インド発★ベビー用品市場が成長の兆し、高級品の需要拡大も
2015/04/02
インドの乳幼児用品各社が、市場の拡大に備えた製品ラインアップの拡充などに本腰を入れている。若い親世代を中心にネット販売が浸透している他、高級ブランドの需要が高まっていることも、各社の動きに拍車を掛けている。アジアの経済情報を配信するNNAが伝えた。
「『ベビースキンケア』という製品の効能から一歩踏み込んで、『ベビーケア』という子育ての意識を訴求していく」(地元紙ビジネス・スタンダード)。こう語るのは、インドの乳幼児用品市場では圧倒的な売り上げシェアを誇る米製薬・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のスコット・ボードリー代表(アジア・太平洋地域担当)だ。
同社は、ベビーケアの重要性を説くキャンペーン「ソー・マッチ・モア」(SO MUCH MORE)を、インドなど新興国を中心とする世界7市場で展開している。シャンプーやせっけんなどで製品の特徴をうたうだけでなく、乳児の入浴の効能を啓発していくことが柱。ボードリー氏は「乳幼児の健康な肌を目指す企業から、乳幼児の感性の開発に携わる企業への転換を図る」と力説する。
「ファーストクライ」の名称で実店舗と通販サイトを運営する地場ブレインビーズは昨年12月、世界的なベビー用品ブランド「フィッシャープライス」との提携を手始めに、地場の子ども向けブランド「パインヒル」や「エドハーディー」など5ブランドとも手を組んだ。この他、コングロマリットのマヒンドラ・グループも、乳幼児用品の通販サイト「ベビーオイ」を買収した。
インドでは、布おむつを使用するなど伝統的な子育て方法を重視する傾向が強いが、所得水準の向上などにより、紙おむつなど関連商品市場も着実に拡大している。特にデリーやベンガルールなどの大都市の富裕層は、ネット通販でイタリアの乳幼児向け日用品ブランド「キッコ」などの高級商品などを好んで購入する傾向が強いという。
地方では地場ブランド健闘
英調査会社のユーロモニターによると、インドの乳幼児用品市場は2014年の89億5600万ルピー(約170億円)から18年には94億6370万ルピーに緩やかに拡大する見込み。商品ジャンル別の市場規模(14年)は、スキンケア(40億4820万ルピー)が全体の半分近くを占める。次いで、せっけんや歯みがきなどの洗面用品(34億3230万ルピー)の比率が高い。伸び率では、規模は小さいものの、おしりふきが14年の2億6510万ルピーから18年には4億1580万ルピーに約1.5倍拡大すると予想されている。
過去5年間のメーカー別シェアを見ると、J&Jが7割超と寡占状態。2位以下は、地場ダブールが1割程度、ウィプロが3%前後で推移している。これについてユーロモニターは「硬直的で変化が少ない市場。J&Jの圧倒的なブランド力が、国内で力を付けてきているヒマラヤ・ドラッグのような新規ブランドの成長に立ちはだかっている」と指摘する。
ただ、農村部では状況が異なる。地方の消費者は価格重視で購入する傾向が強く、J&Jよりもダブールやウィプロなど地場ブランドの人気が高い。