【定石7】データの分析と活用を効率的に行うためにDMP導入から始める
2017/06/20
電通デジタル刊行の書籍『電通デジタルのトップマーケッターが教える デジタルマーケティング 成功に導く10の定石 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ』の発売を記念してお届けしているこの連載。
第7回は、定石7「データの分析と活用を効率的に行うためにDMP導入から始める」の中から、一部を抜粋して紹介します。
電通のDMP「dPublic」
私たちが活用しているDMPについて紹介しましょう。
電通および電通デジタルが2016年8月に開始した電通DMP「dPublic」です。日本最大手のDMP専業会社のインティメート・マージャー社と資本業務提携し、同社から技術提供を受けてリリースしました。
その名の通り、パブリックDMPとしてのソリューションですが、プライベートDMPとも連携可能です。自社データにパブリックDMPを加えた場合、どのように活用できるかは後述しますが、「dPublic」の主な特長を図に示しました。
図:dPublicとは
具体的に、どう活用すれば、どんなマーケティング課題に対応できるか。以下の事例をもとに、DMPの導入意義を検討していきます。
コンテンツの多角的な評価とKPIの策定
A社は大手飲料メーカーで、コンテンツサイトの運用を自社で行っています。
具体的には、1週間に1度のペースで、さまざまな方向性のコンテンツを作成して発信していました。たとえば、企業として取り組んでいるスポーツ協賛の話題、商品の製造方法に関するウンチク、社屋の紹介、飲料イベントの紹介などです。こうしたテーマ選びやコンテンツ制作、チェックに費やす時間は膨大で、担当者に相当な負荷が掛かっていました。
課題は、毎回どういうテーマで発信していけば、どんな果実が得られ、それが自社にとってどんなメリットに結実していくのか、見えづらいことでした。
ログ解析ツールで、コンテンツのPV数(サイトのページ閲覧回数)や流入・流出データは見ているものの、アクセス数がさほど多くはなく、最低限の量的な指標でしかなかったので、ログ解析ツールの設計を変更し、DMPの「dPublic」も導入して、ログ解析ツールとDMPを総合的に解析しました。
解析する上で重視した視点は3つです。
①集客力:誘導広告のセグメント別クリック率、自然来訪数など
②コンテンツ興味喚起力:コンテンツ読了率、コンテンツ下部に設置されたSNS(フェイスブック「いいね!」ボタン等)でのアクション率など
③送客力:コンテンツサイトにリンクしている商品ページへの訪問率、コンテンツ閲覧者のサイト内での回遊性など
さらに、アンケートによるコンテンツ閲覧者の態度変容(行動を決定する心的状態の変化)や購入意向の変化、キャンペーン前後でのTVCMの影響度、売上げ推移分析など、インサイト評価やマスマーケティングと購買との相互作用についても分析しました。
これによって、具体的な示唆をいくつも得ることができましたが、なかでも特徴的な示唆は以下の3つでした。
1、コンテンツ内容そのものへの改善示唆
コンテンツによって「集客力」が高かったり、「送客力」に強かったりさまざまで、すべての指標に強い万能なコンテンツはありませんでした。したがって、コンテンツの目的を事前に設計して、前後のキャンペーンの中でコンテンツの立ち位置を明確にすべきという示唆が得られました。
たとえば、TVCMを放映し始めた直後から数週間、コンテンツへの集客力は高まり、同時期に商品の売上げも上がることから、「TVで認知→コンテンツで商品を理解→購買」というストーリーが有効だと分かります。
さらに、セグメントによっても、コンテンツの評価は顕著に変わります。「ターゲット×訴求方法」の組み合わせ戦術を改めて見直しました。
2、短期的KPIとPDCA指針への示唆
さまざまな指標を分析していくなかで、「コンテンツ読了率」と「購入意向」の相関が非常に高い傾向にあることが分かりました。
最終ゴールである「売上げ」と「購入意向」との間には一定以上の相関があることは分かっているので、「読了率」を一つの疑似的なKPI(定量的に業績を評価する指標)としても良いかもしれません。
読了率は翌日には分かる指標なので、その値の良し悪しを判断して、広告への誘導やコンテンツの並べ方などに反映させれば、コンテンツ改善スピードを向上させ、最終的に売上げを最大化させる可能性のあるPDCAを回すことができます。
3、マーケティング活動全体への派生効果
DMPを導入して、多角的評価やPDCAを実践していくと、社内のマーケティング活動をアクティブに変革させる作用があると実感しました。これは定量化しづらい効果ですが、非常に重要だと思います。
A社では、キャンペーン設計時にもさまざまな仮説を出し合って施策を決定しましたが、レポート報告時には宣伝部門や調査部門、システム部門から20人以上が集まって、討議しながら
お客様の行動に関する知見を集約したり、新たな仮説を立てたりしました。こういう実直な活動により、お互いの業務や責任範囲を相互に理解しつつ、アクティブなマーケティング活動への変革を促すことができると思います。私たちも広告会社として、またデジタルマーケティング施策担当として、想いを共にして改善に取り組みました。
この後、A社は、オウンドメディア全体の役割を見直すプロジェクトを始動させています。