loading...

東南アジアが熱い!LINEビジネスコネクトがつくる顧客との新しいつながり

2017/04/26

2017年度の「LINE ビジネスコネクト パートナーアワードプログラム」でゴールドパートナーに認定された電通アイソバー。2017年3月上旬から、LINEビジネスコネクトの導入支援ソリューションである「TONARIWA(トナリワ)」を東南アジアでもサービス展開することになりました。

アジア各地でのLINE利用実態とLINEビジネスコネクトの活用事例について、ソーシャルメディアマーケティング部バイスプレジデント清水常平氏と同ソーシャルメディアディレクター冨田正喜氏に聞きました。

左から清水氏、冨田氏

左から清水氏、冨田氏

1to1メッセージの配信ができるLINEビジネスコネクト

--日本では、定番のコミュニケーションツールとなっているLINEですが、実際どのくらい利用されているのでしょうか?

冨田:グローバルでは、月間アクティブユーザーは2億1700万人、うち日本、台湾、タイ、インドネシアの上位4カ国合計のアクティブユーザーが1億6700万人となっています。日本国内に限れば、6600万人、アクティブ率は71%と非常に高くなっています。
(※数値は、LINE2017年4月−9月媒体資料から)

--LINEのビジネスアカウントであるLINE公式アカウントとLINEビジネスコネクトアカウント(以下「LINEビジネスコネクト」)の違いは?

冨田:大手企業を中心に活用されている「LINE公式アカウント」の場合、アカウントを「友だち」に追加しているユーザーにメッセージを一斉配信するので、大量のユーザーにリーチすることができます。配信メッセージの半数以上が読まれており、クーポンの利用率も高く、来店またはEコマースサイトへの来訪を促すなど高い効果が出ています。

「LINEビジネスコネクト」は、LINEが提供しているAPIを活用し、ユーザー個別にメッセージを送受信できる仕組みです。LINEから取得できる固有識別子を用いて、LINEのトークで1to1のメッセージ送受信をすることができます。もちろん、1to1のやりとりだけでなく、全体、男性のみ、30代のみ、東京エリアのみというようにセグメントごとにメッセージを最適化して配信するといったことも可能です。

LINEビジネスコネクトとは

LINEはAPIを公開するのみなので、各企業が自社でシステム開発をする必要があります。しかし、それではクライアント企業への負担が大きいので、われわれのようなLINE ビジネスコネクトの開発パートナーがその部分を担当し、安価に、そしてスピーディーに導入できるようにしています。私たちのサービス「TONARIWA(トナリワ)」がまさにこの部分を担っています。

LINEビジネスコネクトの仕組み

フォームにボット、CRM連携。アイデア次第で活用は無限に広がる

--TONARIWAでは、どんなことができるのでしょうか?

冨田:TONARIWAには、先ほど説明したようなセグメント配信に加え、さまざまな基本機能があります。
「フォーム作成」では、LINEのトークからユーザーをフォームに誘導し、そこで属性情報などを入力してもらいます。エリア限定のキャンペーン情報を送りたい、といったときに便利です。

清水:フォームを利用してデータを入力してもらえば、顧客データベースと連携しなくて済みますし、LINE上で取得した個人情報はTONARIWAのデータベースに蓄積されるので、クライアント側でのシステム管理の手間がかかりません。

TONARIWAの基本機能

冨田:フォーム入力後すぐに当選結果が分かるキャンペーンを実施した飲料メーカーでは、15万人が参加しました。施策の内容によりますが、LINE以外のキャンペーンではこれほど多くの参加者を獲得することは大変なのですが、コンバージョンが高いLINEを使うことで効果的なキャンペーンができました。

「One to One トーク」はボット機能です。トークで写真を送ってくれたユーザーに、デコレーションした写真を返すというような使い方ができます。ボットは他にもいろいろな使い方があり、例えばトークで送られてくる質問にユーザーが答えていくと、おすすめの商品を教えてくれる、というような活用もできます。

清水:TONARIWAを使って会員データベースとLINEを連携させれば、CRMとして活用もできます。メルマガへの反応が下がっている中、LINEで届けた方がクリック率、コンバージョンが高いということで、アパレル系のEコマースサイトなどが積極的に活用しています。

LINEビジネスコネクトがカスタマーサポート革命を起こす!?

