ラグビーワールドカップ2019™
京都でプール組分け抽選会を開催
2017/05/24
2019年に日本で行われるラグビーワールドカップ(RWC)2019(主催=ワールドラグビー)。アジア初となる歴史的な開催に向け、既に熱気は高まっている。5月10日には、京都でプール組分け抽選会が行われた。9日には前夜レセプションが開かれ、各チームのヘッドコーチや大会関係者が一堂に会した。大いに盛り上がった2日間の模様と共に、キーマンへの取材を通して2年後を展望していく。
“京都でのプール組分け抽選会は、成功と勝利への新たな始まりだ”
全国12都市で、19年9月20日〜11月2日に開催されるRWC2019。5月10日には本大会のプール組分け抽選会が行われ、プール戦の対戦相手が決まった。このイベントを経て、各代表チームは2年にわたり相手チームの分析などを重ねていく。
抽選会に先駆けて、前日9日に開かれたのは、各代表チームヘッドコーチや関係者を招いた「前夜レセプション」。会場となった京都市内のホテルには、日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチをはじめ、関係者ら約220人が集まった。
レセプションでは、初めにRWC2019組織委員会会長の御手洗冨士夫氏があいさつ。「英国とアイルランド以外で抽選会が行われるのは今回が初めて。その舞台が京都であることを大変うれしく、光栄に思います」と述べた。また、この決断を下したワールドラグビーに対しても「その大英断に感謝したい」と語った。
続いて、日本ラグビーフットボール協会(JRFU)会長の岡村正氏や、ワールドラグビー会長のビル・ボーモント氏が登壇。ボーモント氏は「日本は前回のイングランド大会で南アフリカに勝利し、全世界のハートをつかみました。それは今大会の成功の布石となります」とコメント。「京都で抽選会を行うことは、さまざまな意味で新たな始まり。(日本という)新たな国に火をともすことで、アジアのラグビーが盛り上がってほしい」と期待感を示した。
その後、関係者や開催自治体の各知事、各市長らがステージに上がり鏡開きへ。乾杯のあいさつでは、京都市長の門川大作氏が「ラグビーは紳士・友情・平和のスポーツ。大会を通じて日本から世界に平和をもたらしたい」と話した。会場は終始和やかなムードに包まれ、2年後に向けた結束を強めた。
翌10日には、抽選会を実施。舞台を京都迎賓館に移したその模様は、テレビでも生中継されるなど、大きな注目を集めた。
抽選会では、まず開催国の日本が入るプールを決める。そしてその役を担ったのが安倍晋三首相だった。多くの視線が注がれる中、プールAのボールを引いた。安倍首相は「感動の中で世界中の人々の記憶に残るような大会にしたい」と話すとともに、開催地として岩手県・釜石市や熊本県・熊本市など、近年の災害で被災した地域が含まれていることについて「超一流の選手たちの活躍を目の当たりにできる感動は、さらなる復興の大きな力になる」と力を込めた。
抽選会では、全20チームのプール組分けが決定。これを機に各チームの戦いへの準備は本格化していく。JRFUの岡村会長は、抽選会を経て「尊敬すべき歴史と伝統を持つ強豪国や、お互い切磋琢磨(せっさたくま)しているライバル国を相手に、日本代表が全ての人を夢中にさせてくれることを期待しています。そして日本が、好成績を上げた前回大会をさらに上回るベスト8以上という結果を出すことを、今から楽しみにしています」とコメントを寄せた。アジア初の歴史的な大会は、もう火ぶたが切られている。
キーマンに聞く、大会成功に向けてすべきこと
RWC2019に向けて、開催する側はどんな青写真を描き、未来に何を残していくのか。RWC2019組織委員会事務総長の嶋津昭氏と、大会のオフィシャルスポンサーであるキヤノン常務執行役員の中村正陽氏に話を伺った。
全国一体となって、全48試合を満員に
嶋津 昭氏
ラグビーワールドカップ2019組織委員会事務総長
──抽選会が終わり大会の輪郭が見えてきました。当日の様子などをご覧になって、どんなことを感じられたでしょうか。
前夜レセプションを含め、抽選会は盛り上がってよかったと思います。安倍首相にも参加いただき、いい会となりました。何より、具体的な組分けが決まって出場国の目の色が変わってきましたね。それはチームだけでなく、運営側やワールドラグビーの方々も同様です。
──大会を盛り上げる意味でも、やはり日本代表の活躍に期待したいですね。
「8強以上」という目標に向かって、ぜひ上を目指してほしい。ただ、大会に出るのはよりすぐられた20チーム。日本戦だけでなく、全てのチームの試合を最高の盛り上がりにしたい。史上最多の動員となった前回のイングランド大会も、関係者は開催国以外の試合に多くの人が集まった瞬間、成功を確信したと聞きます。私たちも同じで、大目標は全48試合を満員にすることです。
