国立新美術館「ダリ展」開催。開会式で「ダリ能」を上演
2016/09/14
伝統芸能「能」をテクノロジーで拡張する「テク能プロジェクト」を立ち上げた電通は9月13日、高円宮妃久子さまご出席のもと、国立新美術館で行われた「ダリ展」開会式のオープニングで「ダリ能」を上演した。
能は日本が世界に誇る最高峰の舞台芸能の一つでありながら、日本においても客層や上演機会が限られている。このプロジェクトでは、一般の人々がなかなか見る機会のない能を多様な先端テクノロジーと組み合わせ、伝統芸能としての新たな展開と現代社会のさまざまなシーンでの活用を実現しようというもので、今回の「ダリ展」での上演が世界初披露となった。
上演に際しては、精密機械加工を手がける大槇精機が高精度な金属削り出しという画期的な方法で制作した新作の能面を着けて、演能団体・銕仙会の清水寛二さんがダリの霊を演じた。さらに最新のメディアテクノロジーを駆使したプロジェクトで注目を集めるクリエーティブ集団・ライゾマティクス アーキテクチャーの齋藤精一さんによる映像演出をプラス。伝統と革新の融合に挑戦し続けたダリの展覧会のオープニングにふさわしく、伝統芸能と最新テクノロジーの融合によって生まれるパフォーマンスで開幕を祝った。
今後、日本の文化に対する世界の注目がさらに高まっていく中、高尚で難解という能の固定観念を刷新するためには能楽界自身の取り組みに加え、共創による新たな価値創造が必要になる。
そのため、テク能プロジェクトでは、さまざま企業や団体、クリエーターを巻き込みながら、ビジネスシーンを含めた活用に取り組んでいくとしている。
ちなみに、ダリ展は20世紀美術を代表する、スペインが生んだ奇才サルバドール・ダリの油彩、ドローイング、オブジェなど約250点で構成。ガラ=サルバドール・ダリ財団(スペイン)、サルバドール・ダリ美術館(アメリカ)、国立ソフィア王妃芸術センター(スペイン)という世界の3つの主要なダリ・コレクションに加え、日本国内からの重要作品がそろう、日本では約10年ぶりとなる過去最大規模の展覧会。12月12日まで開催。