企画者は3度たくらむNo.9
企画者の個性は信念に表れる
2015/05/07
ビジネスに正解は存在しません。
考える人が違えば発想される企画は違って然るべきですし、判断する人の価値基準によっても正解は変わります。そこに存在するのは「この企画がベストである」という信念と、その思いを実証するための根拠だと思います。
その意味では、人間という存在は、常にビジネスにおける不確定要素であると言えます。最低限のレベルを担保していることを前提に、どんな人が仕事を受け持つかによって、目指すべきビジョンも変われば、再定義される課題も、そこから導き出される課題も違ってきます。
逆に考えれば、企画には個性が発揮されて然るべき、ということになります。もちろん身勝手でわがままな個性であってはならないのですが、常日頃から思っている課題意識や世の中を見渡す視線が仕事に影響してくるのは、ごく自然なことです。
企画に信念を乗せる
私は、人間という不確定要素をポジティブに捉えています。もちろん悪い結果を生むこともあるかもしれませんが、誰も考えつかなかった良い結果を生む可能性を秘めていると思うのです。その爆発力の源泉こそが信念であり、いかに企画に自分の思いを乗せられるかであると感じます。
仕事に思いを乗せることができると、それ自体が推進力になります。どんなにダメ出しをされようとも、実現が難しくても、睡眠時間を削っても、プライベートを削っても、仕事に取り組む意味になり得ます。究極的に言えば、自分の思いが乗っている仕事こそが、自分にしかできない仕事と呼べるのではないでしょうか。
私の周りにも素晴らしい企画者はたくさんいるのですが、彼らは決して自分の専門性の中だけで企画を立てようとしていませんし、それらの武器を振りかざしたりもしません。常に世の中を良くしたい、新しいことで世界をハッピーにしたいという信念を持って、広告ソリューションを立てるべく努力しています。その信念が自分の軸としてブレないため、人の心と、製品やサービスを動かし続けられているのだと思います。
あるべき理想としての世の中を見据え、日頃から絶えず新しい視点を持って生活する。この基本に忠実なプロセスこそが課題解決の基礎体力となり、継続性を実現させているのです。そして、私も、その全てができていないとしても、そうありたい、そうでなければならないと思います。
信念があれば、どんな案件も乗り越えられる
全ての事柄に、基礎の上に応用があるように、企画立案も基礎がしっかりしていなければ、案件ごとに瞬発力やひらめきに頼らざるを得なくなります。しかし、それでは仕事の質を安定させることはできませんし、精神衛生上も良くありません。
案件はその場その場のものです。事情も違えば、抱えている課題も違います。規模も、期間も、何一つ同じことはありません。
しかし、課題を発見し解決していく過程は、経験や過程の積み重ねから生まれた個性としての信念が表れます。その積み重ねを、正しく、能率的で、生産性の高いものにしていくことで、企画力は必ずや強化されていきます。
そのためには、普段から疑問を感じたり、不満や不都合を感じた気持ちを受け流すのではなく、違和感として受け止める心構えをしていくことが有効です。その視点が自分しか持ち得ない財産として個性につながっていきます。
過去の偉人が語ったように「習慣こそが、人をつくり、個性を生む」のです。
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