--LINEビジネスコネクトの具体的な活用事例を教えてください。

冨田:北海道の航空会社AIRDOでは、予約システムとLINEを連携させて、LINEのトークで搭乗用のQRコードを個別に送信するというサービスを実現しました。また、北海道のおすすめ情報をボットでレコメンドする「旅ナビ」も実装しました。

清水:この事例では、独自アプリと同じような機能をLINE プラットフォームを利用して実現できたことをAIRDOに高く評価いただきました。独自アプリだと開発コストとインストールを促進するコストがかかります。ユーザーが普段から利用しているLINEをアプリ代わりに使うことで、開発とプロモーションの期間とコストを抑えることができました。

利用者は、AIRDOのLINE公式アカウントを友だち登録することで、LINEトーク上で搭乗便の詳細情報やチケットレス搭乗サービス用QRコードの受け取り、予約照会などの機能が利用できます。さらに、ボットシステムにより、旅をもっと楽しくする現地情報を提供します。

利用者は、AIRDOのLINE公式アカウントを友だち登録することで、LINEトーク上で搭乗便の詳細情報やチケットレス搭乗サービス用QRコードの受け取り、予約照会などの機能が利用できます。さらに、ボットシステムにより、旅をもっと楽しくする現地情報を提供します。

冨田:富士フイルムでは、LINEで画像を送って注文すると、その画像をプリントしてフォトフレームに入れて送ってくれるというサービスを実現しました。サービス自体はすでにリリースされていた「写プライズ」ですが、LINEに対応したことで、若い世代を中心に広がりました。メール送信などに比べてLINEは反応が高く、今の時代に合っているということで評価されています。

富士フイルム×TONARIWA

--アイデア次第でいろいろな使い方ができますね。

冨田:はい、私たちはシステム連携だけでなく、活用アイデアから提案しています。もう一つ注目されているのが、LINE によるカスタマーサポートサービスです。こちらは、実際のオペレーターがLINEで送られてくる顧客からの質問に対応します。海外のEコマースではチャットサポートは必須の機能なので、大きな可能性があります。

清水:企業側の視点では、オペレーターのコストダウンとコミュニケーションの離脱防止が期待できます。電話での対応は顧客1人にオペレーター1人が対応しますが、チャットなら1人のオペレーターが3人くらい同時に対応できます。また、電話もウェブのチャットも相手が離脱するとコミュニケーションが途絶えてしまいますが、LINEの場合はメッセージの履歴を見て、後でまたアプローチすることができます。

最初のサポートの内容の振り分け部分はボットで対応して、その後はオペレーターが対応するというように切り替えることもできるので、工数削減につながりそうです。導入が進めばカスタマーサポートが大きく変わるかもしれませんね。

--今後、どのような展開を考えていますか?

清水:日本でLINEビジネスコネクトがリリースされたのは2014年ですが、活発に利用されるようになったのは2016年からです。当初はキャンペーンのような媒体利用が多かったのですが、CRMと連携して顧客と継続的につながるためのツールとして活用する事例も増えてきています。前述したAIRDOの事例でも、今後は搭乗までの残り時間や遅延情報など、その人に最適化した情報をリアルタイムに届けていきたいという企画もあります。

リテールの事例では、Eコマースの会員情報とLINEのIDを連携させて、Eコマースと店舗での購入情報を合わせて管理するといった使い方もあります。

インドネシア、タイでテストマーケティングを実施。反応が特に良いのが…

--東南アジアでのLINEの活用実態はどうでしょうか?

清水:2016年の東南アジアのメッセージアプリランキングでは、WhatsApp、Facebookメッセンジャーに次いで、LINEが3位となっています。LINEのメッセージソリューションは海外でも展開できるということで、今研究をしながら進めています。

冨田:インドネシアで開催されたアイドルのイベントで、LINE@のテストマーケティングを実施しました。アイドルファンの男性が多いイベントだったのですが、ほとんどの方がLINEを使っており、QRコードでLINE@アカウントを友だちに追加する、という操作も自然に行っており普及していることを感じました。

--他の国での展開はどうでしょうか?

清水:タイの電通メディアラボとディスカッションしてマーケットの可能性を探っています。タイではLINEビジネスコネクトに対応しているアカウントはまだ多くはないのですが、今後大きな可能性があると感じています。

タイはEコマースが浸透している一方、個人同士が商品の売買をFacebookメッセンジャーやLINEなどを使って行うことがめずらしくないとか。Eコマースの定着、個人間取引の浸透などを考えると市場は温まっているといえます。そこに、1to1コミュニケーションができるLINEビジネスコネクトを使えば、あたかも個人間取引をしているような感覚で店舗が販売することもできるでしょう。

タイ旅行博

冨田:先日、タイの旅行博に北海道新聞がブースを出展し、「Welcome to HOKKAIDO」というLINEを活用したサービスを試験的に実施し、北海道のスポットや名産品をレコメンドするボット機能や北海道の達人が様々な質問にチャットで答えてくれるQ&A機能を展開いたしました。タイでは北海道がスノーリゾートとして人気なこともあり、イベントでは「函館から一番近いお風呂に入れる場所は?」とか「札幌から函館まで行く電車で海側はどっち?」といったかなり細かい具体的な質問が多数ありました。今後はこうした質問を複数オペレーターがチャットで対応できるようにしていきたいと思っています。

さらに、LINEビジネスコネクトを使って予約までできる仕組みを考えています。ユーザーが旅行したい場所をトークで送るとボットが対応して、最終的に予約まで完結できるような仕組みです。旅行会社とも提携して実現したいです。東南アジアの中でもタイは特に反応が良いので、まずはタイで成果を出したいですね。

--日本へのインバウンドにも良い影響がありそうですね。ありがとうございます。