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デジタルマーケティング 成功に導く10の定石No.6

【定石6】インバウンド強化のためにコンテンツマーケティングから始める

2017/06/13

電通デジタル刊行の書籍『電通デジタルのトップマーケッターが教える デジタルマーケティング 成功に導く10の定石 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ』の発売を記念してお届けしているこの連載。

6回は、定石6「インバウンド強化のためにコンテンツマーケティングから始める」の中から、一部を抜粋して紹介します。

 

インバウンド(人を呼び込む)時代

いま、消費者は自分の望まない情報を無視するだけでなく、拒否することもできます。Web上の広告はアドブロックで拒否できますし、メールマガジンは配信停止にできます。テレビCMは録画スキップで見ないどころか、インターネットで必要なニュースは得られるので、テレビという機械そのものが必要ないという人も出始めています。

このように、情報に対する環境が激変しているなか、新しいマーケティング手法として「インバウンド」という言葉が聞かれるようになりました。いままでのように、新商品や企業の情報を広告やメールで送りつけていたやり方(アウトバウンド)から、消費者の興味に合ったコンテンツを消費者が欲しいと思うタイミングで届け、消費者に情報を見つけてもらい、自然な形で企業や製品の顧客(ファン)になってもらおうという考え方のことです。

とはいえ、Web上には情報が溢れかえり、Webニュースやキュレーションメディア(特定のテーマで編集・共有・公開するWebサイト)、動画サイトなど、消費者が見に行く場所は無限に増えています。さらに、複数のSNSアカウントから友人たちのいまの様子が常に発信されています。

こうした気が遠くなるような情報量のなかでは、どのメディアを活用しようと、もはや、マス広告時代のように送り手が強制的に視聴させようという姿勢では通じなくなっているため、自社情報をなんとか消費者に自ら見つけてもらう手を考えなくてはなりません。

たとえば、検索したときすぐに見つかるようにしておくとか、ソーシャルメディアで出会えるように仕込んでいく方法もありますが、本当に知りたい人だけに知りたい情報を届ける、本当に見たい人だけに見たいコンテンツを届けるといったやり方が必要になっています。このための有用なマーケティングとして考え出されたのが、「コンテンツマーケティング」です。

 

コンテンツマーケティングとは何か

コンテンツマーケティングでいう「コンテンツ」とは、スポーツや音楽、映画などの商業コンテンツのことではありません。コンテンツは「相手にとって有益で説得力のある情報」と定義されます*。その形態には、ブログ、動画、アプリ、Webマガジン、SNSへの投稿コメントなど、デジタル上の制作物はもちろんのこと、イベントや書籍など非デジタルなものも含まれます。

このコンテンツを使って、「既存の顧客や潜在顧客に向けて、自分たちのビジネスにつながる行動を促すこと」が、コンテンツマーケティングです。

企業は、これまでメディアを通して消費者とつながってきましたが、これからは情報が掲出された場所がどこであっても、複数であっても、コンテンツそのもので顧客とつながります。つまり、メディア起点での顧客アプローチではなく、コンテンツを顧客と共有するデジタル時代ならではの新しいマーケティングコミュニケーションの方法なのです。

具体的には、自社のWebサイト(オウンドメディア)から、自らのマーケティング目的に合ったコンテンツを、自らの好きなタイミングで発信するのが基本となります。定期的に新しいコンテンツを発信し、いつも見てくれる読者を育成し、その読者がどんな情報を欲しているかに耳を傾け、ときにはユーザーを巻き込んで、彼らのアイディアを取り入れながら次のコンテンツを企画し、発信していく。そこでは、まるで雑誌の編集者のようにふるまうことが、マーケッターの仕事のひとつとなってきます。

しかも、自社のコンテンツをつくるだけではありません。オウンドメディアにアップするだけでは誰も見てくれないので、SNSの公式アカウントを活用したり、各種の広告枠を買ったり、インフルエンサーを活用したり、PRの仕方を考えたり、コンテンツ配信の方法も考えなければなりません。

また、配信するだけでなく、そのコンテンツを探している人がきちんと見つけられるよう準備しておくことも重要です。たとえば、検索している人に見つけてもらうためにSEO(検索エンジン最適化)対策を行う、検索してきた人たちのニーズにきちんと応えられるランディングページを用意しておく(LPO:ランディングページ最適化)といったことにも気を配る必要があります。

最近では、動画コンテンツの広がりもあって、主にSNS上でコンテンツを見るだけで完結してしまう傾向も出始めています。

このため多様なコンテンツを発信しながら、それら全体をオウンドメディアではなく、モニター上のダッシュボード(さまざまな情報ソースから複数の情報を集約して表示する機能)を使って管理する新しい方法も開発され始めています。

*(参考文献) ジョー・ピュリッジ著、電通iPR局訳『エピック・コンテンツマーケティング:顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書』(日本経済新聞出版社、2014)

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