──そのために、今からどんな部分に力を入れていくのでしょうか。
日本代表は、今年数多くのテストマッチ(代表チーム同士による国際公式戦)を行います。まずはこのテストマッチを盛り上げるのが第一歩。多くのお客さまに足を運んでいただき、運営面でも本番に向けて確認する機会にしていきます。
また、試合だけでなく、その前後も楽しめるスポーツホスピタリティーにも力を入れていきます。さらには観戦チケットのない人も楽しめるファンゾーンをつくって、現場の臨場感を再現したい。既に事業としても動き始めており、これらがスポーツ文化やスポーツビジネスを発展させれば、大会のレガシーになると思います。
──大会を成功させ、その先へつなげていくために大切だと捉えていることを教えてください。
大会中は、前回大会から見て約40万人の外国人が来日すると予想されます。試合を見るだけでなく、長期滞在して日本を観光する人がほとんどでしょう。つまり舞台は開催都市だけでなく日本全国です。そこで各地域が魅力を発信し、この機会に日本を楽しんでいただきたい。19年の後は、東京2020オリンピック・パラリンピック、生涯スポーツの祭典となるワールドマスターズゲームズ2021関西と、国際的なスポーツイベントが続きます。19年に日本を楽しんでいただければ、翌年以降の再訪にもつながるでしょう。
今回はアジア初の大会です。「日本で開いてよかった」と思っていただけるよう、何としても成功させたい。そのために大切なのは連携です。全国が一体となって、盛り上げていきたいですね。
感動を一瞬で終わらせず、後世に伝えていく
中村 正陽氏
キヤノン 常務執行役員 渉外本部長
──キヤノンは本大会におけるオフィシャルスポンサー第1号企業となりました。前回大会に続き、今回も協賛することになった理由をお聞かせください。
当社には、ジャパンラグビー トップリーグに所属するキヤノンイーグルスがあります。私はイーグルスを担当しているのですが、そこで感じるのはラグビーの圧倒的な迫力。体がぶつかり合うところに大きな魅力があり感動が生まれます。大切なのは、その迫力をどこまで長く伝え続けることができるか。写真という形で一瞬をきちんと切り取れば、それを見たファンに再び感動がよみがえります。つまり、感動はその瞬間で終わらず、ずっと後世に続いていくのです。
そのために必要なのは、感動の一瞬を切り取るプロフェッショナルなカメラマンをサポートしていくこと。それは私たちの企業だからできることですし、その結果、ラグビーの楽しさ、スポーツの楽しさが子どもたちに伝わり、未来につながればと思います。
──具体的には、どのような形で大会をサポートしていくのでしょうか。
プロのカメラマンに向けたカメラのメンテナンスやレンズの貸し出し、報道関係者向けのプリンターなどの機材提供でのサポートが中心になります。また、安全面においてもカメラの技術で貢献したいですね。例えば監視カメラは、ソフトウエアとの組み合わせにより、画像からそのエリアにどれだけの人数がいるかなどを一瞬で判別できます。そこから混雑状況を測定しお客さまに適切な誘導を行うことができるでしょう。
さらに、最新技術もできる限り投入したいですね。昨年のサッカーJリーグYBCルヴァンカップでは、360度どこからでもリプレー可能な映像の実証実験を行いました。スタジアムの全周にカメラを設置し、それぞれの映像を合成することで、自由にどの視点からでもプレーを見ることができます。これらの最新技術を生かして大会の盛り上げに寄与したい。試合会場そのものが「日本技術のショーケース」になればいいですね。
──最後に、19年への抱負を教えてください。
私たちの持つ商品や技術で大会をサポートし、スポーツ文化の発展に寄与すること。その中でキヤノンを知っていただければと思います。あとは、やはりラグビー部を持つ企業として、日本チームには少しでも上位に行っていただきたい。その中に、もしキヤノンイーグルスの選手が入っていれば最高ですね(笑)。
ラグビーワールドカップ2019プール組分け
RWC2019は、前回大会の成績を基に12チームの出場が決定済み。残る8チームは、各地区で予選が行われていく。5月10日の抽選会では、まず開催国の日本のくじが引かれ、プールAに入ることが決定。アイルランド、スコットランドなどが同プールとなった。前回大会優勝のニュージーランドはプールBへ。今後はテストマッチが各地域で行われ、日本は6月10日に対ルーマニア戦(熊本)、17日、24日に対アイルランド戦(静岡、東京)を予定している。