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ツボをおさえる「目」のつけどころNo.1

「時間帯」 の魅力にフォーカス

「朝が好きになる街 安曇野」キャンペーン

2016/05/20

多岐にわたる地域の課題解決に向けて、今、多様な取り組みが各地で展開されています。 的確な課題抽出と、独自の着眼点から繰り出す卓越した打ち手からは、さまざまなヒントが見えてきます。キーパーソンへのインタビューとともに事例を紹介します。


長野県 安曇野市

長野県のほぼ中央に位置する安曇野市は2005年10月、五つの町村が合併して誕生した。西側にそびえる雄大な北アルプスや豊富な湧き水、澄み切った青空、わさび田などが海外からの旅人をも魅了する。しかし、観光スポットを訪れた後、宿泊せずに次の観光地へと移動する人も多い。市民自身の日常から浮かび上がった新たな魅力を切り口とした、同市のブランディング施策とは…。


「時間帯」の魅力にフォーカス

「朝が好きになる街 安曇野」キャンペーン

 

安曇野市は2015年3月、「朝」をテーマにした、新しい市のロゴとキャッチフレーズ「朝が好きになる街 安曇野」を発表し、朝をアピールする取り組みを開始した。「物産や観光スポットではなく、ある『時間帯』の魅力をアピールする斬新な取り組みです。市民からの聞き取り調査で『朝』が好きだという声が多数寄せられたのがきっかけ。一人一人がこれやって、あれやってと朝のストーリーを持っている。四季ごとに輝く風景、おいしい空気、鳥のさえずりと五感で堪能できる格別な朝がある。この素晴らしさを市民の方に共有してもらい郷土愛の醸成につなげ、さらには対外発信のテーマとしました」と渡辺氏は振り返る。

答えてくれた人 観光交流促進課  ブランド推進担当係長   渡辺守氏
観光交流促進課 ブランド推進担当係長
渡辺守氏

市は、印刷物やのぼりに使用する他、朝にフォーカスしたパンフレットやガイドブックを制作し、市内のレストランや観光スポットに配布。拾ケ堰(じっかせぎ)からの北アルプスの眺望や田園風景などのビジュアルに、「この街では何十年も前から、朝ブームです。」「この街で寝坊するなんてああ、もったいない。」といった安曇野の朝への興味を喚起するコピーを配したポスターを沿線の駅などに掲出している。同ポスターは4月、日本観光振興協会の「日本観光ポスターコンクール」に入賞した。また、観光協会では昨年、朝日が美しいスポットを巡る「早朝絶景ツアー」を実施し、好評を得ている。

「市民の中で徐々に朝を盛り上げていこうというムードが高まっている。これからは宿泊施設や飲食店、観光協会などと連携して、朝を楽しんでもらえるコンテンツを掘り起こし、提供できるシステムをつくっていきたい」と渡辺氏は意欲を見せる。観光客が飛び切りの朝を満喫できる日は近づいている。

朝から楽しめるカフェや散歩コースなどを紹介しているパンフレット
朝から楽しめるカフェや散歩コースなどを紹介しているパンフレット