(キロボ)」、アイロボットの「ルンバシリーズ」に代表されるロボット掃除機、アイボ以来久しぶりに注目を集めた家庭用ロボットであるタカラトミーの「オムニボット」、ソフトバンクの人工知能を搭載した人型ロボット「ペッパー(Pepper)」などが取材を受けたものの代表例だ。また、東京・新宿の「ロボットレストラン」が外国人向け観光地として注目を集めている、といったものもあった。
テレビの傾向をPR活動に生かすには
今回の結果について、電通PRテレビ業務推進部長の岩井秀仁氏に聞いた。
「本調査では、“今年の話題ニュース”の集計ではなく、どのような商品や場所がキーワードとして出現したのかをランキング化しているので、テレビ番組制作の裏側が垣間見えるのではないでしょうか。
まず、Twitter、LINE、YouTubeといったソーシャルメディアがそろって上位に登場しているのは、まさに現在のテレビ番組の制作手法を表しているといえます。視聴者の声を集める“ツール”として、それ自体を取り上げる“ネタ”として、この両面でソーシャルメディアが大きな役割を果たしていることを如実に表した結果でしょう。これは10年前には考えられなかったことです。
また百貨店が多くランクインしていますが、これは消費動向をテレビで表現する場合、『百貨店の動きが一番分かりやすいから』ということです。消費税アップ、ボーナス商戦スタート等々、消費者や景気の動向を切り取るには百貨店は非常に分かりやすい取材対象となります。また、百貨店の広報対応は非常に柔軟で、急な取材にも臨機応変に対応しており、露出頻度が高くなる理由のひとつになっていると思います。これは今年に限らず昔からあるテレビ特有の傾向です。
動物園や水族館もランクインしていますが、子どもや動物ネタは、報道番組にとっても、いわゆる “テッパンネタ”です。視聴者には主婦や高齢者の方が多く、シンプルに“かわいいもの”への反応の良さは、今の“ゆるキャラ”人気にもつながっています。これもまたテレビならではの傾向です。
『企業活動をテレビで取り上げてもらうためには…』と考える場合、これらテレビの傾向を逆手に取って考えれば(例えば、百貨店や動物と絡めながら、ソーシャルメディアで話題にする等)
きっと“テレビ的ネタ”になること間違いないです。
このようにデータに基づいてテレビを見ることで、取り上げられる理由や傾向をある程度、理論的に検証することも可能になってきました。新聞やネットニュース、ソーシャルメディア分析のためのデータベースなども整ってきており、2015年は企業広報やPR活動においてもデータサイエンスの導入が進むはずです。
経験と感覚を頼りにする“テレビ的感覚”と“データサイエンス”、この両方を持ち合わせることが今後ますます必要になっていくでしょう」
元記事はこちら(電通PRのデジタル×PR 情報サイト「DIGITAL BOARD」より)。
【調査概要】
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