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公開日: 2015/11/30

アドテック東京に登場 dentsu.io が描く次世代のデータマーケティング

山本 覚

山本 覚

株式会社 電通デジタル

簗島 亮次

簗島 亮次

株式会社インティメート・マージャー

小林 康之

小林 康之

トレジャーデータ株式会社

山崎 茂樹

山崎 茂樹

株式会社電通デジタル

五島 淳

五島 淳

SHE株式会社

「マーケティングオートメーション」が日本でも大きな盛り上がりを見せている。

リード(見込み顧客)を把握し、次の施策を打つための自動化ソリューションの総称だ。しかし、一口に「マーケティングオートメーション」といっても、完全に自動化されているわけではない。ツールを使いこなすリテラシーやデータ活用における戦略が求められる側面もあり、実際に成果を上げるには様々な壁がある。そのような状況の中、電通を中心とした4社によってリリースされたサービス「Dentsu.io」は、より実践的でワンストップに成果を上げるための次世代マーケティングソリューションを提供している。

今回は、Dentsu.ioの中心となるデータアーティストの山本覚氏、インティメート・マージャーの簗島亮次氏、トレジャーデータの小林康之氏、そして電通の山崎茂樹氏・五島淳氏から、提携までの背景や同サービスが描く未来について話を聞いた。

データとデータをつなぐ

電通 山崎氏(左)と五島氏

山崎: Dentsu.ioは「円滑で高速なマーケティング・コミュニケーションを支援する、データ解析プラットフォーム」として、2014年11月に開発を行いました。電通が保有しているデータやクライアントが保有しているデータを活用し、PDCAの高速化を実現することで「データを持っているけどうまく活用できていないクライアント」のマーケティング活動を支援しています。

五島:さらに、これまでデータ解析プラットフォームとしての側面が強かったものが、電通とクライアントが持つデータだけでなく、様々な外部パートナーが保有するデータとの接続を行うことで、マーケティング施策まで一貫してつなげることが可能となりました。一言でいうと、「最適な新規顧客を発見し、育成まで行える」というのがポイントです。クライアントデータと、非常に多様な外部データとを、最適な形でつなぐハブとなることが電通の役割です。あくまで、クライアントにとって真に価値のあるマーケティングが提供できるのであれば、そのつど最適なパートナーシップを結んでいくというのが、基本のスタンスであり、提供価値であると考えています。

マスを組み合わせた統合マーケティング環境の構築

インティメート・マージャー 簗島氏

簗島:今回の取り組みの意図として、インティメート・マージャーで活用できるデータのバリエーションを増やすことがあります。インティメート・マージャーを活用している広告会社やクライアント企業は当社が保有しているネット上の行動データを元にターゲットペルソナを選定してマーケティングROI(投資収益率)の最大化を行ってきました。ただ、今までのネット上の行動データはデジタルマーケティングで活用する分には問題ないのですが、マスも含めたマーケティングを行っていく上では不十分と考えていました。

Dentsu.ioにおける当社の役割は、保有しているネット上の行動ビッグデータをdentsu.ioのオフライン・マス系データと統合して、デジタルマーケティングも含めた「統合マーケティング環境」をつくることだと考えています。リアルタイムで粒度の細かいネット上のデータと、訴求力が強くより情報量が多いオフライン・マス系のデータを結びつけることでデータを活用したマーケティングの最適化を一緒にしていきたいと考えています。

DLPOでオウンドメディアのコンバージョンアップを

データアーティスト 山本氏

山本:電通が保有するマス系データの分析業務は、以前別のプロジェクトで実施したことがあり、データの特性を理解していたこと、そしてインティメート・マージャーとは当社のLPO(ランディングページ最適化)ツールであるDLPOが連携しており同社のセグメントを使ったCV改善の実績がすでにあること、DLPOのインフラとしてトレジャーデータを使わせていただいていることから、この4社での取り組みは非常に自然なものでした。

通常LPOツールというと、ダイレクト系の縦長ページといったすごく狭い領域をイメージされることも多いのですが、実際にはDLPOはオウンドメディア全体のコンバージョンアップに活用できますし、またコンバージョンしたユーザーの属性を調べることで、CVRが上がる訴求メッセージ×セグメントの組み合わせを集客にフィードバックすることも可能です。dentsu.ioでは上記の取り組みをパッケージとしてクライアントに提供することが可能です。

データハブとして

トレジャーデータ 小林氏

小林:トレジャーデータはビッグデータのプラットフォームサービスを提供している会社です。dentsu.ioにはクラスメソッド社とともに、昨年の段階から参画しております。dentsu.ioではクライアント各社にデータ連携を含めたプラットフォームとしてご利用いただいています。

