電通イージス・ネットワーク(Dentsu Aegis Network、以下DAN)では通常、クライアントと仕事を開始するに当たって事前に契約書を締結し、そこでScope of Service(業務内容)を明確に定義します。何を提供するのか、そしてその対価としてどれだけのフィーをもらうかを厳格に握ります。そしてかなりの場合、成功報酬、つまりサービスのパフォーマンスが優れていた場合や、クライアントのビジネスに好影響を与えた場合のボーナスを規定します。
DANではネットワーク内にThe Story Lab(TSL)というコンテンツマーケティングを専門的に実施するスペシャリスト集団を立ち上げました。積極的にコンテンツビジネスに取り組み、これまでと違った形でのメディア会社とのパートナーシップを構築しつつあります。そのTSLのチームは欧州で既にいくつかの成功を収めており、その一つがNinja Warrior(日本のテレビ番組SASUKE)のフォーマット販売です。電通は欧州におけるフォーマット販売権を取得し、それをTSLを通じて実施しています。いくつかの国に先行して放送が始まったフランスでは、民放ナンバーワンのTF1で放送され、Season 1から高い視聴率を獲得しています。これについて、先日DAN Franceの幹部が非常に良いことを言ってくれました。「タカシ、電通はDAN Franceを新しい次元に押し上げたんだ。これまでTF1はわれわれに対して『で、来期はいくら広告入れてくれるんだ?』という目で見ていた。それが、Ninja Warriorのおかげで、TF1はわれわれを真のパートナーと思ってくれるようになったんだ。これってすごくワクワクしないか?」
TSLの設立の背景には、近年デジタル化によるメディアの細分化や視聴形態の変化や、メディアバイイングのコモディティー化に伴って、「良いコンテンツを持ったものが勝つ」という潮流になってきたことが背景にあります。DANでは更に、GoogleやFacebookといった「巨人」たちとGlobal Media Partnershipというプログラムを立ち上げ、新たな価値創造に向けた取り組みを始めています。