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マーケティングROI最前線 ~アナリティック・テクノロジーが切り開く未来~No.1

Karl Weaver × 中川 健 (第1回):
ここまで発展してきた!
最新マーケティングデータ分析ツール

2015/05/29

Data2Decisions(データ トゥー ディシジョンズ、以下D2D)とは?
イギリス・ロンドンを拠点に、電通イージス・ネットワーク(DAN)の一員としてデータ分析に基づくマーケティングコンサルティングサービスをグローバル展開。クライアントのマーケティング投資効率(ROI)を最大化するために、 Marketing Mix Modeling (マーケティング・ミックス・モデリング、以下MMM)などのエコノメトリクス(計量経済学)をはじめ、最先端のアナリティック・テクノロジー(分析技術)の開発と運用を行っている。
 
*MMMは、売り上げデータとメディアなどのマーケティング活動データを用い、売り上げに対する効果とROIを分析するエコノメトリクスモデル。

 

このたびD2DグローバルCEO、カール・ウィーバー氏が来日したのを機に、クライアントのマーケティング投資効率を最大化するアナリティック・テクノロジーの最先端と今後の動向について詳しく聞きました。全4回のシリーズでお伝えします。聞き手は、統合データ・ソリューションセンターBI推進部の中川健部長。

all
 

マーケティングに関するデータをすべて同一基準で測定

 

中川:まず、D2Dを簡単に紹介していただけますか。

ウィーバー:D2Dは、ビジネスを成長させる新たなマーケティング活動に投資するにはどうしたらよいのか、コンサルティングを通じクライアントの理解を深めるお手伝いをしています。つまり、これまでのマーケティングの成果を分析し、テクノロジーやデータベースを駆使して意思決定プロセスを加速させることによって、クライアントは将来に向けてさらに有効なマーケティング活動に投資できるのです。
現在、ロンドンをはじめ、ニューヨーク、トロント、シンガポールなど世界に9つのオフィスがあり、それぞれのオフィスを拠点に、各地域の市場でオペレーションを展開しています。システムの上では、1カ所の拠点から、全世界のマーケットにサービスを提供することも不可能ではありませんが、現実的ではありません。一貫したアプローチや結果の品質はもちろん重要ですが、ローカルマーケットのニーズに適応することも重要だからです。各地にオフィスがあるのは、そこで新しいビジネスを創出し、より確かな仕事を提供するためでもあります。重要なのは、クライアントがいつでも必要な時に我々が提供するサービスにアクセスできることです。

中川:D2Dは、マーケティング分析のツールや手法に大きな強みがありますね。

ウィーバー:おっしゃる通りです。クライアントやメディア企業から多くのデータを入手し、エコノメトリクスなども取り入れながら、様々なテクニックを使ってデータ分析をします。分析に使用するソフトウェアやテクノロジーには自社開発したものが多く、メディアなどマーケティング活動と、売り上げやブランド認知など中間指標との関係を数値で導き出すことができます。クライアントにとってメリットが大きいのは、マーケティングに関するデータをすべて同一の基準で分析し評価できるという点です。

Karl

中川:他のマーケティング会社に対する優位点でもありますね。

ウィーバー:はい。共通の基準を持っていることで、世界各国で常に一貫したデータ分析の結果を提供できます。グローバルクライアントにとっては、業績に直結する重要なポイントです。また、作業の迅速性も我々の大きな優位点です。独自の技術、データベース、経験則に基づいて、非常に速く効率的に作業を進めることができます。分析を依頼されてから結果を出すまでの時間は、競合他社に比べてはるかに速いと自負しています。そしてこれも重要なポイントですが、D2Dは、複雑化した市場において、多種多様なメディアやマーケティングチャネルそれぞれのビジネスへのインパクトを詳細に掌握する技術力があり、その情報を提供できます。

複雑なデータ解析ができるツールで、マーケティング投資を最適化

 

中川:競合他社に対する優位点の一つに「迅速性」を挙げていましたが、その迅速性を可能にしているのは何でしょうか。

ウィーバー:何を優先的に速く測定しなければならないのか、何を見つけ出す必要があるのかを経験的に熟知していることがまず挙げられます。そしてもう一つは、やはりテクノロジーです。マーケットがどのように作用するのか、メディアとマーケティングを最適な形で利用するにはどうすべきかを、データ解析のテクノロジーによって的確に判断することができます。例えば、PoleStar(ポールスター)というツールがあるのですが、これはマーケティング予算の使い方を最適化するものです。テレビ、新聞、デジタルなど、ある特定のメディアを利用した場合、当初は大きな効果があってもそのうち効果が逓減してくるため、別のメディアに予算を移した方が全体の成果が大きくなります。一見簡単なことのようですが、数多くのメディアやブランドがある中でメディアを展開する期間やタイミングを考えた場合、非常に複雑なデータ解析が必要になります。PoleStarを使うと、その的確な投資判断が可能になります。

中川:他にもPioneer(パイオニア)やMEP(エムイーピー)といったツールがありますね。

ウィーバー:Pioneerは、MMMなどを速く、効率的に行うために開発した独自ツールです。このスピードはクライアントにとって大きなメリットになります。我々が過去に行った分析結果のデータベースにもアクセスできるので、算出された値が理にかなっているかどうかを瞬時に検証することもできます。
一方、MEPですが、これはマーケティング・エフェクティブネス・プラットフォームの略です。昨今、マーケティングデータは非常に複雑になっているので、多くの情報を集約する必要性から生まれました。クライアントはウェブを通して様々な可視化されたデータや詳細な分析結果を検討し、販売予測を立て、PoleStarの機能を組み込むことによりマーケティング予算の最適化もできるようになります。

中川:それらのツールは逐次バージョンアップしているのですね。

ウィーバー:はい。ツールの開発は絶えず行っていて、もうすぐ、PioneerとMEPは新しいバージョンをリリースする予定です。また、PoleStarの最新バージョンでは、MMMの分析結果のデータベースを使いプランニングする機能があります。これは、電通イージス・ネットワークで利用可能なものです。一方で、電通イージス・ネットワークには、消費者がメディアからどのような影響を受けているのかを理解する様々な調査データがありますから、それらのデータベースを統合的に分析しプランニングに活用できるというのは非常に大きな強みになります。クライアントが求めているデータの入手がさらにスピードアップし、迅速な投資効果予測に威力を発揮しています。

Nakagawa

中川:D2Dは広告業界の受賞歴も豊富ですね。

ウィーバー: IPA(イギリス広告業協会)が運営している賞があるのですが、審査がとても厳しく、いわば業界のベンチマークとなっています。そのIPA賞をD2Dは十数回受賞しています。また、他の様々な広告会社の受賞に貢献できたことも大変ラッキーだと思っています。広告会社と仕事をする際は、特定のデータの裏付けやデータ分析を行ったり、プランナーの考えるストーリーをサポートするデータを提供したりするといった形で携わってきました。

※第2回は6/5(金)に公開予定です。