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ブラジル視覚障がい者柔道チームが来日し弘前で合同合宿
弘前出身の柔道家・前田光世の足跡探るシンポジウムも開催

2017/07/27

    JUDOー世界にJUDOを伝えた先人たち/嘉納治五郎とコンデ・コマ

    弘前市国際スポーツプロジェクト実行委員会は7月22日、ブラジル視覚障がい者柔道チームの来日を記念して、シンポジウム「嘉納治五郎と前田光世(コンデ・コマ)~世界にJudoを伝えた先人たち~」を青森・弘前市のホテルニューキャッスルで開いた。講道館柔道の創始者で、日本人初の国際オリンピック委員会(IOC)委員でもあった嘉納治五郎と、弘前市出身でブラジルに柔道を伝え、コンデ・コマ(コマ伯爵)と称した前田光世の足跡を振り返った。

    同シンポジウムは7月20日から全国に対象が拡大された東京2020参画プログラム「応援プログラム」の先駆けとなった。東京以外の各地でオリンピック・パラリンピックのレガシーを残す施策として、全国の自治体は海外チームの事前キャンプ実施などを目指している。

    弘前市は、前田光世の存在と共生社会を目指す同市の施策の下、ブラジル視覚障がい者柔道チームの強化合宿誘致を7月12~26日に実現。

    ブラジルからは男女4人のパラリンピックメダリストとコーチ2人が来日し、地元の弘前大や青森県警柔道部に出稽古。双方の練習スタイルを学んだり、健常者である学生たちがパラリンピックメダリストの胸を借りるなど、質の高い稽古が行われた。

    合宿後半には、全日本の視覚障がい者柔道チーム7人(リオ大会メダリストら)も参加し、ブラジル、日本両チームの合同合宿が実現した。ブラジルチームのルシア・アラウジョ選手(ロンドン銅、リオ銀)は「帰国するときには一回りも二回りも成長すると確信している」と意気込みを語った。

    22日のシンポジウムでは、3氏が特別講演を行った。

    弘前市の船沢中学校元校長の三戸建次氏は「前田光世~弘前から講道館へ。そして世界へ」と題して講演した。三戸氏は、前田光世の研究家で『コンデ・コマ物語』の著書もある。

    「世界に柔道を通じて日本人の精神性の素晴らしさを伝えた前田光世は今もなお生きている」と地域の誇りである柔道家をたたえた。

    筑波大教授で東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会文化・教育委員の真田久氏は、「世界を見据えた嘉納治五郎の精神」の演題で、コンデ・コマこと前田光世をブラジルに送り出した嘉納の功績を説明。つくば国際スポーツアカデミーのケンジ・サイトウ氏は、「現代のブラジル柔道家と、コンデ・コマ」のテーマで日本柔道がブラジルの柔道界に果たした役割などを話した。

    ブラジルチームからサイン入りのポロシャツを青森県と弘前市に贈呈。 左からルシア・アラウジョ選手、蛯名正樹弘前副市長、アラナ・マルドナド選手、原田啓一青森県企画政策部長

    ブラジルチームからサイン入りのポロシャツを青森県と弘前市に贈呈。
    左からルシア・アラウジョ選手、蛯名正樹弘前副市長、アラナ・マルドナド選手、原田啓一青森県企画政策部長

     

    シンポジウム後の懇親会で講師らと葛西憲之弘前市長(上段右から3人目)を囲んで
    シンポジウム後の懇親会で講師らと葛西憲之弘前市長(上段右から3人目)を囲んで