同一プラットフォームとなっていることにより、通常であれば必要となる個別サービス間連携でのシステム開発が不要な点や、セキュアかつハイパフォーマンスなデータ連携といった点で貢献できていると考えております。dentsu.ioに参画していることで得られる知見を、今後のプロダクト開発に反映させ、データハブとしてより一層使いやすいプラットフォームとして成長していきたいですね。


Dentsu.ioは、12月1日から東京国際フォーラムで開催されるアドテック東京2015にて、マーケティングオートメーションをテーマにしたークセッションを行う。本インタビューに登場した4社のメンバーが集い、サービスの紹介や活用事例などを交えつつ、最新の統合マーケティングについて語る。

■トークセッション詳細

イベント:アドテック東京
会場:東京国際フォーラム(https://www.t-i-forum.co.jp/
セッション日時:2015年12月1日(火) 11:30~12:10
出展場所:EXHIBITION ZONE
内容:統合マーケティングとしてのDMP Dentsu.ioの全貌
参加予定者:
・ 山本覚(データアーティスト 代表取締役社長)
・ 簗島亮次(インティメート・マージャー 代表取締役社長)
・ 堀内健后(トレジャーデータ マーケティング担当ディレクター)
・ 五島淳(電通 マーケティングソリューション局チーフ・プランナー )

写真:Story Design house 株式会社「24 hour IT PEOPLE

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著者

山本 覚

山本 覚

株式会社 電通デジタル

東京大学松尾豊教授のもと人工知能(AI)を専攻。2013年にデータアーティスト株式会社を設立し、2023年に電通デジタルと合併・参画。AIとビックデータを活用し、広告の自動生成、広告効果の予測、CROやSEOなど、多数のデジタルマーケティングサービスを提供。テレビ番組をはじめとしたメディアへの出演や、企業・大学などでのセミナー登壇も多数。主な著書「売れるロジックの作り方」(宣伝会議)、「AI×ビックデータマーケティング」(マイナビ出版)など。

簗島 亮次

簗島 亮次

株式会社インティメート・マージャー

慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科を2010年首席で卒業。卒業後は、グリー株式会社にて、プラットフォーム開発に関連する複数の部門でマネジャーを兼務。RSCTC 2010 Discovery Challenge(世界最大級の統計アルゴリズム コンテスト)にて世界3位。 日本最大級を誇る約4億のオーディエンスデータを用いて、企業のDMP構築やデータ活用マーケティングを支援。同社のDMP導入企業は、420社を超える。

小林 康之

小林 康之

トレジャーデータ株式会社

株式会社シンプレクス・テクノロジー(現 シンプレクス株式会社)にて債券ミドルオフィスシステム、オンラインFX取引システムの開発・保守・運用に従事。2012年、株式会社フリークアウトに入社、技術サポート、自社プラットフォーム上でのアプリケーション開発などを中心に幅広く活躍。2015年3月、トレジャーデータ株式会社に入社。

山崎 茂樹

山崎 茂樹

株式会社電通デジタル

金融系SE・PMを経て、ヤフー入社。金融系、会員系のサービスの企画・開発に従事。その後、データソリューション領域の責任者としてターゲティング広告、レコメンデーションを始めとするプロダクト・マネージャーに従事。ヤフー全社データ戦略を推進。 2012年電通入社。テクニカル・ディレクターとして、自社データプラットフォームの企画・開発を推進。また広告主へのソリューション導入、企画提案、新規サービス・ソリューションの立案、多方面における国内外企業とのアライアンスを推進。 一般社団法人データサイエンティスト協会 企画委員副委員長、Tableauユーザーグループ 幹事、TreasureDataユーザーグループ 会長

五島 淳

五島 淳

SHE株式会社

2010年に電通入社し、関西支社に配属となるも、自身の笑いへのクリエイティビティーに限界を感じ、東京本社へと異動。ブランド/マーケ戦略構築、DMP構築、キャンペーン企画、KPI設計/PDCA、CI/VI/顧客体験デザインなど、幅広いマーケ業務を担当。全社データ基盤開発、戦略コンサルや大手メディアとの共同事業開発、自動車会社での新設マーケ部署立ち上げ常駐、デジタルネイティブ専門プランニングユニット立ち上げや、スタートアップ専門対応組織「電通グロースデザインユニット」立ち上げなどを経て同社を退職。2019年、ミレニアル女性向けのキャリア支援スタートアップであるSHEへCMO(一部COO兼任)として参画。マーケティング・PR・事業グロース全般を管掌、Cartier/McKinsey主催アワードでは、アジア初ファイナリストに採択された同社のGlobal PR業務も推進。本業の傍「6curry」というサブスクリクション・コミュニティー事業の経営にも参画。

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